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第15話 ハトの知人(3)
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「………………知人さん。この紅茶もパイも、貴方が淹れて、作ってくれたんですよね?」
「ええ、そうよ。だって今日は、記念すべき日なんだもの。パイは午後の3時ごろ、紅茶はさっき、腕によりをかけて準備したわ」
アリス様は即座に頷き、テーブルの上にあるカップやお皿を見回した。
……やっぱり……。そういうことなんだね。
「ソフィーさん、突然どうしたの? パイと紅茶に、気になることがあった?」
「…………はい、ありました。その2つを口にして、気が付きました。アリス・ジョンピス様。貴方は、『ハトの知人』さんではありませんね?」
この方は、違う。本物は――。
「本物の『ハトの知人』さんは、貴方のお兄様。マリユ・ジョンピス様ですよね?」
紅茶に宿っていた感情と去り際の表情は、同じ。そして紅茶に含まれていた甘やさ柔らかさは、アップルパイにも含まれていた。
そのアップルパイは、特製のザッハトルテと同様――作った人は、『ハトの知人』。なので必然的に、私のペンフレンドは――。大切な人は――。あの方になる。
「…………ようやく、分かりました。3回目の夜の、粗相の理由が」
マリユ様ではなく、マリユさんと呼んでしまったワケ。あれは無意識的に、マリユ様から『ハトの知人』さんを色を感じていたから。
そして、さっき。キッチンスペースへと向かわれたアリス様を、待っている際。思い返せば私は、ハトの知人様、と言っていた。
あれも無意識的なもので、マリユさんの時とは逆。アリス様とは一面識もなく、本能的に畏まっていたため起きたこと。
「私には、8年間交流している私には、分かります。マリユ様が、知人さんなのですよね?」
「…………ふふふっ、お見事。大正解よ。ここに居るワタシは、代行者。真の『ハトの知人』は、マリユ兄様よ」
アリス様はクスリと微笑んで立ち上がり、上機嫌でパチパチと拍手を始めた。
え? ええ? 上機嫌……!?
「ソフィーさん、ワタシはね。他者の懐に入る事が、得意なの。相手が好む性格を演じて、こざかしい連中を手玉に取るのが好きなのよ」
「そ、そうだったのですね……」
「だから、人を『見る目』も肥えてるの。貴女なら真実に気付けると、確信していたわ」
引き続き上機嫌なアリス様は私に歩み寄り、右方向――曰く、マリユ様の自室がある方向へと視線を動かしました。
「あの人はね、ワタシから見れば過保護が入ってるのよ」
あの日カフェを待ち合わせ場所にした経緯。アリス様に任せた経緯。これまでの想い。キッチンスペースで明かされた想い。とある一部分は教えられないそうだけど、それら以外は全て教えてくださった。
「過保護たちは時として目を濁らせ、何かと見落としてしまうわ。……ソフィーさん」
「は、はいっ」
「そういった理由で真実に気付けたのなら、余計な言葉は不要よね? 今その胸に抱いている気持ちを、兄様に届けてあげて」
「はいっ! ありがとうございます、アリス様」
にこやかな笑顔に、深々とお辞儀。そうして私は、
「お兄ちゃん。これは、約束の反故じゃないわよ? だってあたしは、『問われたら答えるな』とは言われていないんだもの」
そんな温かみのある笑い声を聞きながら、マリユ様の――『ハトの知人』さんのお部屋を目指したのでした。
「ええ、そうよ。だって今日は、記念すべき日なんだもの。パイは午後の3時ごろ、紅茶はさっき、腕によりをかけて準備したわ」
アリス様は即座に頷き、テーブルの上にあるカップやお皿を見回した。
……やっぱり……。そういうことなんだね。
「ソフィーさん、突然どうしたの? パイと紅茶に、気になることがあった?」
「…………はい、ありました。その2つを口にして、気が付きました。アリス・ジョンピス様。貴方は、『ハトの知人』さんではありませんね?」
この方は、違う。本物は――。
「本物の『ハトの知人』さんは、貴方のお兄様。マリユ・ジョンピス様ですよね?」
紅茶に宿っていた感情と去り際の表情は、同じ。そして紅茶に含まれていた甘やさ柔らかさは、アップルパイにも含まれていた。
そのアップルパイは、特製のザッハトルテと同様――作った人は、『ハトの知人』。なので必然的に、私のペンフレンドは――。大切な人は――。あの方になる。
「…………ようやく、分かりました。3回目の夜の、粗相の理由が」
マリユ様ではなく、マリユさんと呼んでしまったワケ。あれは無意識的に、マリユ様から『ハトの知人』さんを色を感じていたから。
そして、さっき。キッチンスペースへと向かわれたアリス様を、待っている際。思い返せば私は、ハトの知人様、と言っていた。
あれも無意識的なもので、マリユさんの時とは逆。アリス様とは一面識もなく、本能的に畏まっていたため起きたこと。
「私には、8年間交流している私には、分かります。マリユ様が、知人さんなのですよね?」
「…………ふふふっ、お見事。大正解よ。ここに居るワタシは、代行者。真の『ハトの知人』は、マリユ兄様よ」
アリス様はクスリと微笑んで立ち上がり、上機嫌でパチパチと拍手を始めた。
え? ええ? 上機嫌……!?
「ソフィーさん、ワタシはね。他者の懐に入る事が、得意なの。相手が好む性格を演じて、こざかしい連中を手玉に取るのが好きなのよ」
「そ、そうだったのですね……」
「だから、人を『見る目』も肥えてるの。貴女なら真実に気付けると、確信していたわ」
引き続き上機嫌なアリス様は私に歩み寄り、右方向――曰く、マリユ様の自室がある方向へと視線を動かしました。
「あの人はね、ワタシから見れば過保護が入ってるのよ」
あの日カフェを待ち合わせ場所にした経緯。アリス様に任せた経緯。これまでの想い。キッチンスペースで明かされた想い。とある一部分は教えられないそうだけど、それら以外は全て教えてくださった。
「過保護たちは時として目を濁らせ、何かと見落としてしまうわ。……ソフィーさん」
「は、はいっ」
「そういった理由で真実に気付けたのなら、余計な言葉は不要よね? 今その胸に抱いている気持ちを、兄様に届けてあげて」
「はいっ! ありがとうございます、アリス様」
にこやかな笑顔に、深々とお辞儀。そうして私は、
「お兄ちゃん。これは、約束の反故じゃないわよ? だってあたしは、『問われたら答えるな』とは言われていないんだもの」
そんな温かみのある笑い声を聞きながら、マリユ様の――『ハトの知人』さんのお部屋を目指したのでした。
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