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第6話 変化 俯瞰視点(1)
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「これまで我々は、『期待の新人』と呼ばれるほどによくやってきた。数値で表すと、120パーセント――否、それ以上に懸命に働いてきたのだ。少しくらい手を抜いても罰は当たらん、そうは思わないか?」
三人がホライザで働き始めて、二週間後の夜。部屋に戻ったピエールは、妻と娘へと視線をやりました。
「120パーセント以上が100パーセントになるだけ。与えられた仕事はちゃんと行っているのだ。なにも問題はないだろう?」
「わたくしも、同じことを考えていたわ。三人とも頑張りすぎだと思っていたのよ」
「仕事をやらないわけではありません。本来不必要だったプラスアルファをなくすだけなんですもの。なにも問題はありませんわ」
三食付きの屋根のある部屋、衣類、生活用品、などなど。当時『天からのお恵み』のように思っていたもの達は、享受するうちに『当たり前』となってしまっていました。
それによって感謝の気持ちも薄らいでしまっており、心の中にあった恩返しの感情も減ってしまったのです。
「お前達ならそう言ってくれると思っていた。……一人だけ下げたら浮いてしまうが、三人全員でやればそうは映らん。明日からは100でいくとしよう」
「ええ、あなた」「ええ、お父様」
そのためあっさりと決まってしまい、翌日から手抜きが始まってしまうのですが――。変化は、まだ終わりませんでした。
「今まで始業の15分前に現場に行っていた。早すぎだ」
「他の人たちも、もっと遅く来てるんだもの。ギリギリまで寝ていましょう」
「5分前で充分ですわね」
「ねえお父様、最近直前に来る人が多い。わたくし達も会わせましょうよ」
「では、2分――1分前に着くようにするか。朝の睡眠は1分でも欲しい」
「……オズアめ……! なにが上達しているだ……!」
「あの男……! 口の利き方を知らないわ……!」
「大した血が流れていないくせに、先に職場にいるからって調子に乗って……! 生意気ですわ……!」
「もうっ、また手がガサガサになったじゃないの……! なんでこのわたくしが洗濯をしないといけないのよ……!」
「同感ですわ……!」
「お前達なんてまだ良い方だ。こっちなんて、うっかり便器に触れてしまったんだぞ……! あんなとこ、生まれも育ちも平民のヤツにやらしておけばいいんだ……!!」
ますます気を抜くようになったり、慕っていた先輩を陰で貶すようになったり、仕事に文句を言うようになったり。時間に比例して更に三人の中から『感謝の気持ち』や『やる気』が消えていき、あらゆる面で初期の面影が消えてしまったのでした。
そのため、三人が仕事を始めて一か月が経った頃――
三人がホライザで働き始めて、二週間後の夜。部屋に戻ったピエールは、妻と娘へと視線をやりました。
「120パーセント以上が100パーセントになるだけ。与えられた仕事はちゃんと行っているのだ。なにも問題はないだろう?」
「わたくしも、同じことを考えていたわ。三人とも頑張りすぎだと思っていたのよ」
「仕事をやらないわけではありません。本来不必要だったプラスアルファをなくすだけなんですもの。なにも問題はありませんわ」
三食付きの屋根のある部屋、衣類、生活用品、などなど。当時『天からのお恵み』のように思っていたもの達は、享受するうちに『当たり前』となってしまっていました。
それによって感謝の気持ちも薄らいでしまっており、心の中にあった恩返しの感情も減ってしまったのです。
「お前達ならそう言ってくれると思っていた。……一人だけ下げたら浮いてしまうが、三人全員でやればそうは映らん。明日からは100でいくとしよう」
「ええ、あなた」「ええ、お父様」
そのためあっさりと決まってしまい、翌日から手抜きが始まってしまうのですが――。変化は、まだ終わりませんでした。
「今まで始業の15分前に現場に行っていた。早すぎだ」
「他の人たちも、もっと遅く来てるんだもの。ギリギリまで寝ていましょう」
「5分前で充分ですわね」
「ねえお父様、最近直前に来る人が多い。わたくし達も会わせましょうよ」
「では、2分――1分前に着くようにするか。朝の睡眠は1分でも欲しい」
「……オズアめ……! なにが上達しているだ……!」
「あの男……! 口の利き方を知らないわ……!」
「大した血が流れていないくせに、先に職場にいるからって調子に乗って……! 生意気ですわ……!」
「もうっ、また手がガサガサになったじゃないの……! なんでこのわたくしが洗濯をしないといけないのよ……!」
「同感ですわ……!」
「お前達なんてまだ良い方だ。こっちなんて、うっかり便器に触れてしまったんだぞ……! あんなとこ、生まれも育ちも平民のヤツにやらしておけばいいんだ……!!」
ますます気を抜くようになったり、慕っていた先輩を陰で貶すようになったり、仕事に文句を言うようになったり。時間に比例して更に三人の中から『感謝の気持ち』や『やる気』が消えていき、あらゆる面で初期の面影が消えてしまったのでした。
そのため、三人が仕事を始めて一か月が経った頃――
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