貴方様の浮気や裏切りを怒ってはいませんよ?

柚木ゆず

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第8話 約束 アメリア視点(2)

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「残念だったな。お前の思い通りにはならないぞ」
「わたし達を操れるのは、途中まで。最後まで踊ってはあげませんわ」

 ブルーノ様は大きく首を左右に振り、メリナ様は人差し指を交差させて×印を作りました。

「思い通り? 操る? なにを仰っているのですか……?」
「しらを切るなら、俺達が言ってやろう。分かってるんだよ、俺達を騙そうとしているってな」
「わたし達に感謝している? 嘘嘘、大嘘。内心、はらわたが煮えくり返っているのでしょう?」
「だから『見逃す』という好条件を提示して計画に協力させ、最後の最後で裏切り俺達の関係を大々的に公表しようとしていた。喜ばせるだけ喜ばせておいてどん底に突き落し、絶望させて復讐ようとしていたんだよな?」

 なるほど。そういうことでしたか。

「そうはさせないぞ。勝つのはお前じゃない、俺達だ」
「わたし達が貴方の無実を証明しなければ、貴方はずっとわたしを突き飛ばした加害者。だってお芝居だという証拠は、もうどこにも残っていないのですからねぇ」
「書類を処分させたのは、このためだったのですね?」
「ああそうさ。全部デタラメ。大事なものを燃やしてくれて、ありがとうな」

 ブルーノ様もメリナ様も、心底面白おかしそうに口元を緩めます。
 すごい、ですね。どちらにも浮気の罪悪感はなく、完全に自分達は被害者だと思っています。

「3日後のパーティーにお前を連れていきはしないし、証言もしてやらない。俺達の縁はここまでだよ」
「そうですか。ではわたくしはお返しに、貴方がたの浮気を公表いたします」

 以前お見せしたように、こちらには秘密裏に接触していた証拠があります。そちらを使えば――

「甘いな。そこは対策済みだ」
「証拠を持たれていると知っているんですの。ちゃ~んと練っていますわよ」

 実はわたくしから嫌がらせを受けていて、婚約者であるブルーノ様に相談を続いていた。良からぬ関係と勘違いされないように、秘密裏に会っているのはブルーノ様とメリナ様それぞれの友人にも伝えていた。
 お二人はわたくしが知らないところで準備を整えていたようです。

「あの書類がない今なら、このやり方が通るんだよ。残念だったな」
「見えないところで動いていたのは、貴方だけではないんですのよ? 残念でし――………………」

 メリナ様――だけではなくブルーノ様もそう。言葉を失い、みるみるお顔が真っ青になっていきました。
 なぜ、かというと――

「「なぜそれが……!?」」

 ――わたくしが懐から、結託を証明する書類を2枚取り出したからです。

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