婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

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第3話 2日後 夜 1回目の状況確認、そして(2)

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「今回は、僕がハトなのですよ。ソフィー様。こちらは貴方の友人、『ハトの知人』からの手紙になります」

 マリユ様が懐から取り出したのは、清潔感のある真っ白な封筒。いつもハトさんが運んできてくれる、大切な大切な物でした。

「どうぞ。ご覧になってみてください」
「あっ、ありがうとございまっ――すっ、すみませんっ。ありがとうございます」

 予想外の出来事に興奮してしまい、小さく頭を下げて両手で受け取る。
 アリス様、大好きな存在からのお手紙。なにかが書かれているのかな……?

《先日は約束を違えてしまい、ごめんなさい。
 あんなにも楽しみにしてくださっていたのに、わたしの都合で延期としてしまったことを許してください。
 この埋め合わせは、必ずさせていただきます》

《貴女が辛い思いをしている時に友人として傍に居られないことが、申し訳なく、悔しいです》

《ソフィーさん、安心してくださいね。貴方の未来にあるのは、笑顔だけです。ここからはずっと、上向きの人生ですよ。
 わたしが保証します》

 下部にハトのイラストが入った、かわいらしい便箋。そこにはいつも通りの綺麗な文字が並んでいて、いつものように心がほわっとなる内容が詰まっていました。

「その笑顔。ソフィー、宝物がまた一つ増えたようだな」
「はい……っ。……マリユ様。三十分、いえ二十分ほど、お時間をいただけますでしょうか?」
「ええ。このあとの予定は、ありません。いつまでもお待ちできますよ」
「ありがとうございます……っ。マリユ様、少々失礼いたします」

 ペコリとお辞儀をした私は2階にある自室に戻り、封筒や便箋を取って机に向かう。
 今わたしの心の中にある感情――感謝の気持ち達を文字にして、お返事のお手紙が完成。今日は窓の外でハトさんが待ってくれてはいないので、階下にいらっしゃるお兄様に託した。

「マリユ様。こちら、よろしくお願い致します」
「畏まりました。このお手紙は責任を持って、『ハトの知人』に届けます」

 大事にお渡しした手紙は大事に扱われて懐に入り、そのあとはお出しした紅茶とお菓子を交えながら2人で――お父様は外出の用事があるため、2人で作戦に関するお話をもう一つします。
 マリユ様の調べによると、カーラとエドゥアルが次にデートをするのは7日後。その際にマリユ様が証拠を確保し、とあるおまけを行ってくださるそうです。
 そしてソレを伺ったあとは、マリユ様曰く『口直し』として楽しい話題で少しだけお喋りをちょっとした世間話をして、解散――マリユ様が、戻られることになった。

「明後日は、証拠その2の実行ですね。その御様子でしたら、不要な言葉だとは思いますが――。もしも何かしらのトラブルが発生しても、あらゆるフォローが可能となっておりますので。安心してください」
「はい、ありがとうございます。マリユ様がいてくださって、『ハトの知人さん』――アリス様も、いてくださっていますので。必ず次も、成功させます」

 本番になっても――カーラを目の前にしても、少しも動揺はしないと分かる。マリユ様達がいてくださる限り、何も怖くない……っ!

「今夜も一昨日も、ありがとうございました。お気をつけて」
「大切なものを預かってもいますので、輪をかけて細心の注意を払います。ソフィー様、良い夢を」

 懐にそっと左手を添えながら流麗なお辞儀をしてくださり、これは秘密裏の接触なため、家内でお見送り。マリユ様は爽やかで品の良い笑顔を携えて帰路に付かれ、こうして作戦の1日目が幕を閉じたのでした。

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