貴方様の浮気や裏切りを怒ってはいませんよ?

柚木ゆず

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プロローグ アメリア・フザロード視点(2)

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 わたくしは今から4か月前に、ザヌエルエ子爵家の嫡男ブルーノ様と政略的な婚約を交わしました。
 そんなブルーノ様は――わたくしはこの通り思考も言動も面白みのない女ですから、そういった点に嫌気がさしたのでしょうか。オトイユ子爵家の長女メリナ様と――おっとりとしていて愛想のいい女性と、秘密裏に関係を持っていたようです。

「叔父様。こちらの情報は、間違いなのですね?」
「ああ、間違いない。目に見える証拠は出せんが、8日後の昼過ぎに2人で会う約束をしているらしい。その日行方を追えば、その目で確認できるだろう」

 スキャンダルになりそうなものを見つけるべく以前から、ロザート叔父様に頼んでお父様が外出する際は徹底的にマークしてもらっていました。その際に偶然お忍びのブルーノ様とメリナ様の姿を目撃し、別れるまで様子を伺い続けたそうです。

「監視者の報告によると、ブルーノはメリナ嬢にぞっこんのようだ。少なくとも1か月前にはこういった関係になっていたようだぞ」
「あちらの当主様の公認、なのでしょうか? それとも、内緒の行動なのでしょうか?」
「言動から推測するに、後者らしい。……アメリアは以前、あの男は嫡男としての自覚がないと言っていたな?」
「ええ、そうでしたね」

 ザヌエルエ家の当主様は真面目な方ですが、子に甘すぎたのでしょう。父親の前ではピシッとしていますが、それ以外では色々な意味で『子ども』なところが見えていました。

「だとすると、メリナ嬢と一緒に居られるようにアレコレ画策するやもしれん。故に放置できん問題であるし、なによりコレは裏切り行為。次の接触を利用すれば、止めつつザヌエルエ家から何かしらのお詫びを得られるのだが……」
「フザロード家としては嬉しい誤算ですが、わたくし達にとっては嬉しくない誤算になってしまいますね」

 お詫びが手に入る、それはつまりお父様の『武器』が多くなる。この件を表ざたにしたら、結果として敵を強くしてしまいますね。

「看過できぬものだが、さりとて兄上に伝えるのも憚られる。どうしたものかな……」
「……少し、考える時間をいただきますね」

 できるならその場で歩き回って思案をしたいのですが、ここは叔父様所有の馬車の中。そちらは叶わないので、目を瞑って天を仰ぐ――二番目に、頭が働く姿勢で思案します。
 この件に関しては…………。

 ……。
 …………。
 ………………。

「ひとつアイディアが浮かびました。叔父様が収集された情報を使わせていただきます」
「もちろん構わないが……。どうするつもりなのだ?」
「8日後の予定を利用して、ブルーノ様とメリナ様に協力者となっていただきます。お父様を当主の座から引き摺り下ろす作戦の」

 お二人の力を借りて上手く立ち回れば、これまで実現不可能だったことが可能となります。
 そちらに気付いたわたくしは早速複数個の下準備を行い、お二方が会う8日後の夜明け前に、変装をした上で馬車に乗り込みお屋敷を発って――

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