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第4話 同時刻~パン屋・パネッタ内~ ノエル視点(3)
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「ジャンの作るカンパーニュ、マリーヌが淹れるオリジナルブレンドはね、店の名物の一つなのさっ」
恩に報いるためにも、一生面命働こう。お店の評判を上げられるよう、明日からは隙のない完璧な接客をしていこう。改めて決意をしていたら、レオニーさんが奥にある工房とカフェスペースを順番に一瞥された。
さっきいただいたものとコーヒーは、本当にとても美味しかった。お腹が一杯になっても『もう一つ食べたいな』とつい思ってしまう程だったので、名物になるのは当然だと思う。
「……でもねぇ……。聞いておくれよ、アンジェリクちゃん……」
「は、はい。なんでしょうか?」
「あたしも対抗して、あたしが淹れるレオニ―セレクトのオリジナルブレンドを出してみようとしたことがあるんだよ。そうしたらなんとまぁ、常連さん全員から『要らない!』ってきっぱり言われちまったのさ! どいつもこいつも、あたしにだって繊細なハートがあるコトを知らないんだよ! これは明るいキャラクターを演じているだけで、実際はウサギのような可愛らしいレディーで――おっといけないっ! これは企業秘密だったよ!」
「……義姉さん……。嘘はいけないよ、嘘は」
「いつもうるさくって、それがキャラならどれほど幸せか……。はぁ……」
「コラっジャンにマリーヌっ、なんだいその反応はっ! もう夫婦揃って失礼な奴らだねえ!」
ジャンさんとマリーヌさんは半笑いでため息を吐き、レオニーさんはオーバーに怒って頬をぷくりと膨らませた。
こちらは本物の喧嘩ではなくて、皆さんの配慮。私が緊張してしまわないように、するりと仲間に加われるように、場を和ませてくださったんだ。
「こんな人達を、歓迎会に参加させるワケにはいかないね! ささアンジェリクちゃん、あっちが会場だよ。二人でカフェスペースに行こうか」
「姉さんごめんごめん、悪かったよ。許してください」
「今日は記念日なんだし、ね?」
「…………仕方ないね、特別に許してあげようじゃないか。じゃあとっとと食べ物を運ぶよっ!」
そうして無事(?)和解となって、私が案内された場所にあるテーブルには沢山のお皿が――焼き立てのパン5種類、シチュー、ハンバーグ、タラモサラダ、コーヒー、ケーキが並んだ。
「さあさあ、食べて食べて! アンジェリクちゃん、遠慮なんかしたら許さないからねっ?」
「はいっ。遠慮なく、いただきます」
またレオニーさん流の優しさをもらって、私は想いがたっぷりと籠ったご馳走をいただく。
そんな食べ物はもちろん頬っぺたが落ちてしまうほど美味しくって、独りでに嬉し涙が出てしまうくらいに幸せで――
「レオニーさん、ジャンさん、マリーヌさん。ありがとうございます。これからよろしくお願いいたしますっ!」
皆さんの優しさによって、私は最高の形で第二の人生を歩み始めたのでした。
〇〇
こうして温かい環境で、光へと進み始めたノエルことアンジェリク。彼女は、知る由もありません。
この日この場で行った自己紹介、そして翌日から始まる接客業が、元婚約者――オラースに、更なる恐怖を与えることを――。
※明日の投稿分より再び、オラース視点となります。
恩に報いるためにも、一生面命働こう。お店の評判を上げられるよう、明日からは隙のない完璧な接客をしていこう。改めて決意をしていたら、レオニーさんが奥にある工房とカフェスペースを順番に一瞥された。
さっきいただいたものとコーヒーは、本当にとても美味しかった。お腹が一杯になっても『もう一つ食べたいな』とつい思ってしまう程だったので、名物になるのは当然だと思う。
「……でもねぇ……。聞いておくれよ、アンジェリクちゃん……」
「は、はい。なんでしょうか?」
「あたしも対抗して、あたしが淹れるレオニ―セレクトのオリジナルブレンドを出してみようとしたことがあるんだよ。そうしたらなんとまぁ、常連さん全員から『要らない!』ってきっぱり言われちまったのさ! どいつもこいつも、あたしにだって繊細なハートがあるコトを知らないんだよ! これは明るいキャラクターを演じているだけで、実際はウサギのような可愛らしいレディーで――おっといけないっ! これは企業秘密だったよ!」
「……義姉さん……。嘘はいけないよ、嘘は」
「いつもうるさくって、それがキャラならどれほど幸せか……。はぁ……」
「コラっジャンにマリーヌっ、なんだいその反応はっ! もう夫婦揃って失礼な奴らだねえ!」
ジャンさんとマリーヌさんは半笑いでため息を吐き、レオニーさんはオーバーに怒って頬をぷくりと膨らませた。
こちらは本物の喧嘩ではなくて、皆さんの配慮。私が緊張してしまわないように、するりと仲間に加われるように、場を和ませてくださったんだ。
「こんな人達を、歓迎会に参加させるワケにはいかないね! ささアンジェリクちゃん、あっちが会場だよ。二人でカフェスペースに行こうか」
「姉さんごめんごめん、悪かったよ。許してください」
「今日は記念日なんだし、ね?」
「…………仕方ないね、特別に許してあげようじゃないか。じゃあとっとと食べ物を運ぶよっ!」
そうして無事(?)和解となって、私が案内された場所にあるテーブルには沢山のお皿が――焼き立てのパン5種類、シチュー、ハンバーグ、タラモサラダ、コーヒー、ケーキが並んだ。
「さあさあ、食べて食べて! アンジェリクちゃん、遠慮なんかしたら許さないからねっ?」
「はいっ。遠慮なく、いただきます」
またレオニーさん流の優しさをもらって、私は想いがたっぷりと籠ったご馳走をいただく。
そんな食べ物はもちろん頬っぺたが落ちてしまうほど美味しくって、独りでに嬉し涙が出てしまうくらいに幸せで――
「レオニーさん、ジャンさん、マリーヌさん。ありがとうございます。これからよろしくお願いいたしますっ!」
皆さんの優しさによって、私は最高の形で第二の人生を歩み始めたのでした。
〇〇
こうして温かい環境で、光へと進み始めたノエルことアンジェリク。彼女は、知る由もありません。
この日この場で行った自己紹介、そして翌日から始まる接客業が、元婚約者――オラースに、更なる恐怖を与えることを――。
※明日の投稿分より再び、オラース視点となります。
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