逆恨みをした侯爵令嬢たちの末路~せっかくのチャンスをふいにした結果~

柚木ゆず

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第4話 許さない、と言われたから 俯瞰視点(1)

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(ひっ! ろっ、ロベール! アントナン様がお怒りになられていますわ!!)
(分かってる見れば分かる!! あっ、あれは見間違いじゃなかったんだ!!)

 鋭い視線に射貫かれてしまった、パトリシアとロベール。さっきまで石像状態だった二人は、震え上がりながら顔を見合わせました。
 それは二人がベルナデットに声をかける、ほんの少し前のこと。敷地を歩いているアントナンを、視界の隅で捉えたような気がしました。
 しかしながらちゃんと確認してみたら姿はなかったので、何かの見間違いだと思っていたのです。

 人気(ひとけ)がない、は勘違い。
 アントナンに見られて聞かれていた。

 二人はようやく、真実に気がつきました。

(あんな御方に目をつけられてしまったらどうにもできませんわ!! ロベール! ロベールっ!! どうしたらいいんですの!?)
(そんなの分かるはずがないだろっ! だっ、だからパトリシアっ、考えよう!! 二人で力を合わせて考えよう!! 許していただける方法を!!)

 沢山の拍手と祝福の言葉が飛び交う、温かく明るく雰囲気の中。二人は周囲とは180度反対の表情を浮かべ、必死になって思考を巡らせます。
 〇〇はどうだっ? ……それでは駄目ですわ。〇〇はどうかしらっ? ……それじゃあ駄目だ。
 アイディアを出して、出された方が力なく首を振る。そんなことが賑々しい会場の中で繰り返され、それが計7回繰り返えされた時でした。それまで真っ青になっていた二人の顔に、僅かながら血色が蘇りました。

(それですわ! うっかり忘れていましたわ!! それでいきましょう!!)

『そういった行いに手を染めてしまった者に、幸せな未来などやってきません。パトリシア様とロベール様がなされようとしている行動はいずれ、ご自身を破滅へと導いてしまうものなのでございます。ですのでどうか、お考え直しを。わたしの声に、お耳を傾けていただ――』

 ベルナデットは、自分達を止めようとしていた。ロベールは不意にあの台詞を思い出し、ベルナデット経由で許してもらおうと考えたのです。

(ベルナデットは俺達を止めようとしていて、アイツなら心を入れ替えたと謝罪すればきっと許す!!)
(ええっ、間違いありませんわ!! あの女なら絶対そうしますわ!!)

 ベルナデットの性格をよく知っている二人は何度も何度も頷き、こうしてこのあとの方針が決まりました。

(婚約に関するお話が終わったら)
(すぐ、ベルナデットのもとに行こう! 俺達はまったく悪くはないが、この際どうでもいい! 急いで謝って味方につけよう!!)

 そう決めた二人は様子を窺い、やがて適切なタイミングが訪れたため、成功を確信しつつ動き出します。
 ですが残念ながら、そんな未来が訪れることはありません。

『実際に行動を起こしていないのであれば、一度くらいはやり直すチャンスがあってもいいと思う』

 なぜなら二人に与えられたチャンスは、一回だったからです。
 なので――
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