婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

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第15話 ハトの知人(2)

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((この、紅茶……。アップルパイよりも、甘さと優しく包まれている感覚があって……。なのに……。甘さも優しさも、スゥッと離れていくような感じがある……))

 これまで感じたことのないものがそこにはあって、私はもう一度目を瞬かせる。
 これは、なに? どうしてこんなにも、距離を感じるの?

((紅茶、だから? ザッハトルテやパイに比べて、知人さんが関わってくれている時間が少ないからそう感じるの?))

 ううん、それはきっと違う。だって甘さや優しさは、パイよりも感じられるんだもん。時間の長短が理由じゃない。

((だったら……。どうしてなの……?))

 こんな感覚は、初めてだったから。ハトの知人さんが、私から離れていってしまいそうな気がしたから。原因を探す。

((…………もしかして…………。何かしらの事情で、会えるのは今回が最後だから?))

 多忙で8年間も会えなかったのに、先週会えるようになった――今日、会えた。そういう機会はなくなるから、思い出として無理やり時間を作ってくれた?

「? ソフィーさん? マジマジ見てどうしたの? ワタシの顔に、何かついてる?」
「うっ、ううん、ついてないよ。なんでもなくって、ただ見ただけなの」

 多分、これも違う。
 アリス様には、そんな雰囲気は微塵もない。知人さんは私を大切に想ってくださっているから、もしそれが事実なら少しくらいは表に出るはず。
 だから、そうじゃない。

((じゃあ………。どうして、そう感じるの……? …………どこかに、手掛かりは、ない……?))

 お喋りをしながらアリス様の節々まで確認して、結果はなし。
 だけどこうなっている原因は、必ず『ハトの知人さん』にある。なので今度は、時間を巻き戻し。今日出会ってから今までを、振り返ってみる事にした。

「初めて手紙が届いた時は、ビックリしたよ。知人さんは、前からハトを飼ってたの?」
「ええ。ウチは、ジョンピス――入れ替えると姓の中にピジョンが入っていて、初代当主が家の紋章に鳩を採用した。その影響で伝書鳩を飼っていて、可愛いからその子に頼むようにしたの」

 こんな話をしながら、思い出してゆく。

((ホールで会った時は……………………。おかしなところは、何もなかった))

 そのあと移動する際も…………なくって……。紅茶とパイの用意をしに行ってくださる時は……………………ここでも、なにもなかった。

((パイを持って戻ってきた際………………にも、おかしなところはない。『お待たせ』と私に言ってくれた時も、普通だったし…………。『夢が一つ、叶いましたわ』と、マリユ様に言っている時も…………。おかしな点は、どこにも――ぁ!!))

 あった。あった!
 思い返せば、そっくり。これとおんなじだ。

((あの時の。部屋を出る際の、マリユ様の微笑みが……!))

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