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エピローグ レアナ視点(1)
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「すでにご存じだと思いますが、紹介させてもらいますね。こちらの方が、ヴァランタンくん。わたしの命の恩人で、旦那さんです」
お父様達――かつて家族だった人達がいなくなったあと。わたしは形見のネックレスを両手でそっと握り、ネックレスへと喋りかけました。
『わたくしはもうすぐ、貴方の傍には、いられなくなっちゃう、けど……。このネックレスを通して…………お空の上から、見守っているわ……』
だってあの時お母様は、そう仰りましたから。大切な人――そして離ればなれになってしまったあとのお話も、しないといけませんよね。
「お父様があんなことをして、わたし達は離れてしまいました。あのあとわたしは隣の国へと追い出されてしまって、助けを求めたものの相手にされなくって……。路頭に迷っているところを、助けていただいたんです」
「貴方の娘さんを偶然、発見しました」
「ヴァランタンくんはとても親切にしてくれて、おかげでわたしは明るく楽しく第二の人生を過ごせるようになりました。ホライザでの仕事は慣れないことばかりで大変でしたが、一度も苦しいと感じたことはありませんでしたよ」
ヴァランタンくんが優しく丁寧に教えてくれましたし、お義父さんもお義母さんもスタッフのみんなも良い人達ばかりで。いつも、幸せ者だと感じていました。
「だから、なのでしょうね。あんなことがあったはずなのに心に余裕が生まれるようになって。恋をするんです」
「うん、そうだね。僕達は、恋をしました」
「真っすぐで思いやりがあって、悪いことは決して許さないし見逃さない。そんなヴァランタンくんに次第に惹かれるようになり、人間として好きになり、やがてその好きは異性としての好きに変わりました」
「僕も同じです。自分が辛い思いをしたから、他に人達にはそんな思いをして欲しくない――。レアナちゃんはそういう人で、一緒にいるとこちらまで柔らかく優しい気持ちになってくるんですよ。ですので同じく人間としての好きから異性としての好きに変わり、告白をさせていただきました」
今でも、はっきりと覚えています。
満月の日の夜。この国で『生涯幸せにいられる』とされている満月の光が降り注ぐ中、片膝をついて手を差し出してくれました。
「そうしてわたし達は恋人になって、婚約をして、1年前に夫婦になって。大好きで大切な人と、幸せな時間を過ごしていました」
「レアナちゃんは父がすでに次期副支配人に指名しているくらい仕事ができて、内外の人望もすごいんですよ。人柄によってスタッフみんなに慕われていますし、レアナちゃんがいるからいらっしゃるお客様もいるんですよ」
「ヴァランタンくんのような素敵な人がいるから、素敵な人が集まるんですよ。……お母様。色々ありましたが、わたしはその出来事に感謝をしたくなるくらい、今の人生が掛け替えのないものとなっています」
とお伝えして締めるつもりでしたが、やっぱり足りなくって、その後もヴァランタンくんと一緒に色々とお話しをしてしまいました。
なので気が付くと就寝時間になっていて、次の日も早くからお仕事がありますので、ベッドに入ることにしました。
「おやすみなさい、お母様」
毎日行っていたことですが、今日はいつもとは少し違う。胸元にあるネックレスへと微笑みかけ、わたしは穏やかに目を閉じたのでした。
そうしてわたしは、ゆっくりと意識を手放していって――………………それから、どのくらい時間が経ったのでしょうか? 眠りの世界に落ちたわたしの耳に、不意に聞き覚えのある声が聞こえてきたのでした。
「フィエナ――ううん、レアナと呼んだ方がいいわね。レアナ、よかったわね」
お父様達――かつて家族だった人達がいなくなったあと。わたしは形見のネックレスを両手でそっと握り、ネックレスへと喋りかけました。
『わたくしはもうすぐ、貴方の傍には、いられなくなっちゃう、けど……。このネックレスを通して…………お空の上から、見守っているわ……』
だってあの時お母様は、そう仰りましたから。大切な人――そして離ればなれになってしまったあとのお話も、しないといけませんよね。
「お父様があんなことをして、わたし達は離れてしまいました。あのあとわたしは隣の国へと追い出されてしまって、助けを求めたものの相手にされなくって……。路頭に迷っているところを、助けていただいたんです」
「貴方の娘さんを偶然、発見しました」
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ヴァランタンくんが優しく丁寧に教えてくれましたし、お義父さんもお義母さんもスタッフのみんなも良い人達ばかりで。いつも、幸せ者だと感じていました。
「だから、なのでしょうね。あんなことがあったはずなのに心に余裕が生まれるようになって。恋をするんです」
「うん、そうだね。僕達は、恋をしました」
「真っすぐで思いやりがあって、悪いことは決して許さないし見逃さない。そんなヴァランタンくんに次第に惹かれるようになり、人間として好きになり、やがてその好きは異性としての好きに変わりました」
「僕も同じです。自分が辛い思いをしたから、他に人達にはそんな思いをして欲しくない――。レアナちゃんはそういう人で、一緒にいるとこちらまで柔らかく優しい気持ちになってくるんですよ。ですので同じく人間としての好きから異性としての好きに変わり、告白をさせていただきました」
今でも、はっきりと覚えています。
満月の日の夜。この国で『生涯幸せにいられる』とされている満月の光が降り注ぐ中、片膝をついて手を差し出してくれました。
「そうしてわたし達は恋人になって、婚約をして、1年前に夫婦になって。大好きで大切な人と、幸せな時間を過ごしていました」
「レアナちゃんは父がすでに次期副支配人に指名しているくらい仕事ができて、内外の人望もすごいんですよ。人柄によってスタッフみんなに慕われていますし、レアナちゃんがいるからいらっしゃるお客様もいるんですよ」
「ヴァランタンくんのような素敵な人がいるから、素敵な人が集まるんですよ。……お母様。色々ありましたが、わたしはその出来事に感謝をしたくなるくらい、今の人生が掛け替えのないものとなっています」
とお伝えして締めるつもりでしたが、やっぱり足りなくって、その後もヴァランタンくんと一緒に色々とお話しをしてしまいました。
なので気が付くと就寝時間になっていて、次の日も早くからお仕事がありますので、ベッドに入ることにしました。
「おやすみなさい、お母様」
毎日行っていたことですが、今日はいつもとは少し違う。胸元にあるネックレスへと微笑みかけ、わたしは穏やかに目を閉じたのでした。
そうしてわたしは、ゆっくりと意識を手放していって――………………それから、どのくらい時間が経ったのでしょうか? 眠りの世界に落ちたわたしの耳に、不意に聞き覚えのある声が聞こえてきたのでした。
「フィエナ――ううん、レアナと呼んだ方がいいわね。レアナ、よかったわね」
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