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第16話 兄~夜会・絶句の時~ ロマニ視点
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「ちっ、違うっ!! 再チェックをするまでの間に工作が――」
「我々は隣室で待機しており、ロマニ様が去られた直後に再調査を行っております」
「退室後部屋に入ったのは、我々5人のみ。ボディーチェックを行っていない人間は、貴方様しか足を踏み入れておりません」
「したがってロマニ様以外に、あり得ないのですよ。他者の工作は、物理的に不可能です」
俺の言い分は、治安局員によって即座に否定されてしまう……。
こういった場合、コイツらの発言は大きな力を持ってしまうから……。これ、では……。どう足掻いても、覆せない…………。
「残念でしたね、兄さん。僕は以前から――やけに帰りが遅いことを訝しみ、それが切っ掛けとなって貴方の裏切りを知っていた。そのため色々な仕掛けを、用意してしたのですよ」
「ぐ……ダヴィッドっ! お前は兄を騙していたのか……!!」
「他者を脅迫して信憑性を持たせようとしたり、こうして証拠を捏造しようとしたり。アンナ様を裏切るだけではなく、アンナ様の一生が滅茶苦茶になってしまうことを悪びれもせず行っていたのですからね。騙すのは当たり前ですよ」
ヤツは大きく呆れの息を吐いて、っっ。慇懃無礼にお辞儀をしやがった……!
「人のうわさは厄介なものでしてね。例えそれが根も葉もないものだったとしても、広がっていってしまうのですよ。貴方がノコノコとアクセサリーを置きに来てくれたおかげで、その噂をしっかりと断てました。感謝いたします」
「こっ、この……っ! よくも兄を――」
「ロマニ、兄兄うるさいぞ。自分は兄、それがどうしたというんだ? 訳の分からないことを繰り返すな」
ダヴィッドによって胸倉を掴まれ、ぐっ、振りほどけない……っ! コイツ、こんなに力があったのか……!?
「今度こそ、彼女が生を終えるまで陰で見守るつもりだったからな。病とは無縁な体を作る過程で得た、副産物さ」
「今度こそっ? 病っ? お前は何を言っているんだ……!?」
「お前には関係のない話だ。……脱線を戻すとしよう」
軽々と俺を持ち上げていたヤツは空中でパッと手を離し、それによって俺は盛大に尻もちをつく。そうすると間髪入れず治安局員によって拘束され、強引に立たされてしまった……っ。
「兄さん。貴方が行ったものは犯罪行為、これから貴方――貴方達は罪人へと堕ち、牢が新たな『家』となります。新たな人生を、楽しんでくださいね」
「くっ、くそぉぉぉぉぉ!! くそそそおおおおおおお――」
「待ってくださぃぃっ。わたしのお話を、お聞きくださいぃっ」
顔を歪めていたら、アニーが大きな声を上げた。
((っっ! アニーはどんな時でも、俺を想い優先してくれる人だ))
きっと自分のせいだと言って、罪を軽減しようとしてくれているんだろう。
でも、それは駄目だぞ。そんなことをしても、俺は嬉しくない。一緒に仲良く罪を償って、牢を出たら一緒に暮らそう――
「違うんですぅ。わたしはロマニ様に目をつけられてしまってぇっ、無理やり従わされていただけなんですぅ……っ」
――な!?
アニー!?
「我々は隣室で待機しており、ロマニ様が去られた直後に再調査を行っております」
「退室後部屋に入ったのは、我々5人のみ。ボディーチェックを行っていない人間は、貴方様しか足を踏み入れておりません」
「したがってロマニ様以外に、あり得ないのですよ。他者の工作は、物理的に不可能です」
俺の言い分は、治安局員によって即座に否定されてしまう……。
こういった場合、コイツらの発言は大きな力を持ってしまうから……。これ、では……。どう足掻いても、覆せない…………。
「残念でしたね、兄さん。僕は以前から――やけに帰りが遅いことを訝しみ、それが切っ掛けとなって貴方の裏切りを知っていた。そのため色々な仕掛けを、用意してしたのですよ」
「ぐ……ダヴィッドっ! お前は兄を騙していたのか……!!」
「他者を脅迫して信憑性を持たせようとしたり、こうして証拠を捏造しようとしたり。アンナ様を裏切るだけではなく、アンナ様の一生が滅茶苦茶になってしまうことを悪びれもせず行っていたのですからね。騙すのは当たり前ですよ」
ヤツは大きく呆れの息を吐いて、っっ。慇懃無礼にお辞儀をしやがった……!
「人のうわさは厄介なものでしてね。例えそれが根も葉もないものだったとしても、広がっていってしまうのですよ。貴方がノコノコとアクセサリーを置きに来てくれたおかげで、その噂をしっかりと断てました。感謝いたします」
「こっ、この……っ! よくも兄を――」
「ロマニ、兄兄うるさいぞ。自分は兄、それがどうしたというんだ? 訳の分からないことを繰り返すな」
ダヴィッドによって胸倉を掴まれ、ぐっ、振りほどけない……っ! コイツ、こんなに力があったのか……!?
「今度こそ、彼女が生を終えるまで陰で見守るつもりだったからな。病とは無縁な体を作る過程で得た、副産物さ」
「今度こそっ? 病っ? お前は何を言っているんだ……!?」
「お前には関係のない話だ。……脱線を戻すとしよう」
軽々と俺を持ち上げていたヤツは空中でパッと手を離し、それによって俺は盛大に尻もちをつく。そうすると間髪入れず治安局員によって拘束され、強引に立たされてしまった……っ。
「兄さん。貴方が行ったものは犯罪行為、これから貴方――貴方達は罪人へと堕ち、牢が新たな『家』となります。新たな人生を、楽しんでくださいね」
「くっ、くそぉぉぉぉぉ!! くそそそおおおおおおお――」
「待ってくださぃぃっ。わたしのお話を、お聞きくださいぃっ」
顔を歪めていたら、アニーが大きな声を上げた。
((っっ! アニーはどんな時でも、俺を想い優先してくれる人だ))
きっと自分のせいだと言って、罪を軽減しようとしてくれているんだろう。
でも、それは駄目だぞ。そんなことをしても、俺は嬉しくない。一緒に仲良く罪を償って、牢を出たら一緒に暮らそう――
「違うんですぅ。わたしはロマニ様に目をつけられてしまってぇっ、無理やり従わされていただけなんですぅ……っ」
――な!?
アニー!?
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