27 / 35
第10話 粛清その1(2)
しおりを挟む
「エミ……!? そ、その喋り方はいったい……!? おまけに、目付きまで別人のようだ……。なにかに憑りつかれた――憑りつかれていた、のか……?」
「アリシアちゃんによると、それが本当の性質らしい。何かがあって変わったのではなくて、素が出ただけだね」
すっかり別人のようになっている姿に驚いている殿下を一瞥し、ソラ君の視線はエミへと戻りました。
「知っているのか? もちろん、何もかもを知ってるよ。君がこれまでなにをやってきたのかをね」
「………………へぇ、そうなのね。ふふふふふふ。そうなんだぁ」
「おや、急に笑い出すなんて。どうしたんだい?」
「………………だったらさあ、解呪についても知っているんでしょ? どうせ何もかも失ってしまうのなら……。アリシアも道ずれにしてやるわっっ!!」
歯を剥いて胸元に手を突っ込み、つけていた2つのネックレスを首から乱暴に引きちぎる。
あれのトップにあるものが、ソレ。赤と青の宝石が、呪いの道具です。
「御存じの通り、これを床に叩きつければ奪われた美は戻ってこなくなるっ! 一生その醜い姿のままよ!!」
「っ、やめないかエミっ!! これ以上罪を重ねるのはやめろ!!」
「そうだやめないか!! それ以上相手を刺激するな!!」
「やめなさい!! すぐに!!」
「やめろっ! 止まれ!!」
殿下、陛下、妃殿下、第二王子殿下も、目を見開き声を張り上げる。
わたしのため、ではなく――。自分達の保身のために。
「嫌よ! お断りよ!! 自分だけ堕ちるものかぁあああああああああああああああ!!」
「くっ! こうなったら――」
言葉での制止は無理だと悟り、殿下が手を伸ばし始めます。
ですがそれは、間に合いそうにない。その行動よりも早く、エミが動き出します。
「殿下も竜のお前もっっ、止めようとしたって無駄よ!! アンタ達が近づく前にっっ!! こうやってねえっっ!! どっちも床に叩きつけられるんだか…………ら…………?」
右手を思い切り振り抜いたエミは、呆然としてネックレスを見つめる。
「「「な…………」」」
殿下と陛下と妃殿下と第二王子殿下も、同様に呆然としてネックレスを見つめます。
なぜなら――。そのネックレスは床に当たる直前に止まり、まるで糸で引っ張られているかのように、ソラ君の手元に飛んでいったのですから。
「アリシアちゃんによると、それが本当の性質らしい。何かがあって変わったのではなくて、素が出ただけだね」
すっかり別人のようになっている姿に驚いている殿下を一瞥し、ソラ君の視線はエミへと戻りました。
「知っているのか? もちろん、何もかもを知ってるよ。君がこれまでなにをやってきたのかをね」
「………………へぇ、そうなのね。ふふふふふふ。そうなんだぁ」
「おや、急に笑い出すなんて。どうしたんだい?」
「………………だったらさあ、解呪についても知っているんでしょ? どうせ何もかも失ってしまうのなら……。アリシアも道ずれにしてやるわっっ!!」
歯を剥いて胸元に手を突っ込み、つけていた2つのネックレスを首から乱暴に引きちぎる。
あれのトップにあるものが、ソレ。赤と青の宝石が、呪いの道具です。
「御存じの通り、これを床に叩きつければ奪われた美は戻ってこなくなるっ! 一生その醜い姿のままよ!!」
「っ、やめないかエミっ!! これ以上罪を重ねるのはやめろ!!」
「そうだやめないか!! それ以上相手を刺激するな!!」
「やめなさい!! すぐに!!」
「やめろっ! 止まれ!!」
殿下、陛下、妃殿下、第二王子殿下も、目を見開き声を張り上げる。
わたしのため、ではなく――。自分達の保身のために。
「嫌よ! お断りよ!! 自分だけ堕ちるものかぁあああああああああああああああ!!」
「くっ! こうなったら――」
言葉での制止は無理だと悟り、殿下が手を伸ばし始めます。
ですがそれは、間に合いそうにない。その行動よりも早く、エミが動き出します。
「殿下も竜のお前もっっ、止めようとしたって無駄よ!! アンタ達が近づく前にっっ!! こうやってねえっっ!! どっちも床に叩きつけられるんだか…………ら…………?」
右手を思い切り振り抜いたエミは、呆然としてネックレスを見つめる。
「「「な…………」」」
殿下と陛下と妃殿下と第二王子殿下も、同様に呆然としてネックレスを見つめます。
なぜなら――。そのネックレスは床に当たる直前に止まり、まるで糸で引っ張られているかのように、ソラ君の手元に飛んでいったのですから。
26
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?
神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。
カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。
(※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる