気付いてくれたのは、わたしを嫌っていたはずの婚約者でした

柚木ゆず

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第11話 180 エレノオール視点(2)

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「……そんなものがあるとは思えんが、いいだろう。なんなのだ?」

 マティルドは、なにをするつもり……?

「お父様もお母様もベンジャマン様もお姉様も、勘違いしています」
「勘違いだだと? なにをだ」
「わたくしは私利私欲が理由で、お姉様のお身体を奪ったのではありません。お姉様を想って、泣く泣く実行したんです!」

 …………。
 マティルドがしようとしていたのは、言い訳でした。

「お姉様! お姉様はわたくしが占いを趣味としているのはご存じですよね!?」
「……ええ」
「ある時お姉様を占ってみたら『近々死んでしまう』という結果が出てしまったんです! 大切な人が死ぬのは辛くて必死になって回避する術を探したものの見つからなくって! 諦めていた時偶然入れ替わりの魔術と出会ったんです」

 ……だ、そうです。

「わたくしは自分を犠牲にしてでもお姉様を――大好きな人を救いたかった! だから入れ替わりを実行したのですわ!! 心の中で血の涙を流しながら!」
「へぇ、そうだったんだね。エレノオール様を軟禁状態にするのも、思い遣りなのかい?」
「アレはっ、わたくしを憎むようにするための作戦です! いきなり入れ替わって後日死んでしまったらっ、『もしや』と思うかもしれません! 聡明なお姉様はきっとそう思うでしょう! そこで憎まれ役になると決めたのです! ですからっ、毎日心の中で泣いていましたわ!」
「僕が外出に誘った際――それ以外の時もウキウキしていたのは、どうしてだろうね? それに憎まれ役になるなら、殺人未遂まで犯す必要はないよね?」
「そ、それ、は……」

 口にしているのは、心にもない言葉。咄嗟に考えた言い訳で、早くも言葉が詰まりました。

「いくら助けても、そのせいでエレノオール様は軟禁状態に置かれてしまった。生きてはいるものの、死んだようなものだよね? 姉を想う人の行動とは思えないよ?」
「そ、それくらい…………それくらいやって陥れるフリをしないと、悪人になれないと思ったんです! お姉様が他意があると気付いて心を痛めると思ったんです! それにっ! わたくしが死ぬ直前に最期のお願いとしてお姉様の軟禁を解くお願いをするつもりでしたのっ! わたくしは心からお姉様を尊敬してお慕いしております! 世界で一番大好きな人のためにやったことで――」
「死ぬつもりなのに、お前は半年先の旅行の計画を立てていたのか。不可思議な思考回路だな」

 こうなるとは、夢にも思っていなかったからですね。隣国への国外旅行を、お父様に相談をしていたそうです。

「そっ、それも悪人計画の一環で――」
「もういい、これ以上は時間の無駄だ。……頼んだ」

 マティルドの大声を遮り、お父様がベルを鳴らしました。そうすると――


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