3 / 31
第2話 元婚約者と妹 カサンドラ視点
「おっと、これを忘れちゃいけないね。アンジェル、受け取ってもらえるかな?」
「? なんでしょう……? こちらは………………わぁっ。イヤリング……!?」
「昨日たまたま見つけてね、君に似合うと思って買っておいたんだ。どれ、俺がつけてあげよう」
「ありがとうございます。…………い、いかがでしょうか?」
「うん、思った通りよく似合う。ほら、鏡を見てご覧。ますます美しくなった人が映ってるよ」
「マナー違反ですが、今夜だけは許していただきましょう。ロドルフ様、お口を開けていただけますか?」
「ふふ、そういうことか。あ~ん」
「よかった、上手くいきました。いかが、ですか?」
「もちろん、美味しさが倍になったよ。さ、お返しをしよう。あ~ん」
「あ~ん。……うふっ、わたくしもです。美味しさが倍になりました♪」
「いよいよ、明日なのですよね。ロドルフ様」
「ん? なんだい?」
「あっという間の2週間、でしたね」
「ああ、そうだね。俺達が一刻も早い結婚を願ったから、怒涛の日々となってしまったよね」
「大急ぎで各所に招待状を送り直したり、ウェディングドレスをわたくし用に仕立て直したり、リングを作り直したり。大変、でしたよね」
「息をつく暇がなかったね。ただどれもが、君と夫婦になるためもの。だから?」
「はいっ。苦しいと思ったことはありませんでした」
「そうだね。むしろ、逆。楽しくて仕方がなかった」
「それだけではなくって、その……。ロドルフ様に、キス、をいただきましたよね? あの口づけも活力になりました」
「………………」「「………………」」
「こらこら、みんながいる前だぞ? キスの話は秘密だって約束したじゃないか」
「っ、すみませんっ。つい……。本当に、嬉しかったもので……」
「確かに、そうだね。それなら仕方がないか。実際俺も、パワーとなったし」
「ありがとうございますっ。ロドルフ様は、いつもお優しい」
「いやいや、俺はそこまで立派な人間じゃないよ。好きな人には優しくしたくなるものさ」
「そんなことありませんっ。ロドルフ様は立派な御方ですよっ! ね、お姉様」
「…………そ、そうだね。そう思うよ。………………お父様、お母様。皆様、申し訳ございません。気分が優れませんので、お先に失礼致します」
子どもが可愛いレトーザ当主夫妻はともかく、お父様とお母様はアンジェルたちのやり取りを冷や冷やしながら見守っています。お父様達にこれ以上、心労をかけてしまわないように――ううん、そうではありません。
それもありますが何より、この場に居るのが辛かった。
あれから14日経ってもまだ、こういったやり取りを見て聞くのが辛くて……。わたしは、逃げるように部屋へと戻ったのでした。
「? なんでしょう……? こちらは………………わぁっ。イヤリング……!?」
「昨日たまたま見つけてね、君に似合うと思って買っておいたんだ。どれ、俺がつけてあげよう」
「ありがとうございます。…………い、いかがでしょうか?」
「うん、思った通りよく似合う。ほら、鏡を見てご覧。ますます美しくなった人が映ってるよ」
「マナー違反ですが、今夜だけは許していただきましょう。ロドルフ様、お口を開けていただけますか?」
「ふふ、そういうことか。あ~ん」
「よかった、上手くいきました。いかが、ですか?」
「もちろん、美味しさが倍になったよ。さ、お返しをしよう。あ~ん」
「あ~ん。……うふっ、わたくしもです。美味しさが倍になりました♪」
「いよいよ、明日なのですよね。ロドルフ様」
「ん? なんだい?」
「あっという間の2週間、でしたね」
「ああ、そうだね。俺達が一刻も早い結婚を願ったから、怒涛の日々となってしまったよね」
「大急ぎで各所に招待状を送り直したり、ウェディングドレスをわたくし用に仕立て直したり、リングを作り直したり。大変、でしたよね」
「息をつく暇がなかったね。ただどれもが、君と夫婦になるためもの。だから?」
「はいっ。苦しいと思ったことはありませんでした」
「そうだね。むしろ、逆。楽しくて仕方がなかった」
「それだけではなくって、その……。ロドルフ様に、キス、をいただきましたよね? あの口づけも活力になりました」
「………………」「「………………」」
「こらこら、みんながいる前だぞ? キスの話は秘密だって約束したじゃないか」
「っ、すみませんっ。つい……。本当に、嬉しかったもので……」
「確かに、そうだね。それなら仕方がないか。実際俺も、パワーとなったし」
「ありがとうございますっ。ロドルフ様は、いつもお優しい」
「いやいや、俺はそこまで立派な人間じゃないよ。好きな人には優しくしたくなるものさ」
「そんなことありませんっ。ロドルフ様は立派な御方ですよっ! ね、お姉様」
「…………そ、そうだね。そう思うよ。………………お父様、お母様。皆様、申し訳ございません。気分が優れませんので、お先に失礼致します」
子どもが可愛いレトーザ当主夫妻はともかく、お父様とお母様はアンジェルたちのやり取りを冷や冷やしながら見守っています。お父様達にこれ以上、心労をかけてしまわないように――ううん、そうではありません。
それもありますが何より、この場に居るのが辛かった。
