あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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14 私の日記

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『4月8日』
 今日から5年生。クラス替えが行われて、新しい人達がクラスメイトになった。
 その中には以前から気になっていた人がいて、間近で見るとその人は更に輝いていた。
 明るく無邪気な性格。無意識に人を惹きつける魅力。さり気ない配慮。
 長所をあげるとキリがない。太陽みたいな、可愛らしい人。
 私にはないものを沢山もっている、素晴らしい人。
 だから彼女は、ずっと特別な人。去年転校してきた日から――初めて目にした日から、ずっと特別な人。
 今日からの一年間、私は色々な面を勉強してゆきたいと思う。


『4月15日』
 今日は驚く事があった。
 陽上花美さんが、アコヘンを拒絶。私達と同じ力を手に入れて、来月まで私のパートナーになった。
 まさか、ずっと気になっていた人が手伝ってくれるだなんて。
 姉さんに連絡する時も、姉さんがパートナーを頼んだ時もそう。身体は非常に熱くて、心臓は異常な速さになっていた。
 あの時は、本心――興奮を隠すのに必死で、その前後の出来事をあまり覚えていない。けれど嬉しさはちゃんと覚えていて、今日は近年で一番嬉しかった日になった。


『4月23日』
 今日は、情けない姿を見せてしまった。
 現実世界での大原四葉さんと菊池碧さんへの接触は、何も問題なかった。全て、完璧にできていた。
 けれど心の中では、大きな失敗をした。
 任せてと自信満々に振る舞ったのに、説得できず。陽上さんに尻拭いをさせる羽目になってしまった。
 ……そうなった原因は、わかっている……。
 陽上さんに良いところを見せたくて、先走ってしまったのだ。
 憧れの人に、すごいと言ってもらいたい。
 憧れの人に、褒められたい。
 そういう自分勝手な気持ちにつられて、私は動いてしまった。違うパターンがある場合を考えず、説得を始めてしまったのだ。
 そのせいで陽上さんには迷惑をかけ、大原四葉さんを取り返しのつかない目にあわせてしまうところだった。
 ……今日は私は、本当に情けない……。
 次に何かあった時は冷静に動いて、汚名を返上しなくては。


『4月25日』
 今日もアコヘンは発生せず、汚名を返上する機会はなかった。
 …………………………。
 最近の私は、頻繁にアコヘンの事を考えている。
 けれどそれは、対策についてではない。
 私が考えているのは、アコヘンが起きて欲しい、という事。
 今月中に名誉を挽回したくて、そう思っている時があるのだ。
 アコヘンは起きない方がいい、発生すると大変な問題なのに……。
 自分勝手に、起きて欲しいと願っている。
 だって私は、陽上さんのよ――いいえ、なんでもない。
 これ以上は、書いてはいけない。
 そうしてしまったら、きっと大変な事になってしまうから。
 この気持ちは、胸に閉じ込めておこう。
 陽上さんはそういう面が鋭いから、絶対に外に出ないように……。
 閉じ込めて、おこう。


『4月27日』
 今日は予想外に、アコヘンが起きた。
 だけど今日もまた、肝心な時に何もできなかった。
 そして今日もまた、陽上さんに助けられてしまった。
 彼女は私が冷静だったから動けたとフォローしてくれたけど、違う。そうではないと、私は知っている。
 陽上さんは誰かが危険な目にあっていたり困っていたりした時に、力を発揮できる人。誰よりも相手を想える人なのだ。
 私は今日改めて、その強さと優しさを思い知った。そうして同時に、

 どうやっても陽上さんのようにはなれない。

 そう、思い知った。
 どんなに努力しても、無理。
 どんなに真似をしようとしても、無理。
 周りを安心させる笑顔――。柔らかくて温かい雰囲気――。どこまでも純粋で真っ直ぐな心――。
 それらは似せようとするのではなく、初めから心の中にないと意味がないのだ。

 だから、私は――。
 考えてはいけない事を、考えてしまっている。

 こんな風に思考を働かせてたら、どうなるか理解しているはずなのに。
 今日は、もう止まらない。
 止められない。
 このままでは、駄目。
 いずれ、アレが起きてしまう。
 なんとか、しないと。どうにかしてこの気持ちを抑え込まないと、周りにめいわくを
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