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第7話 評価 レアナ視点
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「旦那、姉(あね)さん。新人3人のアレをお持ちしましたっスよ」
かつての家族がホライザに来てから、一か月が経った日の夜。ホライザ内にある副支配人室――ヴァランタンくんが執務を行う部屋を訪れたオズアさんは、三人の評価をまとめた書類を持ってきてくれました。
新人についた担当者は担当を始めてから一か月後に、自分の目から見た印象を言語化して二人に渡すようになっているんです。
「オズアさん、お疲れ様です」
「お疲れ様。……なるほど。右肩下がりなのか」
「最初はよかったんスけどね、恵まれた環境に慣れちまったんでしょうねぇ。日に日に仕事に対する姿勢が×(バッテン)になっていって、今では手を抜くことばっかり考えてますよ」
〇〇のタイミングならオズアや他の従業員に気付かれずに休める――。〇〇の時ならちゃんとしなくてもオズアや他の従業員に見つからない――。
三人はそういった努力ばかりするようになってしまい、パフォーマンスも低下。かつて120パーセントだったものは100パーセントになり、今では90パーセント以下となっていました。
「……ちゃんと働いているように見える、けれど……。実際は他のみんなよりも、働いていないんですね」
「うっス。しかも、それだけならまだいいんスけどねぇ」
オズアさんは大きなため息を吐き、肩を竦めました。
「あの人達って内心自分達以外の人間を徹底的に見下してて、逆に自分達は雲の上の存在だと思ってるんすよ。だから教わることも注意されることも不愉快でたまらなくて、ちょっとでも発散したかったんでしょうねぇ。オレや注意してくれた人に唾入りのコーヒーを渡そうとしてました。ありゃあ集団行動ができるタイプじゃないし、昔のオレと違うベクトルで厄介。平然と恩を仇で返していくタイプっスよ」
「……やっぱり、そうなりましたか」
「? 姉さん? やっぱりって、あの三人を御存じだったんスか?」
「いえ、そうではないんです。初めてお会いした時、ちょっぴり嫌な感じがしたんですよ」
あの三人が元家族――それも理不尽な目に遭わせた人達だということは、ヴァランタンくんとお義父さんお義母さん以外には伝えてしません。もしそうしてしまうと絶対に、みんな怒ってくれて追い出そうとしてくれますから。
「は~、そういうコトっスか。あの三人の態度は今後も改善するとは思えなくって、オレ的には不合格っスねぇ」
「オーケー、ありがとう。ここからは僕達が引き受けるよ」
「一か月間、お疲れ様でした」
「なんのなんのっス。旦那、姉さん、ホライザには、一生かかっても返せない御恩がありますからねぇ。どんどん使ってくださいっスよ!」
オズアさんは深々とお辞儀をしてくれて、「待ってますっスよ~!」という言葉を残して部屋を出ていかれました。
「……不合格、か。ということは彼らの場合は、明日から『パターンE』に移行だね」
「そう、なってしまいますよね。ここから、どっちに転ぶのでしょうか……?」
かつての家族がホライザに来てから、一か月が経った日の夜。ホライザ内にある副支配人室――ヴァランタンくんが執務を行う部屋を訪れたオズアさんは、三人の評価をまとめた書類を持ってきてくれました。
新人についた担当者は担当を始めてから一か月後に、自分の目から見た印象を言語化して二人に渡すようになっているんです。
「オズアさん、お疲れ様です」
「お疲れ様。……なるほど。右肩下がりなのか」
「最初はよかったんスけどね、恵まれた環境に慣れちまったんでしょうねぇ。日に日に仕事に対する姿勢が×(バッテン)になっていって、今では手を抜くことばっかり考えてますよ」
〇〇のタイミングならオズアや他の従業員に気付かれずに休める――。〇〇の時ならちゃんとしなくてもオズアや他の従業員に見つからない――。
三人はそういった努力ばかりするようになってしまい、パフォーマンスも低下。かつて120パーセントだったものは100パーセントになり、今では90パーセント以下となっていました。
「……ちゃんと働いているように見える、けれど……。実際は他のみんなよりも、働いていないんですね」
「うっス。しかも、それだけならまだいいんスけどねぇ」
オズアさんは大きなため息を吐き、肩を竦めました。
「あの人達って内心自分達以外の人間を徹底的に見下してて、逆に自分達は雲の上の存在だと思ってるんすよ。だから教わることも注意されることも不愉快でたまらなくて、ちょっとでも発散したかったんでしょうねぇ。オレや注意してくれた人に唾入りのコーヒーを渡そうとしてました。ありゃあ集団行動ができるタイプじゃないし、昔のオレと違うベクトルで厄介。平然と恩を仇で返していくタイプっスよ」
「……やっぱり、そうなりましたか」
「? 姉さん? やっぱりって、あの三人を御存じだったんスか?」
「いえ、そうではないんです。初めてお会いした時、ちょっぴり嫌な感じがしたんですよ」
あの三人が元家族――それも理不尽な目に遭わせた人達だということは、ヴァランタンくんとお義父さんお義母さん以外には伝えてしません。もしそうしてしまうと絶対に、みんな怒ってくれて追い出そうとしてくれますから。
「は~、そういうコトっスか。あの三人の態度は今後も改善するとは思えなくって、オレ的には不合格っスねぇ」
「オーケー、ありがとう。ここからは僕達が引き受けるよ」
「一か月間、お疲れ様でした」
「なんのなんのっス。旦那、姉さん、ホライザには、一生かかっても返せない御恩がありますからねぇ。どんどん使ってくださいっスよ!」
オズアさんは深々とお辞儀をしてくれて、「待ってますっスよ~!」という言葉を残して部屋を出ていかれました。
「……不合格、か。ということは彼らの場合は、明日から『パターンE』に移行だね」
「そう、なってしまいますよね。ここから、どっちに転ぶのでしょうか……?」
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