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第11話 どいつもこいつも……! エメリック視点(1)
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「おい、お前達。今の言葉を、もう一度言ってみろ」
リングをプレゼントしてから、6日後。僕は物置の扉を開け放ち、中にいた3人の女――使用人を、激しく睨みつけていた。
「「「で、殿下……っ!? どうしてこちらに……!?」」」
「サーフィナとアフタヌーンティーをするべく歩いていたら、この部屋から聞き捨てならない台詞が漏れてきたんだよ。さあ、もう一度言ってみろ」
「「「………………」」」
「僕の命令が聞こえないのか? 一言一句違わず、繰り返せ」
「…………は、はい。『はぁ……。リル様がいらっしゃった頃が、懐かしい……』」
「『リル様がいらっしゃった時とは、大違いだよね……』
「『うん。リル様がいらっしゃった時は、こうじゃなかったもんね……』」
ようやく3匹は従い、震えながら口を動かした。
「リル様がいらっしゃた時とは、こうじゃなかったもんね――。それはつまり、現状に不満がある。サーフィナに不満がある、ということなんだな?」
「「「……………………」」」
「なんだ? 突然言語が理解できなくなったのか?」
「「「……………………ぁ……。ぁぁ……」」」
「涙目になってへたり込んだら、許してもらえると思っているのか? そいつは大間違いだ」
ゆっくりとヤツらの真ん前まで近づき、更に鋭い目つきで見下ろす。
愛する人の陰口を叩かれて、見逃すはずがないだろう? 徹底的にやってやる。
「王宮からの追放は確定的だが、その前に心身に教育を施してやろう。お前達、覚悟しろよ……?」
「えっ、エメリックでんか……っ。おゆるし、ください……」
「でんか……。ごめ、ん、なさい……っ。ごめん、なさい……。ごめんなさい……」
「はんせい、してます……。はんせいしてます……。はんせいしていますので……。ごじひを……。くださださい……」
「断る。これからお前達は別室で、たっぷりと暴言の仕置きを――」
「お待ちください殿下。少々よろしいでしょうか?」
衛兵を呼ぼうとしていたら、背後から低めの声がかかった。
この声の主は、やせぎすの男性。コイツはこの国の宰相であり父さんの盟友、ザイク・レーロンだ。
「僕はこれからコイツらの教育をして、サーフィナとアフタヌーンティーを楽しまないといけないんだ。手短に済ませてくれよ」
嘆息をして、くるりと身体の向きを変える。こんな時に、一体何の用なんだ?
「……エメリック殿下」
「ああ。なんだ?」
「……彼女達の行為は褒められたものではありませんが、正当性のある致し方のない発言ございます。したがって何卒、私刑の適用はお止めください」
は?
はあ?
この男は……。何を言い出すんだ……?
リングをプレゼントしてから、6日後。僕は物置の扉を開け放ち、中にいた3人の女――使用人を、激しく睨みつけていた。
「「「で、殿下……っ!? どうしてこちらに……!?」」」
「サーフィナとアフタヌーンティーをするべく歩いていたら、この部屋から聞き捨てならない台詞が漏れてきたんだよ。さあ、もう一度言ってみろ」
「「「………………」」」
「僕の命令が聞こえないのか? 一言一句違わず、繰り返せ」
「…………は、はい。『はぁ……。リル様がいらっしゃった頃が、懐かしい……』」
「『リル様がいらっしゃった時とは、大違いだよね……』
「『うん。リル様がいらっしゃった時は、こうじゃなかったもんね……』」
ようやく3匹は従い、震えながら口を動かした。
「リル様がいらっしゃた時とは、こうじゃなかったもんね――。それはつまり、現状に不満がある。サーフィナに不満がある、ということなんだな?」
「「「……………………」」」
「なんだ? 突然言語が理解できなくなったのか?」
「「「……………………ぁ……。ぁぁ……」」」
「涙目になってへたり込んだら、許してもらえると思っているのか? そいつは大間違いだ」
ゆっくりとヤツらの真ん前まで近づき、更に鋭い目つきで見下ろす。
愛する人の陰口を叩かれて、見逃すはずがないだろう? 徹底的にやってやる。
「王宮からの追放は確定的だが、その前に心身に教育を施してやろう。お前達、覚悟しろよ……?」
「えっ、エメリックでんか……っ。おゆるし、ください……」
「でんか……。ごめ、ん、なさい……っ。ごめん、なさい……。ごめんなさい……」
「はんせい、してます……。はんせいしてます……。はんせいしていますので……。ごじひを……。くださださい……」
「断る。これからお前達は別室で、たっぷりと暴言の仕置きを――」
「お待ちください殿下。少々よろしいでしょうか?」
衛兵を呼ぼうとしていたら、背後から低めの声がかかった。
この声の主は、やせぎすの男性。コイツはこの国の宰相であり父さんの盟友、ザイク・レーロンだ。
「僕はこれからコイツらの教育をして、サーフィナとアフタヌーンティーを楽しまないといけないんだ。手短に済ませてくれよ」
嘆息をして、くるりと身体の向きを変える。こんな時に、一体何の用なんだ?
「……エメリック殿下」
「ああ。なんだ?」
「……彼女達の行為は褒められたものではありませんが、正当性のある致し方のない発言ございます。したがって何卒、私刑の適用はお止めください」
は?
はあ?
この男は……。何を言い出すんだ……?
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