13 / 17
第4話 見抜かれていた理由~最初から間違っていた~ 俯瞰視点(2)
しおりを挟む
「アマリアよ。その10%はどこから来たのだ?」
「計画を無としてしまう、1割。こちらの正体は、交際及び婚約によるカシアス様の心境の変化となっております」
客観視した場合ベルザックス伯爵家の方が『より得をした』という認識となり、それによって『羨ましい』やら『逆玉の輿』などと余計なことを口にする者が多々現れる。その状況にカシアスおよび当主ジェスが耐えられなくなり、よからぬことを企む可能性がある。
それが、アマリアが抱く懸念でした。
「カシアス様は目的のためなら本音を心の奥に封印し、見返りさえあれば本心を隠して尽力してくださる方。ですが」
「その感情により、そうならなくなる。あまつさえ我々に害を与える危険性も出てくる、ということか」
「はい。そのようになる可能性は、充分あり得ます」
そういった感情は非常に厄介。いくらその我慢が自分達に大きな益をもたらすとしても、理性を突破して暴走し始める場合がある。
アマリアは自身をカシアスに置き換えてイメージし、そういった未来があり得ると判断していました。
「……カシアス様には是非とも、その手の感情を抑え込んでいただきたいのですが――。どうなるのでしょうか」
その答えは、残念ながらYES。
((俺は由緒正しき伯爵家の令息様なんだぞ!? 羨ましがられるのはアマリアの方だ!! なのにいっつもこうなりやがって……! おかしいだろこんなの!!))
「いや、実はそうでもないんだよ。……こいつはオフレコで頼む。アマリアは屋敷の中では別人で、最低な人間なんだよ」
最初こそ辛抱していましたが、婚約後に我慢の限界に到達。その結果『バレないところで鬱憤を晴らしてやろう』と思い始め、あの夜ついに一線を越えてしまっていたのでした。
「アマリアよ、お前に伝えなければならないことがある。嫌な予想が的中してしまい、くだんの10%が発生したようだ」
問題行動の発生を予知していたため、父ジョゼフはカシアスとジェスを徹底的にマークしていました。そのためいとも容易く、ついうっかり友テオドールが知人に漏らしたものを把握していたのです。
ですので、
「ではお教えいたします。その行動によるメリットは、『わたくしに関する鬱憤を晴らせる』。カシアス様がそうする理由は、『現状、つまりわたくしやミーヴェル家に大きな不満を抱くようになっていたから』。以上の点により、わたくしは貴方様の犯行なのだと確信しているのですよ」
カシアスの努力はまったくの無意味。彼が何をしようとも、最初から誤魔化せなかったのでした。
「計画を無としてしまう、1割。こちらの正体は、交際及び婚約によるカシアス様の心境の変化となっております」
客観視した場合ベルザックス伯爵家の方が『より得をした』という認識となり、それによって『羨ましい』やら『逆玉の輿』などと余計なことを口にする者が多々現れる。その状況にカシアスおよび当主ジェスが耐えられなくなり、よからぬことを企む可能性がある。
それが、アマリアが抱く懸念でした。
「カシアス様は目的のためなら本音を心の奥に封印し、見返りさえあれば本心を隠して尽力してくださる方。ですが」
「その感情により、そうならなくなる。あまつさえ我々に害を与える危険性も出てくる、ということか」
「はい。そのようになる可能性は、充分あり得ます」
そういった感情は非常に厄介。いくらその我慢が自分達に大きな益をもたらすとしても、理性を突破して暴走し始める場合がある。
アマリアは自身をカシアスに置き換えてイメージし、そういった未来があり得ると判断していました。
「……カシアス様には是非とも、その手の感情を抑え込んでいただきたいのですが――。どうなるのでしょうか」
その答えは、残念ながらYES。
((俺は由緒正しき伯爵家の令息様なんだぞ!? 羨ましがられるのはアマリアの方だ!! なのにいっつもこうなりやがって……! おかしいだろこんなの!!))
「いや、実はそうでもないんだよ。……こいつはオフレコで頼む。アマリアは屋敷の中では別人で、最低な人間なんだよ」
最初こそ辛抱していましたが、婚約後に我慢の限界に到達。その結果『バレないところで鬱憤を晴らしてやろう』と思い始め、あの夜ついに一線を越えてしまっていたのでした。
「アマリアよ、お前に伝えなければならないことがある。嫌な予想が的中してしまい、くだんの10%が発生したようだ」
問題行動の発生を予知していたため、父ジョゼフはカシアスとジェスを徹底的にマークしていました。そのためいとも容易く、ついうっかり友テオドールが知人に漏らしたものを把握していたのです。
ですので、
「ではお教えいたします。その行動によるメリットは、『わたくしに関する鬱憤を晴らせる』。カシアス様がそうする理由は、『現状、つまりわたくしやミーヴェル家に大きな不満を抱くようになっていたから』。以上の点により、わたくしは貴方様の犯行なのだと確信しているのですよ」
カシアスの努力はまったくの無意味。彼が何をしようとも、最初から誤魔化せなかったのでした。
1
あなたにおすすめの小説
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
reva
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる