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プロローグ 裏切り エステェ・ファレナルース視点(1)
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「アドン様、エステェ。これはどういうことですの?」
大事なお話があるから、次の休日にお屋敷に来て欲しい――。そんなお願いをしていて、待ち合わせ場所ことファレナルース伯爵邸へとやって来たメリッサ。彼女はヴァラエメット家の馬車を降りるや、ブルーのツリ目を不愉快そうに細めた。
いつもは穏やかな幼馴染がこうなっている理由、それは――
私の隣では、白馬の王子様然とした方が立っているから。
太陽光によって煌めくブロンドや甘いマスクを持つ、美男という言葉がぴったりな男性・オーテラング侯爵家の嫡男アドン様。この方は現在メリッサの婚約者だから、こんな風になっているの。
「アドン様がいらっしゃるだなんて、聞いていませんわ。それに…………貴女達は今、指を絡めて手を繋いでいる。もしかして、ふたりは……」
「うん、そうよメリッサ。私達は、愛し合ってるの」
私とアドン様の胸の中にある、大きな大きな好意。ソレが生まれる切っ掛けとなったのは、今から3か月前にあった出来事だった。
『エステェ。わたくしは先日(せんじつ)、アドン・オーテラング様と婚約いたしましたの』
私とメリッサはお父様同士が旧友で、5歳からの幼馴染。だからその日私はメリッサに招待されて、ヴァラエメット伯爵邸にて『噂の恋人』を紹介された。
彼女は私が3年間留学している間に『イイ人』と出会い、恋をする。そして1年間の交際を経て、その日――私が留学を終えて帰国する2日前に、婚約を交わしていたのだった。
『13年来の大切な幼馴染、貴女の噂はかねがね聞いていますよ。はじめまして。オーデラング侯爵家の、アドンと申します』
そうして私はアドン様を目にして、その瞬間――
胸の中心が、激しく熱を帯びた。
私とメリッサは留学中も手紙のやり取りをしていて、アドン様のお話は何度も伺っていた。だから詳しく知っていて、お優しく美しい方なのだと理解していたのだけれど――。実物は、想像以上だった。イメージ像を遥かに超える、背後に薔薇が見えてしまう程の美男だった。
だから、そうなるのは必然的だった。
((アドン様、素敵……! アドン様と生涯を共にしたいわ……!!))
私の頭の中は瞬く間に『アドン・オーテラング』で一杯になって、婚約結婚を強く望むようになってしまう。
だから、だから。そうなるのも、必然的だった。
「アドン様。私にはもう、チャンスはないのでしょうか……?」
その日から、およそ二週間後。共通の知人が主催した夜会で――メリッサが居ないタイミングで、コッソリと想いを打ち明けた。
そうして私はアドン様のお顔を見上げ、そうしたら――
「いいや、チャンスはあるよ。……なぜならば俺も、同じ想いを抱いていたのだからね」
――返ってきたのは、予想外のお返事。なんとあの場でアドン様も私に一目惚れをしてくださっていて、同じことを考えてくださっていたのだった。
なので、そうなるのも必然的。
「……エステェ。誰よりも君を愛しているよ」
「……アドン様。私も、誰よりも貴方様を愛しております」
私達は秘密裏に接触を重ね、愛を深め合い、目の前に居る人こそが『運命の人』だと改めて確信をして。
昨日ついに、恋人となっていたのでした。
大事なお話があるから、次の休日にお屋敷に来て欲しい――。そんなお願いをしていて、待ち合わせ場所ことファレナルース伯爵邸へとやって来たメリッサ。彼女はヴァラエメット家の馬車を降りるや、ブルーのツリ目を不愉快そうに細めた。
いつもは穏やかな幼馴染がこうなっている理由、それは――
私の隣では、白馬の王子様然とした方が立っているから。
太陽光によって煌めくブロンドや甘いマスクを持つ、美男という言葉がぴったりな男性・オーテラング侯爵家の嫡男アドン様。この方は現在メリッサの婚約者だから、こんな風になっているの。
「アドン様がいらっしゃるだなんて、聞いていませんわ。それに…………貴女達は今、指を絡めて手を繋いでいる。もしかして、ふたりは……」
「うん、そうよメリッサ。私達は、愛し合ってるの」
私とアドン様の胸の中にある、大きな大きな好意。ソレが生まれる切っ掛けとなったのは、今から3か月前にあった出来事だった。
『エステェ。わたくしは先日(せんじつ)、アドン・オーテラング様と婚約いたしましたの』
私とメリッサはお父様同士が旧友で、5歳からの幼馴染。だからその日私はメリッサに招待されて、ヴァラエメット伯爵邸にて『噂の恋人』を紹介された。
彼女は私が3年間留学している間に『イイ人』と出会い、恋をする。そして1年間の交際を経て、その日――私が留学を終えて帰国する2日前に、婚約を交わしていたのだった。
『13年来の大切な幼馴染、貴女の噂はかねがね聞いていますよ。はじめまして。オーデラング侯爵家の、アドンと申します』
そうして私はアドン様を目にして、その瞬間――
胸の中心が、激しく熱を帯びた。
私とメリッサは留学中も手紙のやり取りをしていて、アドン様のお話は何度も伺っていた。だから詳しく知っていて、お優しく美しい方なのだと理解していたのだけれど――。実物は、想像以上だった。イメージ像を遥かに超える、背後に薔薇が見えてしまう程の美男だった。
だから、そうなるのは必然的だった。
((アドン様、素敵……! アドン様と生涯を共にしたいわ……!!))
私の頭の中は瞬く間に『アドン・オーテラング』で一杯になって、婚約結婚を強く望むようになってしまう。
だから、だから。そうなるのも、必然的だった。
「アドン様。私にはもう、チャンスはないのでしょうか……?」
その日から、およそ二週間後。共通の知人が主催した夜会で――メリッサが居ないタイミングで、コッソリと想いを打ち明けた。
そうして私はアドン様のお顔を見上げ、そうしたら――
「いいや、チャンスはあるよ。……なぜならば俺も、同じ想いを抱いていたのだからね」
――返ってきたのは、予想外のお返事。なんとあの場でアドン様も私に一目惚れをしてくださっていて、同じことを考えてくださっていたのだった。
なので、そうなるのも必然的。
「……エステェ。誰よりも君を愛しているよ」
「……アドン様。私も、誰よりも貴方様を愛しております」
私達は秘密裏に接触を重ね、愛を深め合い、目の前に居る人こそが『運命の人』だと改めて確信をして。
昨日ついに、恋人となっていたのでした。
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