私を捨てた元婚約者が、一年後にプロポーズをしてきました

柚木ゆず

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第7話 撃退と、その後のクロードの行動(1)

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「ディオンさん、ありがとうございました……っ。それと……っ。あんなにも想ってくださっていて、嬉しいです。幸せです……!」

 ロウズナ家の馬車が去ってすぐ。私はぎゅっと抱き付き、安心感のあるお胸に顔を埋(うず)めさせてもらいました。
 これまでも沢山の愛を頂いていると感じていましたが、実際はもっともっとでした。それが、幸せ幸せで。また独りでに、嬉し涙がこぼれてきてしまいます。

「あの時助けてもらって、プロポーズまでしてもらえて……っ。それだけでも充分幸せなのに、それ以外にもあって……っ。………駄目、です……っ。幸せで幸せで……っ。幸せ以外の言葉が、浮かんでこなくなってしまいました……っ」
「そうなってしまうくらいに喜んでもらえて、光栄だよ。準備していたものが役に立ってよかった」

 私の背中にもそっと腕が回って、抱き締められつつ柔らかな声が耳をくすぐりました。
 包み込まれる感覚や、安心できる声。それは今でも一番好きなものでして、無条件で顔が綻んでしまいます。

「クロード・ロウズナという男は、自己中心的でありプライドの塊のような人間だ。ああしておいたら、二度と君の前に現れることはない。もう安心だよ」
「そうですね、ディオン殿。惚れ惚れしてしまう、見事な追撃でした」

 その際のクロードは、悔しさと羞恥で我を失いかけていました。彼に対抗する手段はありませんし、もうあのように押しかけてはこれませんね。

(恐縮です、エリナス卿。しかし――。出しゃばってしまい、申し訳ございませんでした)
(いえいえ、わたしは嬉しいですよ。娘の為に更に怒(いか)り、撃退してくれた。父親として、こんなにも幸せな事はありませんよ)
(有難いお言葉、感謝いたします。……ただ、ああ言いましたが)
(あの男の性格を鑑みると、これで終わりはないでしょうね。もうひと騒動、あるはずです)

「??? ディオンさん? お父様? どうかされましたか?」

 ディオンさんがお父様に頭を下げた後、ヒソヒソ話が始まりました。
 お二人は……。なにを仰っているのでしょうか……?

「ううん、なんでもないよ。……余計な来客は去ったことだし、お喋りをしながらお茶をしようか。今日は、最近人気のお茶菓子を持ってきたんだ」
「ディオンさんのお土産はとても美味しいので、楽しみです……っ。私も美味しい茶葉を用意していますので、楽しみにしていてくださいね」

 ディオンさんが好む、アールグレイ。一昨日友人から教えてもらったお店を訪ね、試飲を行い、ディオンさん好みのものを買ってきています。
 購入した時から召し上がってもらう時が楽しみだったので、私は声を弾ませて支度を行う。キッチンスペースでお湯を沸かして、ポットやソーサーを準備して、

「ありがとうクリステル。部屋へは俺が持っていくよ」
「ディオン殿、クリステル。よい時間を」

 いつものようにディオンさんがトレーを運んでくれて、エドガーお父様に見送られて、お部屋に着くと楽しい時間の始まり。リーフパイとアールグレイを味わいながらお喋りをたっぷり行って、私は素敵な時を過ごしたのでした……っ。

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