婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

文字の大きさ
25 / 72

第5話 4日後 夜 2回目の状況確認、そして(2)

しおりを挟む
《前回は具体的な日時をお伝え出来ず、申し訳ありませんでした。
 今夜から5日後――丁度最後の作戦が終わった日の夜に、家の用事が片付きます。ですのでその翌日からは、当分は自由に過ごせるようになります》

《今度こそ、お会いできます。
 よろしければその際は、わたしの部屋に来てくださいませんか? ソフィーさんが大好きなアップルパイを食べながら、お喋りを出来たらなと思っています》

《そこで、空いているお時間を教えてください。
 前回は場所も時間もわたしが指定してしまいましたので、お詫びの意味も込め、ソフィーさんの都合が良い日時を仰ってくださいね》

《PS 現在行っている作戦は、円滑に進行すると確信しています。
    ですから、貴方が決めた予定は延期しません。お返事にある日時に開けるように、準備をしていますね》

 下部にハトのイラストが入った、かわいらしい便箋。そこにはいつもの綺麗な文字が並んでいて、こんなことが書かれていました。

「今度こそ、『ハトの知人』さんに――アリス様に、会えるんだ……っ。ま、マリユ様っ」
「はい。なんでしょう?」
「今から6日後、落ち着かれた次の日なのですけど。この日を指定しても、アリス様の心やお体にご迷惑はかからないのでしょうか?」

 それはずっと待ち望んでいたことで、出来るだけ早く会いたい。でもOKが出ているとはいえ翌日だから、疲れ具合をお兄様に伺っておく。
 ほんとに、この日にしてもいいのかな……?

「『ハトの知人』は、直前での反故をとても気にしていました。むしろ逆でして、そうして頂けるとありがたいのですよ」
「そうなんですね……っ。でしたらその日にさせてもらって、マリユ様失礼します……っ。お返事を書いてきます」

 表情と声音で嘘はないと分かり、急いで部屋に戻って机に向かう。
 今回手紙に詰め込むのは、喜びと期待の気持ち。

《ソフィーさん、安心してください。お医者様は、嘘は吐きません。半年後には必ず、お外で遊べるようになりますよ》

 療養中に送ってくれたことは事実になって、だから、

《現在行っている作戦は、円滑に進行すると確信しています》

 これも、そう。マリユ様の存在だけでも大きいのに、『ハトの知人』さんの言葉が更に背中を押してくれてるから、今まで以上の希望で満ちている。
 そのため私にも確信があって、自信を持って日時を記す。6日後の夕方4時に伺うという予定を書いた便箋を封筒に入れ、両手でマリユ様にお渡しした。

「いつもありがとうございます。本日も、よろしくお願いいたします」
「ええ。責任を持って『ハトの知人』に届けますよ」

 今回も宝物を扱うかのように丁寧に懐へと仕舞ってくださり、そうしているとお帰りになられる時間になった。まずはお父様と別れの挨拶を交換して、次は私と。深いお辞儀を返すと同様の動きをしてくださって、そのあと。柔らな微笑みが作られた。

「3日後はその3、ソフィー様が行う最後の作戦ですね。その舞台となるは、エドゥアル・ラインの家の庭でしたよね?」
「はい。そこで、パーティーをする予定になっています」

 彼の友人3人と私、偶数月のその日はお茶会がないためカーラが加わり、月1で行われている計6人の集い。本当に親しい人だけが参加する無礼講なもので、お庭で食事をしたりゲームをしたりするようになっている。
 なお今月は5月で、カーラ抜き。参加者は5人となっています。

「その際は付近には常時複数の人間がおり、料理などを運ぶのは家内の者――非協力者。それ故に、様々な企みは物理的に不可能。安心して動けますので、良い最後の思い出を作れますね」
「そうですね……っ。最後の思い出を作り、証拠を確保してきます……っ」

 3日後は、婚約者として会う最後の日。なので『ちょっとしたこと』も考えていて、最後のお礼をしながら収集するのです。

「ソフィー様、ご健闘を祈っております。よい決別を」
「ありがとうございますマリユ様。お気をつけて」

 今夜も内密な接触なため、お見送りは家内で行う。私は改めて頭を下げ、そうしたらマリユ様は「ハトになって参ります」と、小さく笑って去られたのでした。

しおりを挟む
感想 226

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

あなたと妹がキモ……恐いので、婚約破棄でOKです。あ、あと慰謝料ください。

百谷シカ
恋愛
「妹が帰って来たので、今日はこれにて。また連絡するよ、ルイゾン」 「えっ? あ……」 婚約中のティボー伯爵令息マルク・バゼーヌが、結婚準備も兼ねた食事会を中座した。 理由は、出戻りした妹フェリシエンヌの涙の乱入。 それからというもの、まったく音沙汰ナシよ。 結婚予定日が迫り連絡してみたら、もう、最悪。 「君には良き姉としてフェリシエンヌを支えてほしい。婿探しを手伝ってくれ」 「お兄様のように素敵な方なんて、この世にいるわけがないわ」 「えっ? あ……ええっ!?」 私はシドニー伯爵令嬢ルイゾン・ジュアン。 婚約者とその妹の仲が良すぎて、若干の悪寒に震えている。 そして。 「あなたなんかにお兄様は渡さないわ!」 「無責任だな。妹の婿候補を連れて来られないなら、君との婚約は破棄させてもらう」 「あー……それで、結構です」 まったく、馬鹿にされたものだわ! 私はフェリシエンヌにあらぬ噂を流され、有責者として婚約を破棄された。 「お兄様を誘惑し、私を侮辱した罪は、すっごく重いんだからね!」 なんと、まさかの慰謝料請求される側。 困った私は、幼馴染のラモー伯爵令息リシャール・サヴァチエに助けを求めた。 彼は宮廷で執政官補佐を務めているから、法律に詳しいはず……

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。  レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。  知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。  私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。  そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

処理中です...