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第2話 知った、から 俯瞰視点(3)
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「じゃあ、アレット。これからもう二つ、作戦に関する大事な『お願い』をしておく」
3分ほど抱き合い、オーバンが椅子へと戻ったあとのことでした。彼は新たに取り出した紙2枚にペンを走らせ、作業を終えるとアレットの前に置きました。
「さっき説明したように、コレを使ってヤツらを仕留める。そのためにはソレをフランクさん達『味方』に渡し、以降は俺の指示通りに動いてもらう必要がある」
「ええ。そうね」
「そしてこの作戦のスタートは、3日後のスタートがベスト。だから2日後の夜1時丁度に、ベファリース家の門番にこっそり渡しに行く。それに関する伝達と、受け取ったら即日完璧に動き出せるように、この紙2枚を邸内の人間に――あの3人に気付かれないようにした上で、味方全員にしっかりと目を通してもらってくれ」
「分かったわ。カロルお継母様たちは明日から3人で外出し始めるみたいだから、明日みんなに見せるわ」
あの3人は捏造の準備を行うため日中はお屋敷に居ない、とフランク経由で把握済み。それによって簡単に、目標を達成できるようになっていました。
「アレットにトドメを刺すための行動が、自分達がついに刺される状況を作っていた。最高だな」
オーバンは、南――ベファリース邸が建つ方角に向けて大仰に噴き出し、たっぷりと嗤ったあとは再び正面に視線を戻しました。
「このお願いが大事なお願いの一つ目で、最後のお願いは『自然体を保って』。ここは特に、全員にしっかりと守ってもらいたい」
アレットを含め味方全員の中でひとりでも違和感があれば、計画の効果はガクンと落ちてしまいます。最悪、逆効果をもたらしてしまう危険性もあります。
そこでオーバンは輪をかけて念を押し、そうすればすぐに力強い頷きが返ってきました。
「私自身のこともそうだけど、お母様への行いは許せない。みんなもそう思ってくれているから、大丈夫。何があっても絶対に不自然は出さないわ」
「…………ああ、そうだな。なら、絶対に大丈夫だな」
目の前にいるアレットの瞳。今はお屋敷内にいるアレットの味方達の姿。それらを見て、思い浮かべ、同様の反応を返しました。
「じゃあ、この場で伝えることはもうない。――というわけで、真面目は話はここでお仕舞。ここからは予定通り、お茶会を楽しもうぜ」
3人はアレットが何も知らないと思っているため、普段通りの時間を過ごす必要がありました。それになにより、アレットを元気づけたいという気持ちがありました。
ですので今度こそ用意していたフィナンシェやモンブランを並べ、二人きりのお茶会が始まりました。
「久しぶりにモンブランを食べたいって仰られておりましたので、今回用意させていただきました。お姫様、どうぞ召し上げれ」
「ありがとうございます、王子様。味わわせていただきますね」
「マロンクリームのキメが細かくって、スポンジもふわふわ……! すごく美味しい……っ」
「そっか。気に入ってもらえてよかったよ」
これから3人の悪意が動き出そうとしていますが、今のアレットにはオーバンが考えてくれた作戦があります。そのため戯れたり舌鼓を打つ余裕があり、その後アレットはたっぷりと、大切な人との時間を楽しんだのでした。
そして、それから3日後。ついに、オーバン考案の計画が動き出して――
3分ほど抱き合い、オーバンが椅子へと戻ったあとのことでした。彼は新たに取り出した紙2枚にペンを走らせ、作業を終えるとアレットの前に置きました。
「さっき説明したように、コレを使ってヤツらを仕留める。そのためにはソレをフランクさん達『味方』に渡し、以降は俺の指示通りに動いてもらう必要がある」
「ええ。そうね」
「そしてこの作戦のスタートは、3日後のスタートがベスト。だから2日後の夜1時丁度に、ベファリース家の門番にこっそり渡しに行く。それに関する伝達と、受け取ったら即日完璧に動き出せるように、この紙2枚を邸内の人間に――あの3人に気付かれないようにした上で、味方全員にしっかりと目を通してもらってくれ」
「分かったわ。カロルお継母様たちは明日から3人で外出し始めるみたいだから、明日みんなに見せるわ」
あの3人は捏造の準備を行うため日中はお屋敷に居ない、とフランク経由で把握済み。それによって簡単に、目標を達成できるようになっていました。
「アレットにトドメを刺すための行動が、自分達がついに刺される状況を作っていた。最高だな」
オーバンは、南――ベファリース邸が建つ方角に向けて大仰に噴き出し、たっぷりと嗤ったあとは再び正面に視線を戻しました。
「このお願いが大事なお願いの一つ目で、最後のお願いは『自然体を保って』。ここは特に、全員にしっかりと守ってもらいたい」
アレットを含め味方全員の中でひとりでも違和感があれば、計画の効果はガクンと落ちてしまいます。最悪、逆効果をもたらしてしまう危険性もあります。
そこでオーバンは輪をかけて念を押し、そうすればすぐに力強い頷きが返ってきました。
「私自身のこともそうだけど、お母様への行いは許せない。みんなもそう思ってくれているから、大丈夫。何があっても絶対に不自然は出さないわ」
「…………ああ、そうだな。なら、絶対に大丈夫だな」
目の前にいるアレットの瞳。今はお屋敷内にいるアレットの味方達の姿。それらを見て、思い浮かべ、同様の反応を返しました。
「じゃあ、この場で伝えることはもうない。――というわけで、真面目は話はここでお仕舞。ここからは予定通り、お茶会を楽しもうぜ」
3人はアレットが何も知らないと思っているため、普段通りの時間を過ごす必要がありました。それになにより、アレットを元気づけたいという気持ちがありました。
ですので今度こそ用意していたフィナンシェやモンブランを並べ、二人きりのお茶会が始まりました。
「久しぶりにモンブランを食べたいって仰られておりましたので、今回用意させていただきました。お姫様、どうぞ召し上げれ」
「ありがとうございます、王子様。味わわせていただきますね」
「マロンクリームのキメが細かくって、スポンジもふわふわ……! すごく美味しい……っ」
「そっか。気に入ってもらえてよかったよ」
これから3人の悪意が動き出そうとしていますが、今のアレットにはオーバンが考えてくれた作戦があります。そのため戯れたり舌鼓を打つ余裕があり、その後アレットはたっぷりと、大切な人との時間を楽しんだのでした。
そして、それから3日後。ついに、オーバン考案の計画が動き出して――
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