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第5話 追求の時 マエリス視点(1)
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「マエリス、お帰り。今朝、父上と母上も一緒に居てって手紙がと――お義父さん!?」
「卿……!? ま、マエリスくん、あの手紙と関係あるのかい?」
「な、なんなのかしら……!?」
お屋敷に戻ると、予想外の来客に3人は目を丸くしました。
ええ、そうですよ。午後5時に必ず家族全員いて欲しい、こちらはソレに大いに関係しています。
「お義父さんも一緒だなんて……。急にどうしたんだい? 実家に帰っている間に、なにかあったのかい?」
「違います。実家に帰っている時ではなくて、ラフィールでなにかがあったのですよ」
「っ!」
「「ラフィール?」」
息の夢ジョルロアさんと、不思議そうにするお義父様とお義母様。そんな3人に向かって、箱に仕舞っていたナフキンを取り出しました。
「単刀直入に申し上げます。ジョルロアさんはファニーという女性と長年浮気をしていて、一昨日はそのリストランテで密会をしていました。両者の指紋が付着したこちらが、その証拠でございます」
うわごとで『ファニー』の名が出て怪しみ、ずっと調べていた――。あえて他の情報は出さず、物証のみを出しました。
「…………ば、バカな……。ジョルロアが、浮気だと……!?」
「だ、だってっ、この子は人を好きになれない……。そ、そんなはずは……」
「そんなはずが、あるのですよ。公的機関に出せば、おふたりの指紋が検出されます。加えてファニーさんとの間には、子どもがいらっしゃるようでして――」
「「こども!?」」
「はい、レオンという名前の子どもがいるそうです。こちらの紙にある住所でファニーさんとレオンくんは暮らしており、お家を調べたらジョルロアさんに関係するものが見つかるでしょうね」
曰く『至福の時間』の最中に、3人の名前を彫ったリングの話題が出ていました。あの様子だと他にも色々あって、明白でしょう。
「は、ははは、な、なにを言っているんだい? 俺は人を愛せないんだよ? そんなことするはずないし、ものだって見つかるはずがない。おそらく、君は騙されている。誰かが俺を陥れようとしていて、悪意を持って用意されたものを手に入れてしまっているだけなんだよ」
「そうですか。そうかもしれませんね」
「そっ、そうなんだよ! だから――」
「でしたら、ファニーさんという方もレオンくんという子も赤の他人。一度も会ったことがないし、今後も会うことはないのですよね?」
あちらには失礼ですが、ウチの者に監視をさせようと思います。わたしやお父様が納得するまでファニーさんの行動を見張るつもりなのですが、一切ご縁がないのですから構いませんよね?
そう、問いかけると――
「だ、大丈夫、だよな?」
「大丈夫、よね?」
「……………………………………………………………………」
――いつまで経っても、返事はありませんでした。
無言の肯定。
この瞬間、ジョルロアさんの浮気は確定したのでした。
「卿……!? ま、マエリスくん、あの手紙と関係あるのかい?」
「な、なんなのかしら……!?」
お屋敷に戻ると、予想外の来客に3人は目を丸くしました。
ええ、そうですよ。午後5時に必ず家族全員いて欲しい、こちらはソレに大いに関係しています。
「お義父さんも一緒だなんて……。急にどうしたんだい? 実家に帰っている間に、なにかあったのかい?」
「違います。実家に帰っている時ではなくて、ラフィールでなにかがあったのですよ」
「っ!」
「「ラフィール?」」
息の夢ジョルロアさんと、不思議そうにするお義父様とお義母様。そんな3人に向かって、箱に仕舞っていたナフキンを取り出しました。
「単刀直入に申し上げます。ジョルロアさんはファニーという女性と長年浮気をしていて、一昨日はそのリストランテで密会をしていました。両者の指紋が付着したこちらが、その証拠でございます」
うわごとで『ファニー』の名が出て怪しみ、ずっと調べていた――。あえて他の情報は出さず、物証のみを出しました。
「…………ば、バカな……。ジョルロアが、浮気だと……!?」
「だ、だってっ、この子は人を好きになれない……。そ、そんなはずは……」
「そんなはずが、あるのですよ。公的機関に出せば、おふたりの指紋が検出されます。加えてファニーさんとの間には、子どもがいらっしゃるようでして――」
「「こども!?」」
「はい、レオンという名前の子どもがいるそうです。こちらの紙にある住所でファニーさんとレオンくんは暮らしており、お家を調べたらジョルロアさんに関係するものが見つかるでしょうね」
曰く『至福の時間』の最中に、3人の名前を彫ったリングの話題が出ていました。あの様子だと他にも色々あって、明白でしょう。
「は、ははは、な、なにを言っているんだい? 俺は人を愛せないんだよ? そんなことするはずないし、ものだって見つかるはずがない。おそらく、君は騙されている。誰かが俺を陥れようとしていて、悪意を持って用意されたものを手に入れてしまっているだけなんだよ」
「そうですか。そうかもしれませんね」
「そっ、そうなんだよ! だから――」
「でしたら、ファニーさんという方もレオンくんという子も赤の他人。一度も会ったことがないし、今後も会うことはないのですよね?」
あちらには失礼ですが、ウチの者に監視をさせようと思います。わたしやお父様が納得するまでファニーさんの行動を見張るつもりなのですが、一切ご縁がないのですから構いませんよね?
そう、問いかけると――
「だ、大丈夫、だよな?」
「大丈夫、よね?」
「……………………………………………………………………」
――いつまで経っても、返事はありませんでした。
無言の肯定。
この瞬間、ジョルロアさんの浮気は確定したのでした。
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