隣にある古い空き家に引っ越してきた人達は、10年前に縁を切った家族でした

柚木ゆず

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第3話 復讐に必要なのは 俯瞰視点(1)

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「いくぞ、お前達」
「ええ」
「ええ」

 翌日の早朝。ターズン、レーラ、ネフールの3人は、帽子とサングラスとマスクをつけて外へと出ました。
 彼らが入念に変装をしている理由。それは、これからジュリエットとガスパールの家を見張るからです。

『ヤツらの現状を把握しないと計画が立てられん。まずはアイツらの周辺を調べよう』

 相手の状況によって、復讐の内容や過程が変わって来る。確実かつ最も絶望に落とせる方法を見つけるべく、まずは徹底的に調査をすることとなりました。

(これ以上顔を出さないようにな。気付かれてしまう)
(分かっているわ。こちらの動きを悟られないように――見て! 出て来たわ)

 ジュリエット達の家から見て11時の方角にある角に身を潜めて監視をしていると、扉が開きガスパールが出てきました。

「いってらっしゃい」
「うん、いってきます」

 ジュリエットに見送られてガスパールは家を出て、東方向へと伸びる道を徒歩で進んでいきます。

(あの様子だと、仕事に行くようだな……)
(随分と良い家に住んでいるから、それなりの仕事に就いているみたいね。全部捨てた人間がそんな職に就けるとは思えないのだけど、なにをしているのかしら……)
(あとをつけたら一目瞭然ですわ。さ、私(わたくし)たちも行きましょう)

 尾行スタート。念には念をで20メートル近く距離を取り、ガスパールの背中を追いかけます。

(……寄り合いの馬車には、乗らないな……)
(完全に徒歩というわけね)
(となると、職場は近くにあるんですのね)

 ひそひそ声でそんなやり取りをしながら、歩くこと7分。裏道を2本通って大通りを進んでいたガスパールの足は、『ホライリース』というお洒落かつリッチなリストランテの前で止まりました。

(!? こんな立派な店で働いているというのか!?)
(あの子といえば料理で、料理関係しかないと思ってはいたけど……。ここ……!?)
(見るからに格式の高い店ですわよ……。全て失った男が、どうやったらこんなところに入れ――お父様お母様! あそこを見てくださいまし!!)

 唖然としていたネフールは、さらに信じられないものを見つけてしまいました。

(ど、どうした?)
(い、入り口に……。ガスパールオルズの肖像画が飾られていますわ!)

 この国では一定以上のランクのリストランテには、オーナーと料理長の肖像画の設置が義務づけられています。ホライリースはあちこちで実力を認められたガスパールの店のためそうする必要があり、開店祝いとして師匠から豪華な額縁つきで贈られていたのです。

(オーナーシェフだと!?)(オーナーシェフですって!?)

 3人は目玉が飛び出るほどの衝撃に襲われましたが、それはまだ序の口。このあとも、彼らの度肝を抜く出来事が待っていたのでした。


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