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第1話(4)

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「………………なるほど。エドゥアル・ライン殿とカーラ・オグタル殿との間に、そういった事が起きていたのですね……」

 あれから、およそ20分後。私達はコーヒーを注文して向かい合う形でテーブルにつき、全てを打ち明けさせてもらった。
 初対面の方にこうして事情を伝える気になったのは、真摯な目線をくださったことと、この方が大親友のお兄さんだからということ。マリユ様は最初から最後まで真剣に耳を傾けてくださり、我が事のように頷いてくれた。

「あの人達の目的はお金で、途中からずっと騙されていて……。カーラはずっと一緒に遊んでいた、12年来の幼馴染なのに裏切られていて……。悔しくて、言葉は悪くなるんですけど……。復讐したいって、思っています」

 2人にされた分を、全て返したい。相応の罰を、エドゥアルとカーラに与えたい。

「マリユ様がいらっしゃるまでは、それについて考えていたんです。……こんな気持ちのいい日に、変なお話をしてしまって……。ごめんなさい」
「貴方が謝罪をする必要は、全くありませんよ。その手の裏切りは、言語道断。そうしてお怒りになるのはご尤な、僕自身も許せない蛮行です」

 マリユ様は即座に首を左右に振ってくださり、パチン。指を鳴らすと、首に大きな傷跡がある初老の男性――恐らく、護衛兼執事の方がいらっしゃった。

「坊ちゃま。お呼びでございましょうか」
「これから挙げるものを、大至急揃えてもらいたい。よろしく頼む」
「はっ。仰せのままに」

 男性は恭しく頭を下げたあと洗練された所作でこの場を離れ、大きな馬車が西へと走っていった。
 今の指示は……。なに……?

「貴方の目的を果たす為に、必要な物を調達しています。先ほど申し上げたように、これは僕としても看過できないものですので。ご協力をさせていただきます」
「いっ、いえっ。そこまではしていただけませんよっ。相談に乗ってくださるだけでも非常に有難いことですのでっ」
「ソフィー様。僕は侯爵家の次期当主であり、『ハトの知人』の兄です。貴族としても、個人的にも、こういった問題は無視はできないのですよ。どうか、協力をさせてください」
「……………………は、はい。お言葉に、甘えさせていただきます」

 引き続き真摯さが宿った眼差しと、深々としたお辞儀。それらに対して私は立ち上がり、両手を前で揃えて深く頭を下げさせていただいた。
 ここまで仰ってくださっているのに断るのは、かえって失礼に当たってしまう。マリユ様、お力をお貸しください。

「差し出口など、我が儘を受け入れてくださりありがとうございます。では早速ですが、いわゆる復讐方法について提案がございます。代々宰相を務める家系故に、僕は法律に強いのですよ」

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