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第2話 目を覚ましたあとは ロマーヌ視点(3)

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「い、いえ……。ですが……。誰にでも、過ちはある。魔が差してしまう時は、あると思いますわ」
「誰にでも過ちはある、そうかもしれません。ですが僕は、そうだとしても許すつもりはありませんよ」

 さすがはジョルジュ様。わたくしが告げた心にもない言葉をきっぱりと否定され、改めてしっかりと、わたくしの瞳を見つめられた。

「こんなことになっているのですから、中途半端では終わらせられません。…………ロマーヌ様」
「は、はい。なんでしょう、ジョルジュ様」
「僕はまだ貴方様から、この件に関しては直接伺っておりません。ですので申し訳ないのですが、いくつか確認を行わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ええ、勿論ですわ。体の痛みも、もう殆どなくなってきていますしね。なんなりと、お好きなだけお聞きくださいまし」

 ここでもう一度『無理をしてるんだ』と思わせ、確認がスタート。改めて当時の状況の説明を行ったり質問に回答したりして、そういった作業は十五分程度で終了となりました。

「…………嫉妬、被害妄想。先ほど別室にて、待機中のマリエスから詳しく話を聞きましたが……。なにもかもが、まるで違っていますね」
「わたくしも先ほど、マリエス様の言い分をお聞きしましたわ……。……あの方は……。こうなっているのはわたくしの策略だと、主張されていらっしゃるのですわよね?」
「彼女は、そう説明をしてくれました。けれど、そちらは嘘。そういったことは一切なく、貴方様が仰ったことに間違いは一つもないのですよね?」
「はい、一つもありませんわ。明言致します」

 神妙な面持ちで頷きを返し、ここから更に畳みかけてゆく。

「……だって、あのマリエス様が、なんですもの。信じられないのも、無理はありませんわ……。わたくし自身も、今でも受け入れがたい出来事でして――」
「ああいえ、そうではありませんよ。僕はまるで違う言い分に戸惑い、改めて確認をしたのではないのですよ」
「…………え? じょ、ジョルジュ、様? で、では、どうして改めて確認をされたのですの?」

 急に理解できない言葉が出てきて、わたくしはおもわず首をかしげる。そうするとジョルジュ様は…………えっ!? 口の端をにやりと、吊り上げて……。
 信じられないことを、口にしたのだった…………。

「この場で――治安機関の人間がいる前で嘘の証言をした場合は、虚偽告訴罪が成立する。お前・・だったら自ら罪を上乗せしてくれると思って、ああして確認をしたんだよ」

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