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第1話 つい、爆発してしまう喜び
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((婚約破棄!? 婚約を破棄された!? あたしってば、破棄されるみたい!!))
状況を認識するや、あたしは心の中で喜びの奇声を発した。
婚約が破棄されたら、殿下の婚約者じゃなくなる! 自由の身になる!
そんなの、喜ばずにいられるわけがない。
あたしは今、滅茶苦茶嬉しい!!
大勢の貴族が集まっているパーティー会場じゃなかったら、飛び跳ねながら走り回っちゃうくらい嬉しいの!!
いえええええええええええええええええええええええええええええええええい!! いえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええい!!
「ぐふふふふふふふ。ふふふふふふふふふふふふ……!」
「リル……? 君はなぜ、そんなにも喜んでいるんだ……?」
今度は心の中で小躍りしていたら、殿下の眉がピクピクなり始めた。
げ、しまった。設定だとあたしは、『殿下にゾッコン』。ショックを受けたフリをしておかないと、あとあと面倒なことになりそう。
「す、すみません……。あまりにショックで、気が動転してしまいました……」
「そ、そうなのか……? ふ、ふむ。まあ、それもそうか……」
肩を窄めて俯くと、殿下の怒りゲージが下がっていった。
そうそうっ。あたしは貴方に夢中だったんですからね。そういうことなのです。
「では、話を戻そう。君と婚約を解消する理由なのだが――。身に覚えはあるな?」
「……………………。……………………」
「ないと、白を切るか。ならば、懇切丁寧に語ってやろう」
お茶会仲間のサーフィナさんの美貌に嫉妬し、手紙を送りつけるなど様々な嫌がらせを行っていた。今回それが発覚して、そんな女と関係を維持するつもりはない。それが殿下の言い分で、言わずもがなウソ。
殿下はこの人に好意が移って、あたしが邪魔になった。でも正直に明かすと非難轟轟だから、こちらに原因があるようにしてるみたい。
「――以上が、宣言に至る経緯であり君の罪だ。リル・サートル、言い逃れなど不可能なのだよ」
「……………………」
否定したって意味はない。それにその考えは都合がいいし、過去の例に当てはめると償いは1年間の謹慎処分で済む。
そのため敢えて何も口にせず、話が終わるのを待つ。
「王太子妃となる未来は消え去り、君のもとにやって来るのは1年間の謹慎だ。その間に猛省するがいい、と発するつもりだったのだが――。彼女のおかげで、後半が訪れる事はなくなった」
「後半が……? 彼女の、おかげ……?」
「サーフィナは友人を想い、穏便に済ませたいと言っているのだ。したがって罰は一切なく、それは不要。今後は自由に過ごすといい」
その台詞が終わると参加者からは感嘆の声が漏れ、あたしは納得する。
これは、想いとか穏便とかじゃない。このことを利用して、サーフィナさんの評判を上げたいだけだ。
「さて、君との話はこれで最後だ。早々に王宮から去るがいい」
「リルさん……。この機会に、どうか生まれ変わってください。わたくしは貴女の更生を信じて、またお茶をできる日を楽しみにしていますわ」
「サーフィナ様、優しいお言葉をありがとうございます。殿下、ご迷惑をお掛けしました。……失礼致します」
改めて、殿下、サーフィナさん、参加者の皆さんに対してペコリとお辞儀。沈痛な面持ちで会場を去ったあたしは高価なドレスを脱ぎ、サーフィナさんの慈悲(こちらも自分の評価アップを企んでいる)で用意された馬車に乗り込み、10か月ぶりに我が家に戻ったのでした。
よぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっし脱出成功っ!
これからあたしは、失われた10か月を取り戻すっ。アルフレッドと再会したり2人でお買い物したり、人生を楽しむわよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!
状況を認識するや、あたしは心の中で喜びの奇声を発した。
婚約が破棄されたら、殿下の婚約者じゃなくなる! 自由の身になる!
そんなの、喜ばずにいられるわけがない。
あたしは今、滅茶苦茶嬉しい!!
大勢の貴族が集まっているパーティー会場じゃなかったら、飛び跳ねながら走り回っちゃうくらい嬉しいの!!
いえええええええええええええええええええええええええええええええええい!! いえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええい!!
「ぐふふふふふふふ。ふふふふふふふふふふふふ……!」
「リル……? 君はなぜ、そんなにも喜んでいるんだ……?」
今度は心の中で小躍りしていたら、殿下の眉がピクピクなり始めた。
げ、しまった。設定だとあたしは、『殿下にゾッコン』。ショックを受けたフリをしておかないと、あとあと面倒なことになりそう。
「す、すみません……。あまりにショックで、気が動転してしまいました……」
「そ、そうなのか……? ふ、ふむ。まあ、それもそうか……」
肩を窄めて俯くと、殿下の怒りゲージが下がっていった。
そうそうっ。あたしは貴方に夢中だったんですからね。そういうことなのです。
「では、話を戻そう。君と婚約を解消する理由なのだが――。身に覚えはあるな?」
「……………………。……………………」
「ないと、白を切るか。ならば、懇切丁寧に語ってやろう」
お茶会仲間のサーフィナさんの美貌に嫉妬し、手紙を送りつけるなど様々な嫌がらせを行っていた。今回それが発覚して、そんな女と関係を維持するつもりはない。それが殿下の言い分で、言わずもがなウソ。
殿下はこの人に好意が移って、あたしが邪魔になった。でも正直に明かすと非難轟轟だから、こちらに原因があるようにしてるみたい。
「――以上が、宣言に至る経緯であり君の罪だ。リル・サートル、言い逃れなど不可能なのだよ」
「……………………」
否定したって意味はない。それにその考えは都合がいいし、過去の例に当てはめると償いは1年間の謹慎処分で済む。
そのため敢えて何も口にせず、話が終わるのを待つ。
「王太子妃となる未来は消え去り、君のもとにやって来るのは1年間の謹慎だ。その間に猛省するがいい、と発するつもりだったのだが――。彼女のおかげで、後半が訪れる事はなくなった」
「後半が……? 彼女の、おかげ……?」
「サーフィナは友人を想い、穏便に済ませたいと言っているのだ。したがって罰は一切なく、それは不要。今後は自由に過ごすといい」
その台詞が終わると参加者からは感嘆の声が漏れ、あたしは納得する。
これは、想いとか穏便とかじゃない。このことを利用して、サーフィナさんの評判を上げたいだけだ。
「さて、君との話はこれで最後だ。早々に王宮から去るがいい」
「リルさん……。この機会に、どうか生まれ変わってください。わたくしは貴女の更生を信じて、またお茶をできる日を楽しみにしていますわ」
「サーフィナ様、優しいお言葉をありがとうございます。殿下、ご迷惑をお掛けしました。……失礼致します」
改めて、殿下、サーフィナさん、参加者の皆さんに対してペコリとお辞儀。沈痛な面持ちで会場を去ったあたしは高価なドレスを脱ぎ、サーフィナさんの慈悲(こちらも自分の評価アップを企んでいる)で用意された馬車に乗り込み、10か月ぶりに我が家に戻ったのでした。
よぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっし脱出成功っ!
これからあたしは、失われた10か月を取り戻すっ。アルフレッドと再会したり2人でお買い物したり、人生を楽しむわよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!
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