3 / 22
第1話 謎の妹ルナ イナヤ視点(2)
「時折『用事がある』と言っていたのも、嘘でした。ルナ様とお話ししたいがために吐いたものでございます。申し訳ございませんでした……」
「そ、そちらは構いません。それよりもマティウス様、もう一回確認させてください。ルナという人間は食事会を行った時から存在していて、今も貴方様のお隣で立っているのですね?」
「? は、はい。あの時一緒に食事をさせていただきましたし、ほら。ここにいらっしゃるじゃないですか」
居る、そうです。しかもそのルナという謎の妹は、『お姉様もお父様もお母様も、どうしてしまったのでしょうか……?』と首を傾げているみたいでした……。
「い、いるって……。ば、バカな……。ありえん! この通りだ! どこにいるというのです!?」
お父様が『ルナ』がいる場所へと歩いてみましたが、誰にもぶつかることなく素通りしました。
そちらは、居ない、の証左になります。
「……………………なんてことだ……」
「「「?」」」
「いま…………ルナの身体を、すり抜けました……。僕は、ほらこの通り! ちゃんと触れられているのにっ! 卿のお身体は何もないかのように通り抜けました!」
戸惑っているのはマティウス様も同じだったようでして、顔を真っ青にしながら『ルナ』が居るという場所とお父様を何度も見比べました。
「……マティウスさん、わたくしも触れられませんわ」
「わたしも、です。触れることも、見ることもできません」
わたし達家族、だけではありませんでした。マティウス様の提案でウチの人間5人に来てもらいましたが、全員同じ結果となりました。
「……ルナ様に、触れることも見ることもできないだなんて……。どうなっているのですか……!?」
「…………あなた……。どうしましょうか……?」
「…………このまま続けていても、進展はしないだろう……。今日のところはおかえりいただこう」
今回の表情や声調、前回前々回の目撃情報を鑑みると、マティウス様が嘘を吐いているとは思えません。しかしながら、ルナという三人目の子どもが存在しているはずがありません。
このままでは平行線を辿るだけで、どちらも証明できません。ですので一旦間を置き、両家の都合がつく最短日である翌々日に――今度はマティウス様のご家族も御一緒の上で、改めて意見を交わし合うことになりました。
「……裏切っていた僕に、こんな発言をする資格はないのでしょうが……。ひどく不安がっております。ルナ様をよろしくお願い致します」
「「「は、はぁ……」」」
そうお返事するしか、ありませんでした。わたし達は何度も何度も『ルナ』を案じるマティウス様をお見送りして、こうして不思議に満ちた時間は一旦終わりとなったのでした。
((…………妹、ルナ……。なんなのでしょうか……))
「そ、そちらは構いません。それよりもマティウス様、もう一回確認させてください。ルナという人間は食事会を行った時から存在していて、今も貴方様のお隣で立っているのですね?」
「? は、はい。あの時一緒に食事をさせていただきましたし、ほら。ここにいらっしゃるじゃないですか」
居る、そうです。しかもそのルナという謎の妹は、『お姉様もお父様もお母様も、どうしてしまったのでしょうか……?』と首を傾げているみたいでした……。
「い、いるって……。ば、バカな……。ありえん! この通りだ! どこにいるというのです!?」
お父様が『ルナ』がいる場所へと歩いてみましたが、誰にもぶつかることなく素通りしました。
そちらは、居ない、の証左になります。
「……………………なんてことだ……」
「「「?」」」
「いま…………ルナの身体を、すり抜けました……。僕は、ほらこの通り! ちゃんと触れられているのにっ! 卿のお身体は何もないかのように通り抜けました!」
戸惑っているのはマティウス様も同じだったようでして、顔を真っ青にしながら『ルナ』が居るという場所とお父様を何度も見比べました。
「……マティウスさん、わたくしも触れられませんわ」
「わたしも、です。触れることも、見ることもできません」
わたし達家族、だけではありませんでした。マティウス様の提案でウチの人間5人に来てもらいましたが、全員同じ結果となりました。
「……ルナ様に、触れることも見ることもできないだなんて……。どうなっているのですか……!?」
「…………あなた……。どうしましょうか……?」
「…………このまま続けていても、進展はしないだろう……。今日のところはおかえりいただこう」
今回の表情や声調、前回前々回の目撃情報を鑑みると、マティウス様が嘘を吐いているとは思えません。しかしながら、ルナという三人目の子どもが存在しているはずがありません。
このままでは平行線を辿るだけで、どちらも証明できません。ですので一旦間を置き、両家の都合がつく最短日である翌々日に――今度はマティウス様のご家族も御一緒の上で、改めて意見を交わし合うことになりました。
「……裏切っていた僕に、こんな発言をする資格はないのでしょうが……。ひどく不安がっております。ルナ様をよろしくお願い致します」
「「「は、はぁ……」」」
そうお返事するしか、ありませんでした。わたし達は何度も何度も『ルナ』を案じるマティウス様をお見送りして、こうして不思議に満ちた時間は一旦終わりとなったのでした。
((…………妹、ルナ……。なんなのでしょうか……))
あなたにおすすめの小説
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!
柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。
サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。
サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。
(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。
青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。
アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。
年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。
「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」
そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。
ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。
異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。