婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第11話 どいつもこいつも……! エメリック視点(2)

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「は、ははは。お前も妙なことを言い出すんだな? その発言にある『正当性』とやらはなんなんだ? いますぐ簡潔に速やかに納得できるように言ってみろ」

 こめかみに青筋を立てながら、親指で後ろの三匹をさす。
 言え。さあ言え。さあ言ってみろ!

「実はですね。サーフィナ・コアナ様の言動が、使用人達の間で少々問題となっているのでございます」

 ザイグは折り目正しく一礼をし、説明が始まった。

「部屋の掃除が甘い。もっともっと時間をかけて、いつも新品同様にしなさい。呼んだらもっと早く来なさい。そもそもわたくしの様子を見て、望むことを予想しなさい。など最近の・・・コアナ様は頻繁に、所謂無茶な事を仰られているのですよ」

 そのため3人の気持ちは、分からなくもない。おもわず出てしまった苦労の感情なので、看過して欲しい。
 彼はそう続けて、改めて腰を折り曲げた。

「わたしは先程使用人達の長メリア殿から、この件に関する依頼を受けました。そのため殿下に、やんわりと注意をしていただくよう、お願いに参っている最中だったのでございます」
「………………………」
「エメリック殿下、以上がわたしの言い分でございます。御納得、いただけましたでしょうか?」
「……………………いいや、納得なんでできるものか。サーフィナが、そんな無茶を言うとは思えない」

 到底、信じられない。少しばかり黙考を経て確信し、強くかぶりを振る。

「サーフィナは思い遣りに満ちた、内外共に完璧な女性だ。ソイツらのように低い身分・・・・の者にも、対等に接することのできる人だ」
「…………では……。メイド長の言葉は、なんだったのでしょうか……?」
「そんなことも分からないのか? あれらは、愛の鞭に決まっているだろう」

 ここで僕は、盛大に呆れの息を吐いた。

「大方コイツらを含めた使用人共は、気が緩んでいたんだろう。温厚で優しいサーフィナを見て、『この方なら多少緩くしても問題ない』と思ってんだろう。サーフィナはソコを、しっかりと見抜いていたのだよ」
「殿下……。それは――」
「サーフィナはそんな『たるみ』を引き締めようとして、きつめに言っただけだ。…………いや、そもそもそう言っているのかすら怪しい。コイツらは、サーフィナに――正式には王太子妃じゃない人間に見抜かれ注意されたことが面白くなくて、大袈裟に語っている可能性が高い!」

 いつも傍に居る僕には、分かる。彼女はそんな風なことを、口にはしない。いくら相手のためでも、もっと優しく告げるに決まっている!
 わざわざ『リル様が』と嫌味たらしく比較している点が、心の中にある悪意を証明している!

「ザイグ、お前はもっと『見る目』のある男だと思っていたのだがな。こんな女共に騙されるなんて、まだまだだな」
「殿下、彼女達は事実を口にしております。そのような理由で、メリア殿がこのような話を――」
「貴様はすっかり、コイツらに洗脳・・されているようだな。…………お前に使用人共の処分は、任せられない。僕が直接父さんに伝えて、まとめてクビにするとしよう」

 教育なんて、生ぬるい。ここから放り出して、全員路頭に迷わせてやる。

「お前達の代わりなんて、いくらでもいるんだ。調子に乗るとどうなるのか、たっぷりと思い知らせてやろうじゃないか」

 ニンと口角を吊り上げて、予定を変更。サーフィナが待つバルコニーの前に王の間へと向かい、父さんと母さんに一部始終を伝える。
 そうすれば――

「エメリック。わたしも、ザイグと使用人の言い分を推す」
「私もよ。ザイグ宰相とメリア達が、正しいと思うわ」

 ――予想外。二人も、同じことを言い出したのだった。

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