婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

文字の大きさ
5 / 72

第1話(4)

しおりを挟む
「………………なるほど。エドゥアル・ライン殿とカーラ・オグタル殿との間に、そういった事が起きていたのですね……」

 あれから、およそ20分後。私達はコーヒーを注文して向かい合う形でテーブルにつき、全てを打ち明けさせてもらった。
 初対面の方にこうして事情を伝える気になったのは、真摯な目線をくださったことと、この方が大親友のお兄さんだからということ。マリユ様は最初から最後まで真剣に耳を傾けてくださり、我が事のように頷いてくれた。

「あの人達の目的はお金で、途中からずっと騙されていて……。カーラはずっと一緒に遊んでいた、12年来の幼馴染なのに裏切られていて……。悔しくて、言葉は悪くなるんですけど……。復讐したいって、思っています」

 2人にされた分を、全て返したい。相応の罰を、エドゥアルとカーラに与えたい。

「マリユ様がいらっしゃるまでは、それについて考えていたんです。……こんな気持ちのいい日に、変なお話をしてしまって……。ごめんなさい」
「貴方が謝罪をする必要は、全くありませんよ。その手の裏切りは、言語道断。そうしてお怒りになるのはご尤な、僕自身も許せない蛮行です」

 マリユ様は即座に首を左右に振ってくださり、パチン。指を鳴らすと、首に大きな傷跡がある初老の男性――恐らく、護衛兼執事の方がいらっしゃった。

「坊ちゃま。お呼びでございましょうか」
「これから挙げるものを、大至急揃えてもらいたい。よろしく頼む」
「はっ。仰せのままに」

 男性は恭しく頭を下げたあと洗練された所作でこの場を離れ、大きな馬車が西へと走っていった。
 今の指示は……。なに……?

「貴方の目的を果たす為に、必要な物を調達しています。先ほど申し上げたように、これは僕としても看過できないものですので。ご協力をさせていただきます」
「いっ、いえっ。そこまではしていただけませんよっ。相談に乗ってくださるだけでも非常に有難いことですのでっ」
「ソフィー様。僕は侯爵家の次期当主であり、『ハトの知人』の兄です。貴族としても、個人的にも、こういった問題は無視はできないのですよ。どうか、協力をさせてください」
「……………………は、はい。お言葉に、甘えさせていただきます」

 引き続き真摯さが宿った眼差しと、深々としたお辞儀。それらに対して私は立ち上がり、両手を前で揃えて深く頭を下げさせていただいた。
 ここまで仰ってくださっているのに断るのは、かえって失礼に当たってしまう。マリユ様、お力をお貸しください。

「差し出口など、我が儘を受け入れてくださりありがとうございます。では早速ですが、いわゆる復讐方法について提案がございます。代々宰相を務める家系故に、僕は法律に強いのですよ」

しおりを挟む
感想 226

あなたにおすすめの小説

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください

今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。 しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。 ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。 しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。 最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。 一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。 格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。 正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。 だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。 「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...