婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第17話(1)

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「あの日送っていただくお話をしていましたら、王族関係者の方が現れましたね? その際に不審に思い、最近起きた王族関係の情報を詳しく集めてみたのですよ」

 筋肉質な男性――閣下の従者さんの促しによって近づいてきたあの人は、丁寧に挨拶をしてくれた後クスリと微笑んだ。
 そういえばあの時、目がきらりとしていた。なのでそれは納得なんだけど、納得できない部分がいくつもある。

「今起きている問題はこの国の問題で、貴方は他国の貴族ですよね? 他国の、しかも王族絡みの問題を詳しく探るのは難しいのに……。どうやって集めたのですか……?」
「それと、閣下と従者殿の態度も気になる。この状況で迷わず通して、おまけに事情の説明までしていたなんて……。アナタは何者なのですか?」
「ぁっ、そうでしたね。申し遅れました。わたしの名は、ナナユ・ジャンス。隣国レーストの、公爵家の娘なのです」

 公爵家!? 品があるとは思ってたけど……。そんな身分の方だったんだ……。

「そして――。今遅れて参りました彼は、同じく公爵家の嫡男アイズ・ハイオラ。わたしの婚約者です」
「リル・サートル様、アルフレッド・ロザス様、お会いできて光栄です。あの時はナナユを助けていただき、心より感謝いたします」

 茶色の髪を後ろで束ねた中性的な方が現れて、揃って深く深く腰を折り曲げてくださった。
 この方が、アイズさん。理不尽な婚約をさせられたジャンス様を、救おうとしていた人なんだ。

「ロザス様の、仰る通りでした。強引な相手は祖国の第一王子でして、あの日わたしは諦め自殺をしようとしていました。ですがアイズは水面下で戦い続けてくれていて、わたしを救い出してくれたのですよ。他貴族を説得してクーデターを起こし、理不尽な王族から権力を奪い取ってくれたんです」
「「そ、そう……なんです……ね……」」

 あたしとアルフレッドは、おもわずユニゾンする。
 こんなところまで一緒だなんて。あたし達って、縁があるよね……。

「あの時お二人が止めてくださらなければ、ナナはこの世にはいなかった。この手で救い出すことは、できませんでした」
「そして再び彼と一緒の時間を過ごす事は、出来ませんでした。ですのでどうしてもそのお礼を行いたくて、今夜情報をもとにロザス家とサートル家を訪ねたのです」
「ですがお二人は御留守で、サートル様のご両親に事情をお伝えすると行き先を教えてくださいました。そうして現地を訪れてみると近くで騒ぎが起きていた為、様子を窺い今に至ります」

 な、なるほど。そういう過程があったんですね。
 ようやく、全てに対して理解できました――ううん。まだ一つ残ってた。ジャンス様は、『協力』と仰ってた。この方は、何を考えていらっしゃるんだろ……?

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