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第6話 今度は俺が ヴァンサン視点(5)

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「………………………………」

『頼むぞっ、頼む! 神樹っ、教えてくれぇぇぇぇ!!』。そう叫んだ俺は、神樹の前で崩れ落ちていた。
 なぜ、なら……。

「ない……。なにも、反応がない……」

 声が脳内に流れ込んでくることは、なかったから。
 何回何十回何百回押し当てても、頭突きのようにやってみても……。何をやっても、変化がなかったのだから……。

「う、うそ、だよな……? 何かの理由があって、リアクションが遅れているだけなんだよな……? もう少ししたら、変化があるんだよな……?

 そう信じて、待つ。
 けれど……。1時間経っても2時間経っても、反応はない。神樹は静かなままだった。

「なぜだ!? なぜ黙ったままなんだ!? あの時は黒く光ったじゃないか!? あんなにも眩しく輝き応えてくれたじゃないか!? どうして今は何もしてくれないんだ!? なあっ、なあ!! 神樹サクレっ、聞こえてるんだろう!? 教えてくれよぉぉぉぉ!!」

 血が出るほどに額を押し付け、訴える。
 でも、それでも……。その場で丸一日以上待ってみても、反応はなかった……。

「ぁ、ぁぁぁ……。そんな……。お前しか、頼れないのに……。たのむぅぅぅぅぅうぅぅっ!! 教えてくれっ!! どうすればいいんだよぉぉぉぉぉ!? 俺はどうしたらっ、死を回避できるんだぁぎぃぃぃぃぃ!?」

 いつの間にか、あの時間に――午後7時に、なっていたらしい……。それによって再び――今度は全身に謎の激痛が走り、もがき苦しんだ後意識が途絶えた。
 そして…………。意識が戻ると、またベッドの上だった…………。

「い、いやだ……。もう、嫌だ……。今度こそっ、死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!! どうすればいいんだぁあああああああああああああああああああ!?」

 分からない。分かるはずがない。だから俺は懸命に自分を鼓舞して、様々な方法を試してみた。
 リアナが生きていることが原因ではと思い、殺そうとしてみたり。逆にリアナに謝ってみたり。孤児院に寄付してみたり、貴族籍を返上してみたり。
 あらゆる手を実行し――

 リアナを刺そうとしたら足を滑らせ、そのナイフが自分に刺さって死ぬ。
 パーティー会場に向かう途中で影に仕留めさせようとしたら、なぜか忠実な影が裏切り殺される。
 仕方なくリアナに謝りに行こうとしたら、馬車が暴走して死ぬ。
 しぶしぶ孤児院に寄付をしていたら、帰り道に野盗に襲われて死ぬ。

 ――俺はあらゆる方法で、命を落としてしまい……。計38回、地獄のような時を経験する羽目になったのだった……。
 そして…………

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