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第3話 理由 ロドルフ視点(2)

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((そうだ……! これだ……!! 雑音を止めるには、マリーの評価評判を下げればいいんだ……!!))

 周りの目は節穴で、俺の実力を理解できない――どうやっても俺の評価評判を上げられないのなら、競争相手を下げてしまえばいい。そんな根本的なことにようやく気付き、早速行動を始める。

((周囲がマリーを評価している一番の理由は、才色兼備だから。だったら、それを否定してやればいい))

 そこで、『マリー・エリスワーズの普段の姿は、作られたものだった』『お屋敷の中ではダラダラしていて、人当たりも悪い方』『様々なコンテストは買収によるもの』『生徒会長就任や高評価は、工作及びそれによって生まれた固定観念に惑わされたことによるものだった』――。こういったものをばら撒いていった。

((よしよし。流石は俺だ。順調に広まっていっているな))

 憎々しいことに、マリーは実際に優秀。だから評判はよく、普通は、こんな噂が立っても誰も信用しない。
 しカしながら、『使用人の愚痴がうっかり漏れた』という形を取ること――『外からは見えない部分』を使って攻めることで、それは解消される。

((俺はマリーより、3年も長く貴族界で生きている。経験値が豊富だから、貴族界の性質をよーく知っているんだよなあ))

 どんなに嘘であろうとも信憑性が感じられたら、それはあっという間に真実となってしまうということを!!

((実は難ありだった女を家に入れたら、俺の名にも傷がついてしまう))

 だが現状よりはマシだし、上手いこと動いて『俺が厳しく指導をして矯正させた』とすれば傷ついた名も回復する。それどころか以前よりも評価を得られる。
 完璧! 実に完璧な作戦だっ!

((ふふふ、もうじきだな。もうじきマリーの評価と評判は急降下を始め、俺より下になるぞ……っ!!))

 そうして俺は含み笑い、今日も上機嫌でその時を待っていた。
 の、だが……。突如、予想外が発生してしまう……。

「リエスワーズ卿、マリー嬢。余程のことがおありのようだが……いかがなされたのですかな……?」
「突然驚いたよ。どうしたんだいマリー?」

 午前の9時。婚約関係にあるとはいえ、アポイントメントなしでは酷い無礼に当たる時間。そんなタイミングで、マリー親子がやって来て――

「あの噂のもと――発生源は、貴方様だから。『わざわざ来たということは、もしや感付かれている?』というものが過ぎり、青ざめていらっしゃるのですよね?」

 ――マリーはこう、言い放ったのだった……。













 ※構成の都合上、展開が少々遅くなってしまい申し訳ございません。
 そちらを少しでも解消できるよう、本日から明日にかけて、複数回投稿をさせていただきます。
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