婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

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第1話(5)

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「まず初めに、お伝えしておかなければならない事があります。エドゥアル・ラインとカーラ・オグタルを、『ソフィー様がいずれ受け継ぐ資産を狙った』という罪に問う事はできません」

 周りに聞こえないよう、声は小さめ。復讐方法に関する提案が始まると、いきなり驚いてしまう内容が出た。
 ぇ……。ぇ……?

「本人達がああ言っていて私もよく知っていても、無理なのですか? ど、どうしてなのでしょう……?」
「偶然聞かれた言葉達は、ジョークだった。こう返されると、これ以上の追及が出来なくなってしまうからですね。今の彼らは企んでいる状態、実際に行動を始めるのは結婚後ですので。婚約段階ですと、証拠は『言葉』のみ――そちらに関するアクションは一切起こしていないが故に、罪に問う事は出来ないのですよ」

 言わずもがな結婚し泳がせれば問えますが、偽りの結婚はデメリットが多すぎますのでそうなります――。マリユ様はそう仰って、きっと、私に不安を与えないようにしてくださっているんだと思う。「ですがご安心ください。違うやり方を使えば、両者にきっちりとした罰を与えられますよ」と、間髪いれず口元を緩めてくださった。

「その方法は、『慰謝料の請求』です。婚約者と幼馴染に騙され続け、多くの時間を台無しにされた。心を酷く傷つけられた。その代償として、金銭を支払わせるのですよ」
「……きん、せん……」
「ハツルエ家には必要のないものですが、この場合『お金』は非常に大きな意味を持ちます。……念の為に、今一度確認しておきますが――。両者のご両親は、無関係なのですよね?」
「は、はい。この作戦は2人の独断で、4人は無関係です」

 おじ様やおじさん達は心から喜んでくれていたし、さっき『父さん達に協力させられたらな』と愚痴っていた。なのでこれは勘違いではなくって、事実。

「でしたら騙して大金を奪おうとした2人が大金を失う羽目になりますし、この手の罪は慰謝料を関係者が自力・・・・・・で捻出しなくてはなりません。そしてもしも支払えない場合は、個人的な破産――貴族籍を剥奪されて平民以下の地位に堕ち、更には強制労働によって――鉱山での労働によって、調達しなればなりません」

 マリユ様は北の方角を――『ラング鉱山』がある方向を一瞥して、続ける。

「あいにくとこの国では、浮気では懲役刑の判決は出ません。ですがこうする事によって、実質的に心身を拘束する事が可能となります。よい作戦とは思いませんか?」
「おっ、思いますっ。私が望んでいたものですっ」

 私でも知っている情報、慰謝料は罪の重さに比例する。つまり2人がやったことが罰となって返ってくるのだから、それはピッタリの作戦ですっ。

「では、こちらで決定ですね。それではこれより、カフェの店内に場所を移して――より人気(ひとけ)がない空間で、そのために必要なもののご説明をさせていただきますね」
「お、お願いしますっ」

 私は即座に顎を引いて、外からお洒落な半個室へと移動。人の気配が格段に少なくなった場所で、マリユ様のお口を注視したのでした。

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