私は、忠告を致しましたよ？

第４話 理由～転生と恋～ ジョルジュ視点（１）

　――ちゃんとした恋をしたい――。
　それが、俺が転生を繰り返す理由だった。

　一般的な魔法使い１万人分の魔力を宿し、この世に存在するすべての魔法を扱える大魔法使いダンケル・マテリアス。

　最初の俺・・・・は圧倒的な力を持つが故に、世界中のどの王よりも大きな権力権限を持ち、世界中のどの富豪よりも多い財を手にした。
　そうして俺はあらゆるものを手に入れたが、唯一手に入らなかったものがある。

　そいつが、真実の愛だ。

　王女や公爵令嬢、大富豪の娘などなど。様々な異性が近づいて来たが、ヤツらの目当ては『大魔法使いの妻』であり『莫大な権力と財』。誰一人として『俺』という人間を見てくれる者はおらず、結局未婚のまま生涯を閉じることになってしまった。

　――あぁ。一度でいいから、『俺』を見てくれる人に逢いたい――。

　だから俺は死の間際に転生魔法を施し、新たな人生を始めた。魔力を隠した状態で別の世界で別人として生き、今度こそ『夢』を叶えようとしたのだった。

　けれど――。そう上手くはいってくれなかった。
　いったい、何の因果なのだろうか？

　第１王子ナックス・ラーファエル。第３王子マイク・サンダズ。公爵令息レイモンド・オーザッヴァル。国内随一の大商会の、会頭の一人息子テオドール・ノエワ。
　転生先を指定できないせいで毎回何かしらの『力』がある状態で生まれてしまい、それによってどの人生でも、他意を持った女性としか出会うことができなかったのだ。

（（はぁ……。今回は伯爵家の嫡男で、随分とマシになったと思ったが……。これじゃ無理そうだな））

　計７回目の生を迎えた『家』は、公爵家に勝るとも劣らない莫大な財と様々な面で『最高』の領地を治めていた。それによってまたしても同じような人生になって、現世でも叶うことはない、と諦めていた時だった――。

　俺は、そうではない・・・・・・人と出逢うのだった。