初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました

柚木ゆず

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第2話 予想外の朝 シャルリー視点(1)

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「シャルリー? 珍しいね。何か用かい?」
《大事なお話がございます。お時間をいただきたく思います》

 翌日の午前8時少し手前。校舎の出入り口の前で待っていたわたしは、あらかじめ手帳に書いていた文字をお見せした。

「今朝は、始業までに済ませないといけない大事な用事があるんだ。ごめん、あとにしてほしい――な、なんだい……?」

 早いに越したことはない。失礼と承知で、一歩踏み出したエタン様の進路に立ちました。

《どうしても今、お時間をいただきたいのでございます。お願い致します》
「………………」
《どうか、お願い致します》
「………………移動も含め5分以内に済めば、間に合うか。分かったよ。そこまで言うならお付き合いさせてもらうよ」

 よかった。わたしはすぐさま会釈を行い、急いで人気(ひとけ)がない場所へと――校舎裏へと移動しました。

「さっき言ったように、今朝は時間がないんだ。もう3分もないぞ。早く伝えろ」
《承知しました》

 万が一のトラブルに備え、昨夜の内容は記入していません。わたしは大急ぎでメモ帳にペンを走らせ――

「ちっ、まだか? これ以上は待たないぞ」
「申し訳ございませんっ。少々お待ちください!」

 お詫びをしながら、更にスピードを上げて文字を書き続け――

 パン!

 書き続けていると急に乾いた音が聞こえて、少し遅れて左頬に激しい痛みが走りました。

((な、に……?))
「お嬢様!!」

 後ろで控えていたレニアが駆け寄って来て、顔を覗き込む。
 その動きで、ようやく理解できました。

 エタン様に、平手打ちをされたのだと。

((たた、かれた……? な、なぜ……?))
「貴様……! 喋るなと言っただろうが!!」

 頬を押さえながら正面を見つめると、鋭い視線と大声が飛んできました。

((喋った? わたしが? エタン様はなにを仰って――あ……))

 同じく、ようやく気付きました。
 書くのに必死になっていて……。つい、文字ではなく声を使ってしまったことを。

《申し訳ございません! 必死になるあまり》((っっ!))

 少しでも早く謝罪しなければと思い手帳をお見せしながら書いていると、もう一度頬に痛みが走りました。

「言い訳をするな!! 貴様のせいでミーア姉さんを思い出してしまったじゃないか! 最悪な気分だっ!! どうしてくれる――」
「差し出口をお許しください! お嬢様は急がれており――きゃあ!!」
「誰が喋っていいと言った!! おまけ・・・が出しゃばるな!!」

 しかも、それだけではなくて……。
 わたしを庇ってくれていたレニアが……。乱暴に突き飛ばされて、地面に転がってしまったのでした……。


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