今度こそ君と結婚するために生まれ変わったんだ。そう言った人は明日、わたしの妹と結婚します

柚木ゆず

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第2話 元婚約者と妹 カサンドラ視点

「おっと、これを忘れちゃいけないね。アンジェル、受け取ってもらえるかな?」
「? なんでしょう……? こちらは………………わぁっ。イヤリング……!?」
「昨日たまたま見つけてね、君に似合うと思って買っておいたんだ。どれ、俺がつけてあげよう」
「ありがとうございます。…………い、いかがでしょうか?」
「うん、思った通りよく似合う。ほら、鏡を見てご覧。ますます美しくなった人が映ってるよ」

「マナー違反ですが、今夜だけは許していただきましょう。ロドルフ様、お口を開けていただけますか?」
「ふふ、そういうことか。あ~ん」
「よかった、上手くいきました。いかが、ですか?」
「もちろん、美味しさが倍になったよ。さ、お返しをしよう。あ~ん」
「あ~ん。……うふっ、わたくしもです。美味しさが倍になりました♪」

「いよいよ、明日なのですよね。ロドルフ様」
「ん? なんだい?」
「あっという間の2週間、でしたね」
「ああ、そうだね。俺達が一刻も早い結婚を願ったから、怒涛の日々となってしまったよね」
「大急ぎで各所に招待状を送り直したり、ウェディングドレスをわたくし用に仕立て直したり、リングを作り直したり。大変、でしたよね」
「息をつく暇がなかったね。ただどれもが、君と夫婦になるためもの。だから?」
「はいっ。苦しいと思ったことはありませんでした」
「そうだね。むしろ、逆。楽しくて仕方がなかった」
「それだけではなくって、その……。ロドルフ様に、キス、をいただきましたよね? あの口づけも活力になりました」

「………………」「「………………」」
「こらこら、みんながいる前だぞ? キスの話は秘密だって約束したじゃないか」
「っ、すみませんっ。つい……。本当に、嬉しかったもので……」
「確かに、そうだね。それなら仕方がないか。実際俺も、パワーとなったし」
「ありがとうございますっ。ロドルフ様は、いつもお優しい」
「いやいや、俺はそこまで立派な人間じゃないよ。好きな人には優しくしたくなるものさ」
「そんなことありませんっ。ロドルフ様は立派な御方ですよっ! ね、お姉様」
「…………そ、そうだね。そう思うよ。………………お父様、お母様。皆様、申し訳ございません。気分が優れませんので、お先に失礼致します」

 子どもが可愛いレトーザ当主夫妻はともかく、お父様とお母様はアンジェルたちのやり取りを冷や冷やしながら見守っています。お父様達にこれ以上、心労をかけてしまわないように――ううん、そうではありません。
 それもありますが何より、この場に居るのが辛かった。
 あれから14日経ってもまだ、こういったやり取りを見て聞くのが辛くて……。わたしは、逃げるように部屋へと戻ったのでした。


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