逆恨みをした侯爵令嬢たちの末路~せっかくのチャンスをふいにした結果~

柚木ゆず

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第3話 特別な存在、だから

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「…………………………」
「…………………………」

 ベルナデットが公爵家の嫡男と婚約を結んでいた――。それを知ったパトリシアとロベールは、石像のように固まっていました。
 その理由はもちろん、

『貴女をこれから、わたくし達と同じ目に――それ以上の目に、遭わせてあげますわ』
『俺達が味わった以上の悔しさを味わわせてやる。血の涙を流させてやるから、楽しみにしておくんだな』

 ついさっきベルナデットに暴言を何度も吐き、一種の死刑宣告をしてしてしまったからです。

「…………………………」

「…………………………」

 ゼダンダス公爵家は、王族のみならず各国の高位貴族とも深い繋がりを持つ有力貴族。マルレルカ侯爵家とヴィアザ侯爵家が協力しても、決して敵わない相手。
 一瞬にして優劣が逆転してしまったため二人は、身動き一つ取れなくなってしまい――。そうしている間にも、アントナンの話は進んでいきます。

「ベルナデットの強い希望により詳細はお伝え出来ませんが、僕は彼女のとある行動によって惹かれました。心から尊敬し、やがて心から愛するようになったのですよ」
『『『『『ぉぉ……!』』』』』
「…………………………」
「…………………………」

 周囲の人々が一斉に拍手をしても、二人だけはそのまま。ぴくりともせず、ただただ真っすぐ前を向き続けます。
 ですが――。瞬き一つできなくなっているパトリシアとロベールでしたが、もうまもなく『石像』ではいられなくなってしまいます。
 なぜならば――

「ですので僕にとってベルナデットは、何よりも大切な存在。ずっと笑顔で居て欲しいと願っていて、そうできるようにしてゆくと誓っております」

 ――隣にいる最愛の人の手をそっと握りながら、穏やかな調子でそう告げたすぐあとのことでした。
 不意に一瞬だけ、アントナンの表情が一変。会場の後方に居るパトリシアとロベールを研ぎ澄まされたナイフのように視線が射抜き、その下にある口は、確かにこう動いたのですから。

《だから お前達を許さない》
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