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第4話 問いかけへのお返事は マリー視点(1)
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「っ、ロドルフっ! それは事実なのかっ!? あれはお前の仕業なのかっ!?」
「とっ、とんでもない!! みっ、身に覚えがありませんよっ!! 父上っ、そちらは酷い濡れ衣ですっ!」
血相を変えたおじ様のお顔。そちらに見据えられたロドルフ様は、どもりながらも大声で否定を行った。
それを認めてしまえば、大変なことになる。個人としてだけではなくお家としても大きな問題となるのだから、認めはしないと思っていた。
「…………ロドルフ様。私はそれを罪とするつもりはございません。こちらはただ、張本人に否定をしていただいての一刻も早い収拾を望んでいるだけなのですよ」
何かが切っ掛けで使用人がそう愚痴ったと勘違いをしてしまっていた、などなど。そういった方向で『自分が意図せず広めてしまった』と皆さまに伝えていただく。それが私の希望。
政略結婚は、貴族としての宿命。ご先祖様が築き上げてきたものを今後も維持させるためにも、領民の皆様の生活をより安定させるためにも、必要なもの。なので、解消するつもりはない。
それに、何より――
ロドルフ様がそうされたということは、そこまでしたくなることがあったということ。
それに気付けなかった、配慮できなかった自分にも非がある。
なので、お相子。全てを水に流してリセットする。
ロドルフ様は元々私のことをちゃんと見てはくれない方だけれど、生涯を共にするのであれば少しでも関係が良好な方がいいから。これを切っ掛けにして、ちょっとでもよりよい関係を築いていきたいと思っている。
上から目線に聞こえないように注意しながら、『元々私のことを』以外の内心を言葉にしてお伝えした。
「…………ロドルフよ、お前は――我々は、幸せ者なのだぞ? こんなお言葉は普通、いただけないのだぞ?」
お父様と同じく曲がったことが大嫌いな、貴族らしくない――とても素敵な方、ガエタンおじ様。そんなおじ様は1度大きく鼻を啜り、ロドルフ様の肩に軽く叩かれた。
「せっかくいただいたチャンス、優しさを無駄にするな。これから一生をかけて、何らかの形で共に御恩を返してゆこう。……ロドルフ。その噂を流したのは、お前なのだな?」
「…………ちっ、違います!! まっ、マリーっ、勝手に話を進めないでくれっ!! 父上もですっ!! どうして勝手に温情を与えられる流れになっていてっ!! 犯人と決めつけられているのですかっ!?」
俯かれていたお顔が上がるや、大絶叫。私の――私達の鼓膜が、破れそうになるほどに激しく震えたのだった。
「とっ、とんでもない!! みっ、身に覚えがありませんよっ!! 父上っ、そちらは酷い濡れ衣ですっ!」
血相を変えたおじ様のお顔。そちらに見据えられたロドルフ様は、どもりながらも大声で否定を行った。
それを認めてしまえば、大変なことになる。個人としてだけではなくお家としても大きな問題となるのだから、認めはしないと思っていた。
「…………ロドルフ様。私はそれを罪とするつもりはございません。こちらはただ、張本人に否定をしていただいての一刻も早い収拾を望んでいるだけなのですよ」
何かが切っ掛けで使用人がそう愚痴ったと勘違いをしてしまっていた、などなど。そういった方向で『自分が意図せず広めてしまった』と皆さまに伝えていただく。それが私の希望。
政略結婚は、貴族としての宿命。ご先祖様が築き上げてきたものを今後も維持させるためにも、領民の皆様の生活をより安定させるためにも、必要なもの。なので、解消するつもりはない。
それに、何より――
ロドルフ様がそうされたということは、そこまでしたくなることがあったということ。
それに気付けなかった、配慮できなかった自分にも非がある。
なので、お相子。全てを水に流してリセットする。
ロドルフ様は元々私のことをちゃんと見てはくれない方だけれど、生涯を共にするのであれば少しでも関係が良好な方がいいから。これを切っ掛けにして、ちょっとでもよりよい関係を築いていきたいと思っている。
上から目線に聞こえないように注意しながら、『元々私のことを』以外の内心を言葉にしてお伝えした。
「…………ロドルフよ、お前は――我々は、幸せ者なのだぞ? こんなお言葉は普通、いただけないのだぞ?」
お父様と同じく曲がったことが大嫌いな、貴族らしくない――とても素敵な方、ガエタンおじ様。そんなおじ様は1度大きく鼻を啜り、ロドルフ様の肩に軽く叩かれた。
「せっかくいただいたチャンス、優しさを無駄にするな。これから一生をかけて、何らかの形で共に御恩を返してゆこう。……ロドルフ。その噂を流したのは、お前なのだな?」
「…………ちっ、違います!! まっ、マリーっ、勝手に話を進めないでくれっ!! 父上もですっ!! どうして勝手に温情を与えられる流れになっていてっ!! 犯人と決めつけられているのですかっ!?」
俯かれていたお顔が上がるや、大絶叫。私の――私達の鼓膜が、破れそうになるほどに激しく震えたのだった。
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