私が幼馴染の婚約者と浮気をしていた? そんな事実はないのですが?

柚木ゆず

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エピローグ だから私は クレア視点

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「マリアス様。私を貴方様の、『本物』の交際相手にしてはいただけませんか?」

 あの日から、およそ2か月後。今日は2人で外出を行い、この国の西部にある『ラテナリア湖』に到着してすぐのこと。
 この方の好きな場所であり、初めて2人で個人的に訪れた場所。思い出の場所で、私は『願い』をお伝えした。

「マリアス様は、知れば知るほど気になる方。この2か月で貴方様の良い部分だけを知り、貴方様しか見えなくなりました」

 それは決して、悪い部分を見ないようにしていたのではない。存在していないからそうなって、だから、一番になりました。

「会えなかったら寂しくて、不意に会えたら嬉し涙が出てしまったり。二人で居る姿を褒めていただけたら、頬が緩みきってしまったり。あっという間にマリアス様の存在は、私の中心となりました」
「………………」
「今ではもう、貴方様がいらっしゃらない毎日は考えられません。ですのでどうか、お願い致します。『偽』でも『仮』でもなく。『本物』にしてください、なってください」

 改めて姿勢を正し、澄んだブラウンの瞳を見つめる。マリアス様を、見つめる。
 そうすると、私の最愛となっている方は――

「喜んで。……この気持ちに応えてくれて、ありがとう」

 ――手を取って流麗に片膝をつき、手の甲に唇を落としてくださりました。

「折角、そんなにも高い評価をしていただけたんだ。貴方の目を節穴としてしまわないように、これからも自分を貫きます。これから婚約者となっても、夫婦となっても。マリアス・ジュレイアルはマリアス・ジュレイアルであり続けるから、2人で良い時間を作っていこうね」
「はい。2人でずっと、そんな時間を作ってゆきましょう」

 一緒に。
 その言葉が嬉しくてたまらなくなって、嬉し涙と共に満面の笑みが自然と浮かぶ。そうすると、同じような――プラス、優しさが含まれた穏やかなお顔が見えて、

 また、自然と。

 私達の顔は、近づいてゆく。
 その間に繋いでいた手は片手から両手へと変わり、指は絡み合う。そうしてしっかりと触れ合えるようになった頃、縮まっていた距離は0となって――

「クレア。愛してる」
「マリアス様。愛しています」

 ――キスを交わす。
 それによって指だけではなくて、唇だけでもなくて。体も心も一つになって。私の――私達の体内は甘い感情で満たされ、瞬く間にキャパシティーを超えて溢れ出そうになる。
 なので――

「クレア」
「マリアス様」

 私達はソレが零れてしまわないように、お互いの唇でお互いの唇に蓋をする。
 そうして何度も何度もキスをして、早速、でした。私達は2人で、『良い時間』を作ったのでした――。

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感想 92

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みんなの感想(92件)

にじくす まさしよ

エピローグ。こちらまで幸せになれる、そんな二人のひと時。ありがとうございました。

解除
弓はあと
2021.12.13 弓はあと
ネタバレ含む
2021.12.15 柚木ゆず

弓はあと様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

そして。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

そう、ですね。
悪いことでは、ありましたが。その結果、こういったことになりましたので。
そういう意味では、よかったことでもあると思います……っ。



そして。温かなお言葉までくださり、ありがとうございます。
少し大変な時もありますが、自分の投稿で喜んでいただけるのは、本当に幸せなことでして。そちらが力となってくれますので、今後もやっていけそうです……!

解除
歌川ピロシキ
ネタバレ含む
2021.12.15 柚木ゆず

歌川ピロシキ様。通知を見落としてしまっており、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。

2人は始まってすぐの段階から、大きな勘違いが発生しておりましたので。あっさり、となってしまいましたね。
そしてクレアですが、はい。気になっているようでして。
距離が、縮まってゆくことになります……っ。



シッキムですが。美味しいですよね……!
自分も、好きな紅茶の一つです……っ。

解除

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