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第1話 怯え始めた元婚約者 オラース・エイデア視点(2)
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「ラウルっ! ラウルっ!! 来てくれっっ!!」
3つ離れたクラスに在籍する、この学院内では同級生でもある従者。確実に信頼のできる、我が家(いえ)の人間を呼び寄せた。
「は、はい。我が主、いかがされましたか?」
「お前はすぐさま早退をしてあの女をっ、ノエルを追いかけろっ!! アイツを逐一監視するんだっっ!!」
ヤツの動きは、おかしい! あり得ない! ならばその裏には、何かの意図があるに違いない!!
それを解明するため、俺は大声で指示を出した。
「あまりにも従順しゅぎ――従順がすぎる! アイツはきっと何か企んでいる!! あの件の否定――全ては俺の捏造なのだと証明するための罠かもしれない!! こちらを油断させているかもしれないんだよ!!」
「……お言葉ですが、我が主。あの方は実際に退学をされており、残りの二つを実行するべくあのように去られました。少なくともそれらの行動に違和感はありませんでしたし、仮に万一そういった思惑があったとしても、ノエル様のお家は――当主夫妻は、主には決して逆らえません。『ラーデルン家』として動くことが不可能なのですから、何もできないと思いますよ……?」
「そ~ですよぉ、オラース様ぁ。心配をしちゃい過ぎてますよぉ?」
「いや、そうじゃないよロゼッタ。何を言っているんだラウル!! じゃああの奇行はどう説明するんだ!?」
ちょっぴり楽観的なところが可愛いロゼッタは、ともかくとしてだ! コイツは何を言っているんだっ!? それでよく次期侯爵様の従者が務まるな!!
「自殺行為だぞ自殺行為! 貴族にとっては死んだも同然のことを自らやってしまったんだぞ!? なんの算段もなくすると思うかっ!? しないだろう!? するわけがないだろうっ!?」
「そ、そちらは仰る通りですが……。ノエル様に個人的な『強い繋がり』もありませんし、そのような行動を取れる術はなく――」
「バカかお前は!! それは俺達が見えていなかっただけかもしれないだろう!?」
確かに、そういったものはない。そいつは間違いのない情報だ! 俺だって俺の嘘を暴くことなんて不可能だと思っている! だからああやって作戦を実行したんだからな‼
だが、アレだぞアレ!! あの状況であんな風に笑っていたんだぞ!! 何かを見落としているに決まっているっっ!!
「いいから黙って動け!! ノエルを監視して情報を集めろ!! もちろん気付かれないようにしろよ!! いいなっ⁉」
「ぎょ、御意。ただちに、遂行いたします」
そうして俺はラウルを向かわせ、一安心――なんて、できるはずがない。
「オラース様ぁ、ぇへへぇ。今夜は楽しみですねぇ」
「…………ごめんよ、ロゼッタ。今夜の作戦成功パーティーは、後日に延期だ。すまないが、少しだけ待っていてくれ」
そのため俺自身も楽しみにしていた予定をキャンセルし、放課後になると屋敷に戻ってラウルの報告を待つことにしたのだった。
学院を去ったあと……。ノエルは、どんな行動を取っているんだ……!?
※次のお話より、再びノエル視点となります。
3つ離れたクラスに在籍する、この学院内では同級生でもある従者。確実に信頼のできる、我が家(いえ)の人間を呼び寄せた。
「は、はい。我が主、いかがされましたか?」
「お前はすぐさま早退をしてあの女をっ、ノエルを追いかけろっ!! アイツを逐一監視するんだっっ!!」
ヤツの動きは、おかしい! あり得ない! ならばその裏には、何かの意図があるに違いない!!
それを解明するため、俺は大声で指示を出した。
「あまりにも従順しゅぎ――従順がすぎる! アイツはきっと何か企んでいる!! あの件の否定――全ては俺の捏造なのだと証明するための罠かもしれない!! こちらを油断させているかもしれないんだよ!!」
「……お言葉ですが、我が主。あの方は実際に退学をされており、残りの二つを実行するべくあのように去られました。少なくともそれらの行動に違和感はありませんでしたし、仮に万一そういった思惑があったとしても、ノエル様のお家は――当主夫妻は、主には決して逆らえません。『ラーデルン家』として動くことが不可能なのですから、何もできないと思いますよ……?」
「そ~ですよぉ、オラース様ぁ。心配をしちゃい過ぎてますよぉ?」
「いや、そうじゃないよロゼッタ。何を言っているんだラウル!! じゃああの奇行はどう説明するんだ!?」
ちょっぴり楽観的なところが可愛いロゼッタは、ともかくとしてだ! コイツは何を言っているんだっ!? それでよく次期侯爵様の従者が務まるな!!
「自殺行為だぞ自殺行為! 貴族にとっては死んだも同然のことを自らやってしまったんだぞ!? なんの算段もなくすると思うかっ!? しないだろう!? するわけがないだろうっ!?」
「そ、そちらは仰る通りですが……。ノエル様に個人的な『強い繋がり』もありませんし、そのような行動を取れる術はなく――」
「バカかお前は!! それは俺達が見えていなかっただけかもしれないだろう!?」
確かに、そういったものはない。そいつは間違いのない情報だ! 俺だって俺の嘘を暴くことなんて不可能だと思っている! だからああやって作戦を実行したんだからな‼
だが、アレだぞアレ!! あの状況であんな風に笑っていたんだぞ!! 何かを見落としているに決まっているっっ!!
「いいから黙って動け!! ノエルを監視して情報を集めろ!! もちろん気付かれないようにしろよ!! いいなっ⁉」
「ぎょ、御意。ただちに、遂行いたします」
そうして俺はラウルを向かわせ、一安心――なんて、できるはずがない。
「オラース様ぁ、ぇへへぇ。今夜は楽しみですねぇ」
「…………ごめんよ、ロゼッタ。今夜の作戦成功パーティーは、後日に延期だ。すまないが、少しだけ待っていてくれ」
そのため俺自身も楽しみにしていた予定をキャンセルし、放課後になると屋敷に戻ってラウルの報告を待つことにしたのだった。
学院を去ったあと……。ノエルは、どんな行動を取っているんだ……!?
※次のお話より、再びノエル視点となります。
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