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第5話(4)
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「待ちなさいっ! まだ話の途中と言っているでしょっ!! 本題はまだよっ!!」
「「「「「まてっ!! 逃げるなっ!!」」」」」
あれから、およそ5分後。理不尽な追いかけごっこは、まだ続いています。
精神が肉体を凌駕してる、という状態なんだと思う。ミーラ&野次馬は目を血走らせて追跡をしてきていて、スピードが落ちる気配は全くない。
「通行人はともかく、ミーラは運動音痴だったはずだ。すごい執念だな」
「あたしをギャフンと言わせるために、限界を超えたんだね。人間って、まだまだ可能性を秘めてるんだね……」
あはははは。あはははは。
……そんな可能性は、なかった方が有難かったなぁ。
「アルフレッド、平気? 走りっぱなしで、しんどくない?」
「ご存じの通り、俺は元々運動が得意。まだまだ余裕だ」
さらっと片目を瞑ってくれて、そのあと幼馴染は楽しそうに笑う。
「それに今は、『リルを守ってる』って状況だ。今度こそちゃんと約束を守れるから、力がいくらでも湧いてくるんだよ」
「…………。アルフレッド……っ」
俺、リルが好きだ!
だからずっとずっと、一緒にいてくれ!
何があっても、リルを守るからっ!
それはあたし達が14歳の時にしてくれた、告白と約束。
あたしにとっても、生涯忘れられない出来事。
「10か月前は反故にしてしまったけど、あんなことは二度とない。これからは絶対に、最初からリルを守る。だからさ、安心してくれ」
「……うん……っ。ありがとう、アルフレッド……っ」
今は、逃げてる途中だけど。どうしても、したくなったから。彼の胸に顔を埋めて、感謝の気持ちを言葉に換えた。
「こっちこそ、色々ありがとな。王宮での態度とか、滅茶苦茶嬉しかったんだぜ。俺のために無理をしてくれてるって、いっつも感謝した」
「そ、そう……? そう、なの……?」
「ああ、そうだよ。だから――あ、いや、その話は今度でいいや。そろそろ、逃走に集中しますかっ」
そこからは再び会話なしでの疾走が続いて、それか――。更に、5分くらいが過ぎた頃かな。
「はぁ、はぁ、はぁ……。まち……。な……。さい……」
「「「「「ま、まてぇ……。まてぇ……」」」」」
ミーラ&野次馬がやっとバテ始めて、次々と人が脱落するようになってゆく。
テンポよく1人また1人と数が減っていって、やがてその数は1人に。最後の1人は勿論ミーラで、彼女は野次馬とは大違い。『とりあえず叩いておきたい』で参加していたその他大勢とは異なり、確固たる(?)意思の持ち主。だけど、
「きょ、きょうの、ところは……。ひく、わ……っ。けっちゃくは……。つぎの、きかい、に……。おあずけ……。よ………………」
それも、ここまで。
彼女らしい捨て台詞を発したあと、バッタリと転倒。その倒れ方があまりに危険だったので引き返して確認してみると、彼女はうつ伏せになったまま失神していた。
「この様子だと、放っておいても大丈夫そうだな。これで、追っ手は0。自由に動けるようになったし、買い物を再開しようぜ」
安否のチェックを終えると、南と東を順に指差す。
復活したら、ミーラは率先してまた探しそうだもんね。馬車を使って、隣街にあるショップに行こう。
「アルフレッドさん、とても助かりました。どうもありがとうございます」
「どういたしまして、リルさん。んじゃ、いきますか」
いつもの調子でお礼を伝えて、近くにある街・サンテールに移動。そこに着くと早速お目当てのお店に入って、2人でじっくりと、大切なものを吟味する。
その結果、なんと候補の筆頭になるリングを見つけて――。
あたし達は大満足で久しぶりのお買い物を終え、どちらも満面の笑みで家路についたのでした。
一緒にリングを見たり、服をプレゼントしあったり。十分楽しかったけど、まだまだ今日は終わりません。
これからもう一つ、お楽しみがあります……っ!
