こちら、付喪神対策局

柚木ゆず

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第6話 戦いを終えて(1)

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「お疲れ様。今日も格好よかったよ」
「お褒めに与り光栄です」

 戦闘終了後。後方で見守っていた冬馬が鏡に歩み寄り、こつんと拳を合わせました。

「あんなにも配慮しながら戦ったのに、傷一つ負ってないなんて。さすがだよ鏡さんで、前よりも強くなってるね」

 周囲への被害を最小限に抑えるために、相手に悟られないように自身の立ち位置を細かく調節する。相手が死んでしまわないように、入念に相手の攻撃の威力を分析する。万が一反射した火の玉を避けた場合を考え、100パーセント回避できない間合いまで近づく。
 などなど、鏡はあの戦闘の間に様々なことを行っていました。長年の付き合いでソレを把握できる冬馬は、感嘆の感情を含ませた拍手を送りました。

「日々成長してゆく相棒、その人に置いて行かれないように努めた結果ですよ。良いお手本のおかげです」
「だとしたら――。その相棒が日々成長できるのも、良いお手本が近くに居てくれるおかげなんだろうね。切磋琢磨、いいことだと思うよ。本当に」

 爽やかな微笑みに同様の表情を返し、視線を移動。冬馬の目線は、隣にいる今日から斜め下にある付喪神へと移動しました。

「じゃあここからは、バトンタッチ。僕の出番だね」
「ええ。彼を――同士を頼みます」

 意識を失った付喪神は目覚めたあと、ほんの少しだけ――30分ほど理性を取りもどします。
 その隙に付喪神と会話をし付喪神が最善の策・・・・を選べるように話をつけて、実行する。ソレを行えるのは、非常に強い霊感を持つ者である冬馬だけなのでした。

「せっかくつなげたバトンを落すなんてできないし、個人的に落としたくない。よい未来を実現してみせるよ」

 真剣な眼差しにウィンクを返し、仰向けに倒れている付喪神の傍で片膝をつきます。その状態で付喪神が目覚めるのを待ち、およそ5分が経過した頃でした。

「……………………う。ここ、は……?」

 降りていた瞼が上がり、付喪神は顔を歪めながらゆっくりと上体を起こしました。

「おはようございます。貴方は暴走をしてしまっていて、大事なお話を聞いてもらえるように、彼に止めてもらったんですよ」
「……………………うっすらと覚えている。そうだ、俺は破壊衝動に振り回されていたんだ」

 数日前からの放火や今日の戦闘。それらを説明すると付喪神は左右に2回首を振り、頭を下げました。

「すまなかった。迷惑をかけてしまったな」
「僕達が好きでやっていることですから、お気になさらないでください。……ところで付喪神さん。その暴走について、僕からご提案があります」

 しっかりと、付喪神の両目を見つめながら。冬馬は新たに言の葉を紡ぎ始め――


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