婚約者を奪い取ってくれて、ありがとうございます

第12話 理由～因果応報の時～ 俯瞰視点（２）

「なあ!?　なにをする!?」
「おっ、お前達！　なんなんだこれは!?」

　二人が様子が一変し、揃って悲鳴を上げた理由。それは――不意に大勢の大男を連れた四人の男性が現れ、ガリバーとウィリアムはあっという間に拘束されてしまったから。
　大男こと臣下に捕縛を命じた彼らは、リハレルト子爵家当主、ハーマエル子爵家当主、ヴァックス子爵家当主、ヤザダフェル男爵家当主。この敷地の所有者ライザニック家と同じく、ウィリアム達に嵌められ主従関係を結ばされていた者達です。

「貴様らっ！　なにを考えているのだ!?」
「俺達に向かって……！　なにをやっているのか分かっているのか!?　なんのつもりだ!?」
「……もう隠す必要はなくなった。お前達に教えてやろうじゃないか。我々がなにをしようとしているのかをな」
「ウィリアム、ガリバー。今日は、決起と反乱の日なのだよ」

　陥れられて多額の借金を背負わされ、それを利用して奴隷のような扱いを受けて来た者達。彼らはその理不尽な行動に強い怒りを抱いていましたが、立場が弱いため何もできずに居ました。

　――そこで彼らは、手を取り合ったのです――。

　ひとりでは無理なことでも、大勢でかかれば可能となる。
　とある出来事によりそう気づいた・・・・・・・・・・・・・・・四人とライザニック家当主は密かに連絡を取り合い、水面下で逆襲を行う準備を整えていたのです。ガリバーとウィリアムの、拉致計画を進めていたのです。

「忌々しいことに、お前達を法では裁けない。故にそれ以外のやり方、私刑で裁くのだよ」
「お前達が好き放題やれるのも今日までだ。この瞬間から立場は逆転する」
「これからお前達は拉致されわたし達の奴隷となり、５家が所有する場所――鉱山などさまざまな場所で労働を行わせる。わたし達に負わせた借金を、返済できる額を稼ぐまでな」
「もっともお前達が俺達に背負わせた額は、あまりにも多い。生きている間に稼ぎきるのは不可能だろうな」
「ちなみ、根回しは万全でお前達が発見されることはない。……これからよろしく頼むぞ、奴隷たち」
「そっ、そんな！　それじゃあ人生は終わったも同然じゃないか!!　やっ、やめてくれっ!!　許してくれ!!」
「頼むっ!!　この通りだ!!」

　これから起きる内容を知った二人は顔面蒼白で懇願しますが、その訴えが聞き入れられるはずはありません。
　ですので――

「やっ、やめろぉぉぉぉぉぉ!!　やめてくれええええええええええええむご!?」
「頼むっ、頼むっっ、いやだぁあああ!!　いやだああああああああああむが!?」

　――荷物の運搬用に偽装されている馬車に口を塞がれた上で押し込まれ、ガリバーとウィリアムは自由のない場所へと連れ去られてしまったのでした――。