貴方様の浮気や裏切りを怒ってはいませんよ?

柚木ゆず

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第5話 提案 アメリア視点(1)

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「あの書類を破棄して欲しい、ですか?」

 今日は、婚約者同士の仲を深めるべくウチのお屋敷でお喋りをする日。こちらはそれぞれの当主が決めた行事のため回避できず、ブルーノ様は予定の時間にいらっしゃったのですが――。
 サンルームで2人きりになるや、こんなお願いを切り出されました。

「そうなんだよ。君が所持している分と、彼――ランドさんだっけ? あの人が持っているものを焼却して欲しいんだ」
「焼却、その理由を教えていただけますか?」
「実は俺とメリナは、あの書類を処分したんだよ」

 ブルーノ様のお父様が頻繁にある外出に少々違和感を抱き始めたらしく、もし怪しまれて部屋を調べられたら浮気の痕跡が見つかってしまう。最悪の事態を防ぐべく、3日前に会った際に抹消を決めたとのことでした。

「今あるのは2つで、その、失礼と重々承知で言わせてもらう。ああいったものがそちらだけにあるのは不安でね、その不安を消すために処分して欲しいんだよ」
「なるほど」
「俺達は君に浮気の現場を抑えられていて、圧倒的に立場が下。アレは元々俺達の懸念をなくす目的で用意されていて、あってもなくてもそちらは問題ないよね?」
「そうですね、ありませんね」
「お手数をかけて申し訳ない。我が儘を聞いてもらえませんか?」
「承知いたしました。速やかに処分いたします」

 こういう時は、目の前で行った方がいいですね。一旦お部屋に戻って書類を取って戻り――

「なに? 外出したい?」
「ブルーノ様と行きたい場所ができまして。構いませんでしょうか?」
「いいだろう。言ってこい」

 ――お父様の許可を取り、ブルーノ様と共に馬車に乗り込んで移動。燦燦と輝く太陽の下を走り、1時間ほどで目的地であるランドさんの事務所に到着しました。

「お嬢様……!?」
「アポイントメントなしでの訪問をお許しください。本日はくだんの書類の処分をお願いしに参りました」

 あの日作成した書類を金庫から出していただき、火をつける。炎は2つの書類をあっという間に包み込み、ブルーノ様の目の前で灰と化しました。

「ブルーノ様ご自身がよくご存じだとは思いますが、あの日作成したものは4枚。全てが形を失いました」
「ありがとう。ありがとう……! 我が儘を受け入れてくれて、本当にありがとう」
「お気になさらないでください。以上で、よろしいでしょうか?」
「あ、いや、あのね。書類に関してはこれで終わりなんだけど、計画に関してもひとつ提案があるんだよ」

 まだ、あったようです。
 お次は、なんなのでしょうか?

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