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第4話(3)
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「アリシアちゃん。そんな風になり始めたのは、突然のこと――一切前兆がないんだよね? それと――今はこれまでずっとあった苦しみなどは、すっかりなくなっているんだよね?」
「う、うん。変化が起き始めたのは突然で、今はまったくない。起きてからずっと、ないよ」
「だよね。……アリシアちゃんの肉体に起きている変化は、発生のタイミングも含めてあまりにも不自然だった。それに加えて呪いというものは、かけた者とかけられた者が『同じ空間』にいないと効果はないんだよ。以上の点から僕は、呪いが原因だと断定したんだ」
殊更柔らかい口調で、わたしの手をそっと握りながら――。恐怖や不安を和らげてくれながら、明言した理由を説明してくれました。
「物語などにしばしば登場し、君がいる世界では眉唾とされている呪い。それは実在していて、遥か昔から悪用され暗躍してるんだ」
「人間のように耐性が全くない種族が住む世界では、殊更ですな。高位の者に訪れた急な不幸の大半は、それが事由なのですぞ」
「…………。そう、だったのですね……」
思い返せば一昨年あった、某国の第2王子殿下の病死。噂によると、その病の発生は突然で……。
今ならそれが偶然ではなく、人為的なものだと分かります。
「確かアリシアさんに異変が起き始めたのは、4か月前。エオマズの王太子と婚約をした直後で、最も影響があるのは『美』。仕掛けた目的は十中八九、嫉妬ね」
「……単に相手を貶めるための呪なのか、己の糧として吸う効果のある呪なのか……。アリシア殿。貴方を投げ激しく憎んでいる者や日に日に美しくなってゆく者の噂などは、耳にしてはおりませぬか?」
「っっ」
「その様子だと、あるみたいだね?」
「あっ、ありますっ。いますっ。美しくなっていっている人が、わたしの近くにいますっ!」
わたしの幼馴染で、次の――新しい王太子妃の、侯爵令嬢エミ・ナーズ。
彼女の情報を、皆さんにお伝えした。
「隣国・ワイズに留学に行く前と2か月前に戻ってきた時では、何もかもが別人だったんです。顔も髪も肌も、エミは見違えるほど綺麗になっていました」
「異変が4で、帰国が2。2か月もあれば、かなりの量を吸い取れるわね」
「ワイズは人間界の中でも、呪いにまつわる話が多い場所と聞く。恐らくはそこで、何かしらの知識を得たのだろうな」
「……犯人はエミ・ナーズで、呪いの種類は吸収。だとしたら、実行者は彼女自身。エミ・ナーズを叩けば、解決できるね」
吸い取る呪いは、吸い取りたい本人がかけないといけないんだ。引き続き明るい調子で口を動かしてくれて、ソラ君は口元を緩めました。
「うむ、その通りだな。……とはいえ、だ」
「分かっていますよ、父さん。この手の呪いは正しく解かないと、吸われたものが一生戻ってこなくなる可能性がある。そこでこれから、専門家に診てもらう――彼が今いる場所を、調べてもらいたいんです」
わたしへと向いていたソラ君の視線が、ゆっくりと国王陛下に戻る。
そういえば部屋にいる時、『尚更父さんに――』と言っていた。あれはこうしてくれるため、だったみたいなんだけど……。
お願いをされた陛下は、玉座に座ってしまいました。
???
誰かを呼ぶ様子は、ありませんし……。どうされたのでしょうか……?
「う、うん。変化が起き始めたのは突然で、今はまったくない。起きてからずっと、ないよ」
「だよね。……アリシアちゃんの肉体に起きている変化は、発生のタイミングも含めてあまりにも不自然だった。それに加えて呪いというものは、かけた者とかけられた者が『同じ空間』にいないと効果はないんだよ。以上の点から僕は、呪いが原因だと断定したんだ」
殊更柔らかい口調で、わたしの手をそっと握りながら――。恐怖や不安を和らげてくれながら、明言した理由を説明してくれました。
「物語などにしばしば登場し、君がいる世界では眉唾とされている呪い。それは実在していて、遥か昔から悪用され暗躍してるんだ」
「人間のように耐性が全くない種族が住む世界では、殊更ですな。高位の者に訪れた急な不幸の大半は、それが事由なのですぞ」
「…………。そう、だったのですね……」
思い返せば一昨年あった、某国の第2王子殿下の病死。噂によると、その病の発生は突然で……。
今ならそれが偶然ではなく、人為的なものだと分かります。
「確かアリシアさんに異変が起き始めたのは、4か月前。エオマズの王太子と婚約をした直後で、最も影響があるのは『美』。仕掛けた目的は十中八九、嫉妬ね」
「……単に相手を貶めるための呪なのか、己の糧として吸う効果のある呪なのか……。アリシア殿。貴方を投げ激しく憎んでいる者や日に日に美しくなってゆく者の噂などは、耳にしてはおりませぬか?」
「っっ」
「その様子だと、あるみたいだね?」
「あっ、ありますっ。いますっ。美しくなっていっている人が、わたしの近くにいますっ!」
わたしの幼馴染で、次の――新しい王太子妃の、侯爵令嬢エミ・ナーズ。
彼女の情報を、皆さんにお伝えした。
「隣国・ワイズに留学に行く前と2か月前に戻ってきた時では、何もかもが別人だったんです。顔も髪も肌も、エミは見違えるほど綺麗になっていました」
「異変が4で、帰国が2。2か月もあれば、かなりの量を吸い取れるわね」
「ワイズは人間界の中でも、呪いにまつわる話が多い場所と聞く。恐らくはそこで、何かしらの知識を得たのだろうな」
「……犯人はエミ・ナーズで、呪いの種類は吸収。だとしたら、実行者は彼女自身。エミ・ナーズを叩けば、解決できるね」
吸い取る呪いは、吸い取りたい本人がかけないといけないんだ。引き続き明るい調子で口を動かしてくれて、ソラ君は口元を緩めました。
「うむ、その通りだな。……とはいえ、だ」
「分かっていますよ、父さん。この手の呪いは正しく解かないと、吸われたものが一生戻ってこなくなる可能性がある。そこでこれから、専門家に診てもらう――彼が今いる場所を、調べてもらいたいんです」
わたしへと向いていたソラ君の視線が、ゆっくりと国王陛下に戻る。
そういえば部屋にいる時、『尚更父さんに――』と言っていた。あれはこうしてくれるため、だったみたいなんだけど……。
お願いをされた陛下は、玉座に座ってしまいました。
???
誰かを呼ぶ様子は、ありませんし……。どうされたのでしょうか……?
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