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第2話 ルイーズ視点(2)
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「俺も二人に助けを求められた際は、微塵も信用できなかった。なぜなら犯人はあの、ルイーズ・エンティアだと言うのだからな」
カフェテリア内を見回していたイザック様は、私を一瞥。そうして再び、皆様へと視線を戻しました。
「だが調べてみると、その通りだった。……この女は擬態が非常に上手く、いつも保険をかけていたんだ。もし何かあっても『犯人ではない』と思い込ませられるように、ずっと動いていたのだよ」
流石は、歴史のある伯爵家の次期当主様ですね。私が捏造を指摘しても焦りは僅かもなく、まるで事実であるかのように語ります。
「言い分を聞いたあとも俺は信用できず、『この二人がルイーズに嫉妬をし、罪を捏造しているのではないか?』と考えもした。しかし――。調査の結果目撃者は計9名もおり、先生方に同席していただいて個別に取り調べをした結果、その9名に不自然な点はどこにもなかった」
「「「「「………………」」」」」
「そして念のため、ミラ・ヴィレアとマイリス・タユレスの調査も内密に行った。そうすれば彼女達に嫉妬の疑いもなく――。ルイーズを信じたくても、信じられなくなってしまったのだよ」
先生方を上手く騙せた、そういった部分も一因なのでしょう。お顔にも声調にも、その際の身振り手振りにも、不審な色は全くありません。この場の雰囲気を変えるだけの力を持つ、そんなものでした。
ですが、イザック様。そういったものでは押し通せませんし、むしろそれは逆効果ですよ?
「そもそもだ。俺が罪を捏造だと? 自ら告白をし、正式な交際を経て婚約を申し込んでおいて、なんのために行うのだ? そう言うのであれば、明確な理由があるのだろう? 大勢の前ではっきりと、俺に教えてくれ」
「承知いたしました。言及させていただきます」
上手く、誘導に乗っていただけました。ですの私はご希望に沿って、まずは、事前に用意していた言葉をはっきりと口にしたのでした。
「イザック様。貴方様にとって私は、お金を生むだけの存在。慰謝料などを請求するために、交際と婚約をされていたのですよね?」
カフェテリア内を見回していたイザック様は、私を一瞥。そうして再び、皆様へと視線を戻しました。
「だが調べてみると、その通りだった。……この女は擬態が非常に上手く、いつも保険をかけていたんだ。もし何かあっても『犯人ではない』と思い込ませられるように、ずっと動いていたのだよ」
流石は、歴史のある伯爵家の次期当主様ですね。私が捏造を指摘しても焦りは僅かもなく、まるで事実であるかのように語ります。
「言い分を聞いたあとも俺は信用できず、『この二人がルイーズに嫉妬をし、罪を捏造しているのではないか?』と考えもした。しかし――。調査の結果目撃者は計9名もおり、先生方に同席していただいて個別に取り調べをした結果、その9名に不自然な点はどこにもなかった」
「「「「「………………」」」」」
「そして念のため、ミラ・ヴィレアとマイリス・タユレスの調査も内密に行った。そうすれば彼女達に嫉妬の疑いもなく――。ルイーズを信じたくても、信じられなくなってしまったのだよ」
先生方を上手く騙せた、そういった部分も一因なのでしょう。お顔にも声調にも、その際の身振り手振りにも、不審な色は全くありません。この場の雰囲気を変えるだけの力を持つ、そんなものでした。
ですが、イザック様。そういったものでは押し通せませんし、むしろそれは逆効果ですよ?
「そもそもだ。俺が罪を捏造だと? 自ら告白をし、正式な交際を経て婚約を申し込んでおいて、なんのために行うのだ? そう言うのであれば、明確な理由があるのだろう? 大勢の前ではっきりと、俺に教えてくれ」
「承知いたしました。言及させていただきます」
上手く、誘導に乗っていただけました。ですの私はご希望に沿って、まずは、事前に用意していた言葉をはっきりと口にしたのでした。
「イザック様。貴方様にとって私は、お金を生むだけの存在。慰謝料などを請求するために、交際と婚約をされていたのですよね?」
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