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第4話 調査 ガブリエル視点(1)
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「ガブリエル、ここに居たか。お前が言っていた件の再確認がたった今終わった。やはりそういった可能性はなかったぞ」
あれから3日後の14時過ぎ。バルコニーで風に当たりながら思案をしていたら、父上がいらっしゃった。
――何者かに脅迫されて演じている?――。
ルナの件を聞いた際に父上は真っ先にその線を疑い、兄上の周辺を徹底的に調べ上げた。その際に見落としがあったのかもと思い依頼をしていたものの、結果は同じだった。
「わざわざありがとうございました。となれば、霊ですか」
「マティウスが演技をしているとは思えんしな。未だに信じられんが、信じるしかないだろう」
兄上の言動は鬼気迫るものがあり、寝起きのアレがなければ私もそう判断していた。
あの行動と発言は、恐らく練習の成果によるものだろう。そこまでして周囲に憑依と認識させたい理由とは……?
((婚約を白紙にしたい、が候補としては一番か? しかし……))
この婚約が白紙になると、次男である私が婚約者にスライドする――次の当主は私になる。内面も外面も美しいと、再三イナヤ様を絶賛されていた。
兄上はよくも悪くも地位や名声を重要視する人だし、婚約者を気に入ってもいた。そんな人が婚約を解消したがるとは思えない。
((なら、理由は別……? どんな理由があるというんだ……?))
父上が去るとすぐ、再び思案を始める。
僅かでも可能性があるものを手当たり次第に浮かべ、客観的に考えて判断していく。引き続き動機を探っていき――そんな時間が、1時間半ほど続いた時だった。
「ガブリエル様、お茶でもいかがですか?」(情報の収集が完了しました)
私が内密に調査を依頼していた者が、報告書を届けてくれた。
「ありがとう。いただくよ」(ご苦労様、助かる)
「ではお淹れしますね」(こちらに、マティウス坊ちゃまの行動をまとめております)
何かがあったから、ルナという架空の存在を使って騒ぎ始めたはず。もしかすると、あちらの使用人の方々に目撃させたのも計算なのかもしれない。だとしたら、初めてルナに関する行動が目撃された日から1~2か月ほど前までの行動を調べたら、手掛かりが見つかるかもしれない。
そんな思いで収集を依頼していて、ソレがまとめられたメモ5枚を手に取った。
((一人での会話が目撃された日の…………一週間前…………二週間前…………三週間前には、特になにもない。四週間前には………………ん?))
順番に目を通していたら、気になる情報が3つあった。
これは――
あれから3日後の14時過ぎ。バルコニーで風に当たりながら思案をしていたら、父上がいらっしゃった。
――何者かに脅迫されて演じている?――。
ルナの件を聞いた際に父上は真っ先にその線を疑い、兄上の周辺を徹底的に調べ上げた。その際に見落としがあったのかもと思い依頼をしていたものの、結果は同じだった。
「わざわざありがとうございました。となれば、霊ですか」
「マティウスが演技をしているとは思えんしな。未だに信じられんが、信じるしかないだろう」
兄上の言動は鬼気迫るものがあり、寝起きのアレがなければ私もそう判断していた。
あの行動と発言は、恐らく練習の成果によるものだろう。そこまでして周囲に憑依と認識させたい理由とは……?
((婚約を白紙にしたい、が候補としては一番か? しかし……))
この婚約が白紙になると、次男である私が婚約者にスライドする――次の当主は私になる。内面も外面も美しいと、再三イナヤ様を絶賛されていた。
兄上はよくも悪くも地位や名声を重要視する人だし、婚約者を気に入ってもいた。そんな人が婚約を解消したがるとは思えない。
((なら、理由は別……? どんな理由があるというんだ……?))
父上が去るとすぐ、再び思案を始める。
僅かでも可能性があるものを手当たり次第に浮かべ、客観的に考えて判断していく。引き続き動機を探っていき――そんな時間が、1時間半ほど続いた時だった。
「ガブリエル様、お茶でもいかがですか?」(情報の収集が完了しました)
私が内密に調査を依頼していた者が、報告書を届けてくれた。
「ありがとう。いただくよ」(ご苦労様、助かる)
「ではお淹れしますね」(こちらに、マティウス坊ちゃまの行動をまとめております)
何かがあったから、ルナという架空の存在を使って騒ぎ始めたはず。もしかすると、あちらの使用人の方々に目撃させたのも計算なのかもしれない。だとしたら、初めてルナに関する行動が目撃された日から1~2か月ほど前までの行動を調べたら、手掛かりが見つかるかもしれない。
そんな思いで収集を依頼していて、ソレがまとめられたメモ5枚を手に取った。
((一人での会話が目撃された日の…………一週間前…………二週間前…………三週間前には、特になにもない。四週間前には………………ん?))
順番に目を通していたら、気になる情報が3つあった。
これは――
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