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第16話(2)
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「この事件には、王太子エメリックも関与している。ソレが明るみにならないよう、そういう痕跡は完璧に消されていた。だからこの件を使って、アイツらをどうこうすることはできないんだよ」
首を傾げていたら、すぐに説明をしてくれた。
この騒動の関係者は、シルフィ・ガーネのみ。客のフリをしていた人達もスタッフ達も、みんなガーネが雇ったことになってるみたい。
「ちがっっ!! ワタシの独断じゃないのぉっ!! 殿下に持ち掛けられてっ、ワタシはここに導いただけなのぉぉっ!!」
「信じてぇっ!! アルフレッド様ぁっ、ワタシは貴方に嘘はつきませんっっ!! 信じてくださいぃっ!!」
「アルフレッド様、怒らないでくださぃぃ……!! ワタシは、貴方を想って動いているんですぅ……っ!! 分かって、くれますよね……!? ねえ、ねぇ……っ。なんとか仰ってくださいぃっ……っっ! ワタシをみてくださいよぉっっ! いつものようにっ、愛に溢れた目線をくださいよぉぉぉっ! アルフレッドさまぁっ!! アルフレッドさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
連行されていっているガーナはあんな風に叫び回っているけど、証拠が一切ないなら効果はない。行動が筒抜けにならないよう治安局員にもアレコレを伝えられないし、なぜか今夜だけは、あたしの監視者がいないみたいだしね。
伸びた紐を辿っていくのは、残念ながら不可能だ。
「……アルフレッド君。シルフィ・ガーネが王宮に入ったのは、間違いないのだったな?」
「ええ、妄想ではなく確実に接触しております。どうやら何かの事情で、エメリックはリルに逆恨みをしているようですね」
殿下の名前が、何度も出てた。思う当たる節はないけどそうなるよね。
「だとすると、失敗を把握すれば次に移る可能性が高いな。今後はリル君のガードを固め、当分はサートル家の他者の出入りを禁止するしかないか」
「そうですね。再来週の後半までは、家で待機してもらうしかありませんね」
あと14日程度で戦力が整い、クーデターを――もちろん血が一滴も流れないものを、実行できるみたい。
みんなはずっと、頑張ってくれてたんだもん。そのくらいは当然、我慢します。
「あたしは10か月間も王宮で生活をさせられて、我慢は特技になってます。閣下、アルフレッドも。心配は不要ですよ」
「確かに、アレに比べたらマシだよな。リル、それさえ超えたら日常が戻って来る。あとちょっとだけ、待っててくれ――へ?」
「? 急にどうしたの? そっちに何かある――へ?」
出入り口の方向に顔を動かしてみると、あたしも即座に同じ反応をしてしまった。
え……? ぇ……?
どうして――
「アオプ湖では、お世話になりました。よろしければ、わたし達にも協力をさせていただけませんか?」
どうして、あの日助けた自殺未遂美少女さんがいるの……!?
首を傾げていたら、すぐに説明をしてくれた。
この騒動の関係者は、シルフィ・ガーネのみ。客のフリをしていた人達もスタッフ達も、みんなガーネが雇ったことになってるみたい。
「ちがっっ!! ワタシの独断じゃないのぉっ!! 殿下に持ち掛けられてっ、ワタシはここに導いただけなのぉぉっ!!」
「信じてぇっ!! アルフレッド様ぁっ、ワタシは貴方に嘘はつきませんっっ!! 信じてくださいぃっ!!」
「アルフレッド様、怒らないでくださぃぃ……!! ワタシは、貴方を想って動いているんですぅ……っ!! 分かって、くれますよね……!? ねえ、ねぇ……っ。なんとか仰ってくださいぃっ……っっ! ワタシをみてくださいよぉっっ! いつものようにっ、愛に溢れた目線をくださいよぉぉぉっ! アルフレッドさまぁっ!! アルフレッドさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
連行されていっているガーナはあんな風に叫び回っているけど、証拠が一切ないなら効果はない。行動が筒抜けにならないよう治安局員にもアレコレを伝えられないし、なぜか今夜だけは、あたしの監視者がいないみたいだしね。
伸びた紐を辿っていくのは、残念ながら不可能だ。
「……アルフレッド君。シルフィ・ガーネが王宮に入ったのは、間違いないのだったな?」
「ええ、妄想ではなく確実に接触しております。どうやら何かの事情で、エメリックはリルに逆恨みをしているようですね」
殿下の名前が、何度も出てた。思う当たる節はないけどそうなるよね。
「だとすると、失敗を把握すれば次に移る可能性が高いな。今後はリル君のガードを固め、当分はサートル家の他者の出入りを禁止するしかないか」
「そうですね。再来週の後半までは、家で待機してもらうしかありませんね」
あと14日程度で戦力が整い、クーデターを――もちろん血が一滴も流れないものを、実行できるみたい。
みんなはずっと、頑張ってくれてたんだもん。そのくらいは当然、我慢します。
「あたしは10か月間も王宮で生活をさせられて、我慢は特技になってます。閣下、アルフレッドも。心配は不要ですよ」
「確かに、アレに比べたらマシだよな。リル、それさえ超えたら日常が戻って来る。あとちょっとだけ、待っててくれ――へ?」
「? 急にどうしたの? そっちに何かある――へ?」
出入り口の方向に顔を動かしてみると、あたしも即座に同じ反応をしてしまった。
え……? ぇ……?
どうして――
「アオプ湖では、お世話になりました。よろしければ、わたし達にも協力をさせていただけませんか?」
どうして、あの日助けた自殺未遂美少女さんがいるの……!?
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