15 / 30
第12話 昼休みに潜む、罠 アメリ視点(1)
しおりを挟む
((よ~っし。そろそろ、セレステ様に会いにいこっと))
次の日の、午後の1時8分9秒。わたしは教室にある掛け時計でしっかりと時間を確認して、椅子から立ち上がった。
((うっかりボーっとしちゃって、約束の時間から8分も過ぎちゃった。きっとセレステ様は、怒ってるよね))
格下が待たせてしまうのは大きなマナー違反だし、あの方は格下に振り回されるのを許せない人なんだもん。今頃かなりイライラしてると思う。
((アイディアも持って来てないし……。嫌だなぁ……。怖いなぁ……。会いに行きたくないなぁ――なんちゃって))
昇降口で靴を履き替えながら震えるお芝居をして、校舎裏を目指しながらにんまりと口を吊り上げる。
これは夕べお母様と考えた、火をつけやすくするための罠なんだよね~。
((セレステ様は、元々かなり短気な方。そんな人がムカムカしてたら、ますますカッとなりやすくなる))
そこでまずはこうやって待たせて、より爆発しやすい状態でスタートさせるのですっ。
((セレステ様、ザンネンでしたっ。今のわたし達には、同格のお家がついてるんですよ~っ))
な・の・で。不安で一杯になってるわたし、貴方に怯えるわたしは、もう居なくって――
「…………わたくし、1時と言いましたわよね? どうなってますの?」
――校舎裏に着いてものすごく不機嫌なお顔を見ても、なんにも怖くない。
血管が浮き出てるっ。ぷぷぷっ。そんな風に思っちゃえるくらい、大したコトのない人なんだよね。
「…………わ・た・く・し、い・ち・じ・と、言いましたわよね? ねえ、どういう事なんですの?」
はいはい。分かった、分かりました。
顔芸みたいで面白くってもっと見ていたいけど、まだ爆発しそうにない。このまま放っておいたら、手を出してきそうにないもんね。
((気が短くて偉そうな、生まれだけしか長所のないセレステ様))
お返事をするから――。わたしの罠に、はまってくださいね?
次の日の、午後の1時8分9秒。わたしは教室にある掛け時計でしっかりと時間を確認して、椅子から立ち上がった。
((うっかりボーっとしちゃって、約束の時間から8分も過ぎちゃった。きっとセレステ様は、怒ってるよね))
格下が待たせてしまうのは大きなマナー違反だし、あの方は格下に振り回されるのを許せない人なんだもん。今頃かなりイライラしてると思う。
((アイディアも持って来てないし……。嫌だなぁ……。怖いなぁ……。会いに行きたくないなぁ――なんちゃって))
昇降口で靴を履き替えながら震えるお芝居をして、校舎裏を目指しながらにんまりと口を吊り上げる。
これは夕べお母様と考えた、火をつけやすくするための罠なんだよね~。
((セレステ様は、元々かなり短気な方。そんな人がムカムカしてたら、ますますカッとなりやすくなる))
そこでまずはこうやって待たせて、より爆発しやすい状態でスタートさせるのですっ。
((セレステ様、ザンネンでしたっ。今のわたし達には、同格のお家がついてるんですよ~っ))
な・の・で。不安で一杯になってるわたし、貴方に怯えるわたしは、もう居なくって――
「…………わたくし、1時と言いましたわよね? どうなってますの?」
――校舎裏に着いてものすごく不機嫌なお顔を見ても、なんにも怖くない。
血管が浮き出てるっ。ぷぷぷっ。そんな風に思っちゃえるくらい、大したコトのない人なんだよね。
「…………わ・た・く・し、い・ち・じ・と、言いましたわよね? ねえ、どういう事なんですの?」
はいはい。分かった、分かりました。
顔芸みたいで面白くってもっと見ていたいけど、まだ爆発しそうにない。このまま放っておいたら、手を出してきそうにないもんね。
((気が短くて偉そうな、生まれだけしか長所のないセレステ様))
お返事をするから――。わたしの罠に、はまってくださいね?
10
あなたにおすすめの小説
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました
つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。
けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。
会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。
婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。
シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。
その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。
そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。
ざまぁ展開のハピエンです。
見た目が地味で聖女に相応しくないと言われ追放された私は、本来の見た目に戻り隣国の聖女となりました
黒木 楓
恋愛
モルドーラ国には2人の聖女が居て、聖女の私シーファは先輩聖女サリナによって地味な見た目のままでいるよう命令されていた。
先輩に合わせるべきだと言われた私は力を抑えながら聖女活動をしていると、ある日国王に呼び出しを受けてしまう。
国王から「聖女は2人も必要ないようだ」と言われ、モルドーラ国は私を追い出すことに決めたらしい。
どうやらこれはサリナの計画通りのようで、私は国を出て住む場所を探そうとしていると、ゼスタと名乗る人に出会う。
ゼスタの提案を受けて聖女が居ない隣国の聖女になることを決めた私は、本来の見た目で本来の力を使うことを決意した。
その後、どうやら聖女を2人用意したのはモルドーラ国に危機が迫っていたからだと知るも、それに関しては残ったサリナがなんとかするでしょう。
私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?
百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。
だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる