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「アンリエット……。なんてことをしてくれたんだ……」
「最悪、だわ……。悪夢よ……」
どうにか家に戻った私を待っていたのは、両親による叱責でした。
一部始終を説明すると、何度も何度も怒鳴られ……。『時間を戻したい』と、大きくため息をつかれました。
「お父様、お母様……。ごめんなさい……」
「っっ、謝って済む問題じゃない!! お前のせいで王族との繋がりが消えた上に、クラメール家は潰されてしまうんだぞ!!」
「え……? それは、どういう……?」
貴族の家が潰される――称号の剥奪などは、その家に籍を置く者が大罪を犯した場合のみ行われます。私は先ほど追い出されてしまいましたが、大罪を犯してはいませんよね……?
「……アンリエット……。よく聞け……」
「王族の方々は――特に殿下は、敵視した存在に容赦しないの。あの手この手で攻撃を仕掛けてきて、顰蹙を買った家は必ず没落しているのよ……!!」
かなら、ず……? そんな話は、初耳です……。
「ほ、本当、なのですか? なにかの間違いでは、ないのですか?」
「……全て、事実よ。自分の娘が王族主催のパーティーに参加するから、各家は変に委縮しないよう秘密にしているだけ……」
「王族は持っているあらゆる力を使い、平民には決して認知されないように、しかし確実に相手を蝕み滅ぼす……。オレが知る限り過去に目をつけられた3家は、1つ残らず冤罪などによって全員が路頭に迷い、その後消息不明となっているんだ……っ」
そ、そんな……。国王様やジルベール様が、そんなことをしていただなんて……。
お父様とお母様がこのような反応をするのは、当たり前です……。私は自分だけではなく、家族を巻き込んでしまっていたのですね……。
「アンリエット……っ。恩を仇で返してくれたわね……!」
「ぁ、おかあ、さま……。わたし、は……」
なんと返事をすればいいか、分かりません。頭の中が、ぐちゃぐちゃになります。
あの時、どうすればよかったのでしょうか……? お城でどう動くことが、正解だったのでしょうか……?
「髪を掴まれても大人しくしていれば、殿下もそこまでお怒りにはならなかったのに……っ。孤児院育ちなのだから、荒っぽいのは慣れているでしょうに……!」
「お前を養女にしたのは、間違っていた……っ。身寄りのないお前を拾い、本当の子供のように育ててやったのに……っっ。それが、こんな形で――」
「はいはい、分かった分かった。怒鳴るのはそこまで。恩着せがましい台詞は聞き飽きたっての」
2階にある扉がガチャリと開き、金色の髪を肩まで伸ばした美少年が欠伸をしながら降りてきました。
この人は、表向きは双子となっている私の兄――同い年の義理の兄、シャルルお兄様。いつもどこかでに出掛けているため家内外で『放蕩息子』と言われていますが、私にとっては『大好きなお兄様』。昔から優しくしてくれて、傍にいると不思議と楽しい気持ちになる人なんです。
「最悪、だわ……。悪夢よ……」
どうにか家に戻った私を待っていたのは、両親による叱責でした。
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かなら、ず……? そんな話は、初耳です……。
「ほ、本当、なのですか? なにかの間違いでは、ないのですか?」
「……全て、事実よ。自分の娘が王族主催のパーティーに参加するから、各家は変に委縮しないよう秘密にしているだけ……」
「王族は持っているあらゆる力を使い、平民には決して認知されないように、しかし確実に相手を蝕み滅ぼす……。オレが知る限り過去に目をつけられた3家は、1つ残らず冤罪などによって全員が路頭に迷い、その後消息不明となっているんだ……っ」
そ、そんな……。国王様やジルベール様が、そんなことをしていただなんて……。
お父様とお母様がこのような反応をするのは、当たり前です……。私は自分だけではなく、家族を巻き込んでしまっていたのですね……。
「アンリエット……っ。恩を仇で返してくれたわね……!」
「ぁ、おかあ、さま……。わたし、は……」
なんと返事をすればいいか、分かりません。頭の中が、ぐちゃぐちゃになります。
あの時、どうすればよかったのでしょうか……? お城でどう動くことが、正解だったのでしょうか……?
「髪を掴まれても大人しくしていれば、殿下もそこまでお怒りにはならなかったのに……っ。孤児院育ちなのだから、荒っぽいのは慣れているでしょうに……!」
「お前を養女にしたのは、間違っていた……っ。身寄りのないお前を拾い、本当の子供のように育ててやったのに……っっ。それが、こんな形で――」
「はいはい、分かった分かった。怒鳴るのはそこまで。恩着せがましい台詞は聞き飽きたっての」
2階にある扉がガチャリと開き、金色の髪を肩まで伸ばした美少年が欠伸をしながら降りてきました。
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