「「「「「まてっ!! 逃げるなっ!!」」」」」
あれから、およそ5分後。理不尽な追いかけごっこは、まだ続いています。
精神が肉体を凌駕してる、という状態なんだと思う。ミーラ&野次馬は目を血走らせて追跡をしてきていて、スピードが落ちる気配は全くない。
「通行人はともかく、ミーラは運動音痴だったはずだ。すごい執念だな」
「あたしをギャフンと言わせるために、限界を超えたんだね。人間って、まだまだ可能性を秘めてるんだね……」
あはははは。あはははは。
……そんな可能性は、なかった方が有難かったなぁ。
「アルフレッド、平気? 走りっぱなしで、しんどくない?」
「ご存じの通り、俺は元々運動が得意。まだまだ余裕だ」
さらっと片目を瞑ってくれて、そのあと幼馴染は楽しそうに笑う。
「それに今は、『リルを守ってる』って状況だ。今度こそちゃんと約束を守れるから、力がいくらでも湧いてくるんだよ」
「…………。アルフレッド……っ」
俺、リルが好きだ!
だからずっとずっと、一緒にいてくれ!
何があっても、リルを守るからっ!
それはあたし達が14歳の時にしてくれた、告白と約束。
あたしにとっても、生涯忘れられない出来事。
「10か月前は反故にしてしまったけど、あんなことは二度とない。これからは絶対に、最初からリルを守る。だからさ、安心してくれ」
「……うん……っ。ありがとう、アルフレッド……っ」
今は、逃げてる途中だけど。どうしても、したくなったから。彼の胸に顔を埋めて、感謝の気持ちを言葉に換えた。
「こっちこそ、色々ありがとな。王宮での態度とか、滅茶苦茶嬉しかったんだぜ。俺のために無理をしてくれてるって、いっつも感謝した」
「そ、そう……? そう、なの……?」
「ああ、そうだよ。だから――あ、いや、その話は今度でいいや。そろそろ、逃走に集中しますかっ」
そこからは再び会話なしでの疾走が続いて、それか――。更に、5分くらいが過ぎた頃かな。
「はぁ、はぁ、はぁ……。まち……。な……。さい……」
「「「「「ま、まてぇ……。まてぇ……」」」」」
ミーラ&野次馬がやっとバテ始めて、次々と人が脱落するようになってゆく。
テンポよく1人また1人と数が減っていって、やがてその数は1人に。最後の1人は勿論ミーラで、彼女は野次馬とは大違い。『とりあえず叩いておきたい』で参加していたその他大勢とは異なり、確固たる(?)意思の持ち主。だけど、
「きょ、きょうの、ところは……。ひく、わ……っ。けっちゃくは……。つぎの、きかい、に……。おあずけ……。よ………………」
それも、ここまで。
彼女らしい捨て台詞を発したあと、バッタリと転倒。その倒れ方があまりに危険だったので引き返して確認してみると、彼女はうつ伏せになったまま失神していた。
「この様子だと、放っておいても大丈夫そうだな。これで、追っ手は0。自由に動けるようになったし、買い物を再開しようぜ」
安否のチェックを終えると、南と東を順に指差す。
復活したら、ミーラは率先してまた探しそうだもんね。馬車を使って、隣街にあるショップに行こう。
「アルフレッドさん、とても助かりました。どうもありがとうございます」
「どういたしまして、リルさん。んじゃ、いきますか」
いつもの調子でお礼を伝えて、近くにある街・サンテールに移動。そこに着くと早速お目当てのお店に入って、2人でじっくりと、大切なものを吟味する。
その結果、なんと候補の筆頭になるリングを見つけて――。
あたし達は大満足で久しぶりのお買い物を終え、どちらも満面の笑みで家路についたのでした。
一緒にリングを見たり、服をプレゼントしあったり。十分楽しかったけど、まだまだ今日は終わりません。
これからもう一つ、お楽しみがあります……っ!
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