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第12話 奥の手 俯瞰視点(2)
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「あっ、ありがとうございます!!」
「「ありがとうございます!!!」」
「ただし、条件があります」
感涙を流し始めた三人に対して、右の人差し指が立てられました。
「見逃すのは、先ほどのお話が真実だった場合。嘘があると判明したら、そのお話は立ち消えます」
「ご安心を! 間違いなくあの金額は超えておりますし、間違いなく今後更に価値は上昇致します!」
ピエールは貴金属に造詣が深く、流れを読む力もあると自負していました。胸を張って即答し、ミサとポーリーヌも頷きました。
「……なるほど。では、お話を進めましょう。立場が立場だけに、貴方がたを出国させるわけにはいきません。その方の所在と、預けたものの受け取りに必要な暗号などありましたらお教えください」
「承知いたしました! 名前はモーゲンと申しまして――」
住んでいる場所、預けたものの数、代理の場合受け取りに必要な合言葉を含めた計3つの合言葉。それらを伝え、ヴァランタンは全てを手帳に記しました。
「…………この場所なら、僕が出られますね。夜が明けたら馬車を走らせ受け取ってきますので、見逃し云々はその際にさせていただきます」
「はっ、はい!」
「楽しみにしております!」
「お気をつけて……!!」
ヴァランタンは三人を残したまま部屋を去り、彼が上手い具合に説明したのでしょう。さっき部屋に入ってきた男達が軽食や飲み物を持って来て、それらを食べたり飲んだりしながら待つこと2日。ヴァランタンが戻ってきました。
「お帰りなさいませ! 無事回収できたようでございますね!」
「ええ、この通り。すべて受け取れましたよ」
指輪2つ、ネックレス2つ、イヤリング2つ。どれもがきちんと手入れをされ、綺麗な状態で保管されていました。
「安心いたしました! で、ではヴァランタン様!」
「見逃しの件の続き、でしたね?」
「は、はい!」
「そちらですが、そのお約束は立ち消えとなりました」
「はいっ! ありがとうござ――……。え……?」
ピエールもミサもポーリーヌも、たまらずポカンと口を開けました。
「ど、どうやら酷い聞き間違いをしてしまったようですな。申し訳ございません。もう一度お願い致します」
「分かりました。そちらですが、そのお約束は立ち消えとなりました」
「「「…………」」」
酷い聞き間違いでは、ない。ヴァランタンは、ピエール達が最初に認識した通りの言葉を口にしていました。
「う、裏切ったな!! 騙したな!!」
「嘘、だったなんて……!!」
「信じていたのに……! 悪魔……!」
「嫌ですね皆さん、僕は嘘を吐いていませんよ。取り決めに従っての行動で――」
「だから嘘を吐くな!! 渡せば我々を見逃してくれる約束だっただろうが!! こちらはちゃんと約束を守ったのに――」
「守った? いいえ、貴方がたは守っていない。嘘をついていました」
遮った声を遮り返し、右と左に首を振りました。
「うそ、だと……!? ふざけるな!! すべて回収できているじゃないか!!」
「そうですね。だからソコを指摘してはいませんよ」
ヴァランタンが指しているのは、その部分ではなく――
「追放された長女。その点に関して、指摘を行っているのですよ」
「「ありがとうございます!!!」」
「ただし、条件があります」
感涙を流し始めた三人に対して、右の人差し指が立てられました。
「見逃すのは、先ほどのお話が真実だった場合。嘘があると判明したら、そのお話は立ち消えます」
「ご安心を! 間違いなくあの金額は超えておりますし、間違いなく今後更に価値は上昇致します!」
ピエールは貴金属に造詣が深く、流れを読む力もあると自負していました。胸を張って即答し、ミサとポーリーヌも頷きました。
「……なるほど。では、お話を進めましょう。立場が立場だけに、貴方がたを出国させるわけにはいきません。その方の所在と、預けたものの受け取りに必要な暗号などありましたらお教えください」
「承知いたしました! 名前はモーゲンと申しまして――」
住んでいる場所、預けたものの数、代理の場合受け取りに必要な合言葉を含めた計3つの合言葉。それらを伝え、ヴァランタンは全てを手帳に記しました。
「…………この場所なら、僕が出られますね。夜が明けたら馬車を走らせ受け取ってきますので、見逃し云々はその際にさせていただきます」
「はっ、はい!」
「楽しみにしております!」
「お気をつけて……!!」
ヴァランタンは三人を残したまま部屋を去り、彼が上手い具合に説明したのでしょう。さっき部屋に入ってきた男達が軽食や飲み物を持って来て、それらを食べたり飲んだりしながら待つこと2日。ヴァランタンが戻ってきました。
「お帰りなさいませ! 無事回収できたようでございますね!」
「ええ、この通り。すべて受け取れましたよ」
指輪2つ、ネックレス2つ、イヤリング2つ。どれもがきちんと手入れをされ、綺麗な状態で保管されていました。
「安心いたしました! で、ではヴァランタン様!」
「見逃しの件の続き、でしたね?」
「は、はい!」
「そちらですが、そのお約束は立ち消えとなりました」
「はいっ! ありがとうござ――……。え……?」
ピエールもミサもポーリーヌも、たまらずポカンと口を開けました。
「ど、どうやら酷い聞き間違いをしてしまったようですな。申し訳ございません。もう一度お願い致します」
「分かりました。そちらですが、そのお約束は立ち消えとなりました」
「「「…………」」」
酷い聞き間違いでは、ない。ヴァランタンは、ピエール達が最初に認識した通りの言葉を口にしていました。
「う、裏切ったな!! 騙したな!!」
「嘘、だったなんて……!!」
「信じていたのに……! 悪魔……!」
「嫌ですね皆さん、僕は嘘を吐いていませんよ。取り決めに従っての行動で――」
「だから嘘を吐くな!! 渡せば我々を見逃してくれる約束だっただろうが!! こちらはちゃんと約束を守ったのに――」
「守った? いいえ、貴方がたは守っていない。嘘をついていました」
遮った声を遮り返し、右と左に首を振りました。
「うそ、だと……!? ふざけるな!! すべて回収できているじゃないか!!」
「そうですね。だからソコを指摘してはいませんよ」
ヴァランタンが指しているのは、その部分ではなく――
「追放された長女。その点に関して、指摘を行っているのですよ」
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