婚約破棄ですか？ それはこれから、私が貴方に行うものですよ？

第５話 その後のイザック達 俯瞰視点（３）

「悪評は存じ上げておりましたが、わたしは皆様の更生を信じておりました。それ故に、両家に御支援を行う予定でしたが……」

　ヒートアップして、目と鼻の先で睨み合っている６人。イザックやマイリスを呆れ顔で見渡し、嘆息しました。

「室外に漏れていた怒声と現在の状況。これらを鑑み、更生の可能性は０だと判断いたしましたので。お引き取りください」
「まっ、待ってくだされっ！　こっ、ここにご夫人へのお土産が――」
「そちらよりっ、こちらをお受け取りくだされっ！　ご夫人へのお土産を――」
「……そういった行動をされるから、なのですよ。リトラン卿、タユレス卿。お引き取りください」

　大急ぎで箱を手に取り、相手の顔を押しながら走り寄った当主２人。そんな２人に呆れの視線を注ぎ、改めて宣告します。
　そして、

「おっ、お待ちくださいっ！　わたくし達は反省しておりますっ！　これは、ですね……っ。この者達に非があるのですわっ！」
「違いますわっ！　元々はリトラン家の方々が突っかかってきて、そちらに対応していただけですのっ！」

「俺は元凶として深く反省し、支払い後も継続して謝罪を行うと決めておりましたっ。ですがこのマイリスという女はっ、まったく反省しておらずっ！　それを咎めていただけなのですよっ！」
「なんですって!?　当主様それは出任せですわ!!　反省しているのはわたくしでっ、この方は微塵も省みていません!!」

　それによって妻と子ども達も必死になって食い下がりますが、当主の考えが覆ることはありません。

「お願いします！　どうかっ、我々にご支援を!!」
「いえっ！　我々こそに救いの手を!!」

「リトラン家は、やり直せる家でございます……っ。なにとぞ……っ」
「お願い致します……っ。タユレス家に、手をお差し伸べください……!!」

「我々にチャンスを……っ！　いただきたく、思います……！」
「わたくしどもを……っ。信じて、くださいまし……っ」

「…………お前たち、お客様がお帰りだ。外までご案内してくれ」

　縋る６人に大きなため息を吐き、６人は邸の人間によって邸外へと移動させられます。こうして彼らの作戦は失敗に終わり、ですが、この騒動はまだ終わりません。
　追い出された門の前で、６人は――