あれから14日経ってもまだ、こういったやり取りを見て聞くのが辛くて……。わたしは、逃げるように部屋へと戻ったのでした。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません
かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。
……約束の時間を過ぎてから。
侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。
貴族の結婚なんて、所詮は政略で。
家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。
なのに……
何もかも義姉優先。
挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。
挙句の果て、侯爵家なのだから。
そっちは子爵家なのだからと見下される始末。
そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。
更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!?
流石にそこはお断りしますけど!?
もう、付き合いきれない。
けれど、婚約白紙を今更出来ない……
なら、新たに契約を結びましょうか。
義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。
-----------------------
※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。
「退屈な女だ」と婚約破棄されたので去りましたが、翌日から国政が止まったそうです。え、私はもう存じませんけど?
にたまご
恋愛
公爵令嬢クラーラは、ユリウス王太子殿下に婚約を破棄された。
「退屈な女だ」「何の取り柄もない」と。
否定はしない。
けれど殿下が知らないだけで、通商条約も予算案も外交書簡も、この国の政務の大半を六年間匿名で回していたのは──この「退屈な女」だ。
婚約破棄の翌朝、宰相補佐官のレオンが焼き菓子と四十二件の緊急報告を携えて公爵邸を訪れる。
「貴女がいなくなった王宮は、控えめに申し上げて、地獄です」
──存じません。私はもう、ただの無職ですので。
婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません
黒木 楓
恋愛
子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。
激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。
婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。
婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。
翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
冤罪で処刑された悪女ですが、死に戻ったらループ前の記憶を持つ王太子殿下が必死に機嫌を取ってきます。もう遅いですが?
六角
恋愛
公爵令嬢ヴィオレッタは、聖女を害したという無実の罪を着せられ、婚約者である王太子アレクサンダーによって断罪された。 「お前のような性悪女、愛したことなど一度もない!」 彼が吐き捨てた言葉と共に、ギロチンが落下し――ヴィオレッタの人生は終わったはずだった。
しかし、目を覚ますとそこは断罪される一年前。 処刑の記憶と痛みを持ったまま、時間が巻き戻っていたのだ。 (またあの苦しみを味わうの? 冗談じゃないわ。今度はさっさと婚約破棄して、王都から逃げ出そう)
そう決意して登城したヴィオレッタだったが、事態は思わぬ方向へ。 なんと、再会したアレクサンダーがいきなり涙を流して抱きついてきたのだ。 「すまなかった! 俺が間違っていた、やり直させてくれ!」
どうやら彼も「ヴィオレッタを処刑した後、冤罪だったと知って絶望し、時間を巻き戻した記憶」を持っているらしい。 心を入れ替え、情熱的に愛を囁く王太子。しかし、ヴィオレッタの心は氷点下だった。 (何を必死になっているのかしら? 私の首を落としたその手で、よく触れられるわね)
そんなある日、ヴィオレッタは王宮の隅で、周囲から「死神」と忌み嫌われる葬儀卿・シルヴィオ公爵と出会う。 王太子の眩しすぎる愛に疲弊していたヴィオレッタに、シルヴィオは静かに告げた。 「美しい。君の瞳は、まるで極上の遺体のようだ」
これは、かつての愛を取り戻そうと暴走する「太陽」のような王太子と、 傷ついた心を「静寂」で包み込む「夜」のような葬儀卿との間で揺れる……ことは全くなく、 全力で死神公爵との「平穏な余生(スローデス)」を目指す元悪女の、温度差MAXのラブストーリー。
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。